虹のコンキスタドール|結成12年目だけどフレッシュ!期別インタビュー×3で迫る虹コンの現状 (2/3)

的場華鈴・大和明桜・隈本茉莉奈・蛭田愛梨インタビュー
左から隈本茉莉奈、的場華鈴、大和明桜、蛭田愛梨。

左から隈本茉莉奈、的場華鈴、大和明桜、蛭田愛梨。

第2の青春が始まった

──今年の虹コンは5人が卒業、3人が加入して、現在は予科生を含む12人体制で活動しています。2月の野音公演で中村朱里さん、鶴見萌さんという初期からのメンバーが卒業したことも大きいと思いますが(参照:虹のコンキスタドール中村朱里、鶴見萌、清水理子 冬の野音で噛み締めた“人生で一番濃い真夏の夢”)、表面的にはすごく変化した印象があります。

的場華鈴 野音が終わったあと、青山、八木、伊藤が入ってからの展開が目まぐるしすぎて……。野音で卒業した朱里ちゃん、萌ちゃん、しみこ(清水理子)はパフォーマンスでも、キャラクターとしても中心になることが多かったから、今の虹コンを映像で観たときに「誰この人たち」と感じる人はいるかもしれないですね。

大和明桜 周りの人から「今までの虹コンは個々の我が強くてバラバラな感じだったけど、今はみんなそろって一体感がある」とよく言われます。グループっぽくなった。今までは、どこにも属せない人たちが集まったような(笑)。

蛭田愛梨 「統一感がある」とはよく言われるようになりました。

大和 言われた。清水理子ちゃんに。

大和明桜

大和明桜

──(笑)。虹コンを離れた人が客観的に見て、今のほうが統一感があるように見えると。今までもいろんなことがあったけど、今年は特に虹コンにとって激動の1年だったのではないでしょうか。

隈本茉莉奈 そうですね。2月に3人が抜けて、新メンバーが加入して、夏に2人(桐乃みゆ、石原愛梨沙)が抜けて……。

的場 入れ替わりとしては激動だったかもしれない。自分たちでは常に体制の変化に目まぐるしく対応しているので、外からどう見えているかは正直わからないんですよ。わかった頃にはもう次の体制になっている、みたいな感じなので。ただ、この前「IDOL BATTLE ALIVE」というバトル形式のライブに出て、プロの方に審査をしてもらったときに、すごく高く評価していただいたんですね。虹コンはちゃんと評価されているんだ、今の体制でそう言ってもらえるんだと思うと、すごく自信になります。

──10年以上の歴史を持つグループでもあるし、すごくフレッシュなグループでもあるという、不思議な状態ですよね。今の虹コンは。

大和 確かに。審査員さんの評価が、グループできたて2年目みたいな内容で(笑)。

隈本 「青春って感じだね」「フレッシュで応援したくなる」って(笑)。それ、私たちに言っていただけるんだ!?という。すごくないですか?

大和 この4人は第2の青春だから。

的場 いやホントに。ホントにそう。

的場華鈴

的場華鈴

──その青春感は、若いメンバーから刺激を受けることもある?

隈本 どうなんですかね。若いメンバーにとってはこれが1st青春なんですよ(笑)。だけど私たち4人は、これまで虹コンというグループの中でたくさん青春を重ねてきた。ただ、バトル形式というのをほとんど経験してこなかったから……競い合うようなことはよく学生生活の中で体験すると思いますが、虹コンのメンバーはそれをあまりやらずに生きてきた人たちだから、その学校でやるべきはずだったバトルを今になって経験したんですよ。

蛭田 あまり学生生活をうまくやれなかった子が多いのもあるかもしれない。

蛭田愛梨

蛭田愛梨

大和 「先輩になった」というのも青春っぽい。1年生とか2年生たちに慕われてる3年生みたいな。

隈本 ああー、そうかも!

蛭田 そっちになったんだあ。

隈本 めっちゃいいね。

的場 後輩たちを愛でる気持ちが出てきた(笑)。

隈本 緊張してるメンバーに「大丈夫大丈夫、できるから」って。

大和 「まだ泣かないよー」。

隈本 大和明桜さんが頼もしすぎて。後輩の面倒をめっちゃ見てくれるんですよ。華鈴先輩が全体をめちゃめちゃまとめてくれて、大和明桜さんが全体をウン、ウンって(両手でまとめ上げるような仕草)。

隈本茉莉奈

隈本茉莉奈

大和 茉莉奈がもっとゴチャゴチャしたところを整えていく。で、愛梨ちゃんが逆に後輩からヨシヨシされてる(笑)。

“先輩グループ”としての自覚

──虹コンにも時代の移ろいがありますけど、アイドルシーン全体にもさまざまな移り変わりがありますよね。身近な存在だったでんぱ組.incが今年1月にエンディングを迎えたことで、もはや虹コンはディアステージのフラッグシップ的な存在になっているわけで。ずっと次女的な位置だったからこそのムードや立ち回り方があったと思うんですよ。

的場 そうなんですよね。私たちにはでんぱさんという先輩がずっと近くにいて。結成10年を超えるとグループとしての先輩はなかなかいないので「でんぱさんがいる」という安心感があったんですけど……事務所のライブに出たときに、今までだったら私たちの前にでんぱさんの名前があったけど、虹コンが最初にあるのを見てドキーッとしましたね。

左から隈本茉莉奈、的場華鈴、大和明桜、蛭田愛梨。

左から隈本茉莉奈、的場華鈴、大和明桜、蛭田愛梨。

──そういうプレッシャーや自覚が出てきているんじゃないかなと。

的場 いい意味でない? どう?

大和 まだ自覚できてないかもしれない。

蛭田 グループとしても、グループの中でも、なんだかんだずっと後輩の顔をしているな、みたいな気持ちがどこかにあって。

──蛭田さんが歴で言うと上から3番目というのが一番信じられないですね。キャラクターもあると思いますけど。

蛭田 気付いたらグループ内でももうだいぶ先輩だし、イベントに出演しているグループの中で虹コンが一番先輩ということが増えてきたし、いつの間にそうなってるんだろう?という気持ちです。

的場 ディアステは昔からいろんなグループがいて、今も虹コンがいれば、きゅるりんってしてみて、CYNHN……と全部色が違うから、「背負わなきゃいけない」というプレッシャーがないのかも。ただ、でんぱさんがエンディングを迎えたあと、メンバーさんとお会いする機会がよくあって。「いやあ、次は虹コンだね」って言われると、ちょっとドキッとしますけど、あまり意識はしていないです。

隈本 グループ活動を終えられたあともディアステで活動されている先輩が多いから、というのもあるかもしれないですね。

的場 逆にでんぱさんが私たちにあまりプレッシャーを感じさせない雰囲気を作ってくださってるのもあるかもね。

隈本 とはいえ先輩方が作ってくださった「ディアステ色」は虹コンが一番の先輩グループとして大事にしていきたいと思っています。

左から隈本茉莉奈、的場華鈴、大和明桜、蛭田愛梨。

左から隈本茉莉奈、的場華鈴、大和明桜、蛭田愛梨。

「プレサマ」継承のプレッシャー

──ディアステ色の継承ということで言うと、まさに虹コンはこの秋、でんぱ組.incのカバー「プレシャスサマー!」、でんぱ組.incの代表曲を数々手がけた玉屋2060%(Wienners)さん提供の新曲「平成令和ネバーエンドサンバースト」を立て続けにリリースするという形で、でんぱイズムを継承しています。

大和 でんぱさんがエンディングを迎えるとき、もふくさん(ディアステージを設立した音楽プロデューサー・もふくちゃんこと福嶋麻衣子)が「でんぱ組.incの楽曲はディアステのグループに継承したい」みたいなことをちらっと話していて。そのときに私と華鈴先輩が「絶対『プレシャスサマー!』がいい!」と言っていたんですよ。でも華鈴先輩は「無理かも」とも言ってたよね。

的場 「プレサマ」はもちろんやりたいけど、ちょっと重いかもしれない……とも思って。

──夏曲の多い虹コンが「プレサマ」を引き継ぐというのは納得感がありますけどね。でんぱ楽曲には特有のカルマがあるから、プレッシャーは大きかろうと思います。

的場 Yumiko先生にはしばかれまくりました。最初のレッスンのとき「今日は一旦みんなをいじめに来たから」って(笑)。この曲を歌うことへの心持ちとか、全部教えてもらうところからスタートしました。

──同じディアステのグループとして活動してきたものの、作法が違う?

隈本 全っ然違う……びっくりしたよね。こんなにも違うものかって。

隈本茉莉奈

隈本茉莉奈

「虹コン道」を拡張して、でっけえ道路に

──新曲の「平成令和ネバーエンドサンバースト」にもでんぱ直系のカオスが存分に含まれていますよね。この2曲が連続でリリースされたことで、虹コンの音楽性にもこれから変化が出てくるのかな?と思いましたが、皆さんはこれからの虹コンはどうなっていき、どう存続していくのが理想だと考えていますか?

隈本 音楽面で言うと、もふくさんはディアステージの中で作曲家さんをあまり重ねないようにしてくださっていたんですよ。各グループがバラバラな音楽性になるように。だから今まで玉屋さんの曲は虹コンにはなかったんですね。私たちが「プレサマ」をカバーすることが決まった中で、「プレサマ」の続編となるような曲をと作ってくださったのが「平成令和ネバーエンドサンバースト」です。なので、私個人としては……玉屋さん曲がめっちゃ欲しい!(笑)

──カロリー消費が激しそうですけどね。

隈本 超~すごいです。ライブでやると、すごいよね。

的場 しんどい(笑)。

隈本 みんな汗の量がハンパじゃない。でも、音楽面では玉屋さん楽曲が持つディアステ色は私たちが受け継いで、広げていけたらなと思います。

蛭田 虹コンらしさと玉屋さん楽曲にあるでんぱさんらしさ、この2つが合わさったら、いろんな方が感じている「ディアステらしさ」が表現できるのかなと思うし、虹コンは入れ替わりが激しいけど、どの時代でも「虹コンっぽい人」が入ってくるんですよ。今もまたディアステのオーディションが進んでいるし、そこからまた虹コンに予科生として入ってくる人もいるかもしれないですけど、ここから何年経っても「虹コンって、いつ見ても虹コンだな」「やっぱディアステだな」と思ってもらえるようなグループにしていきたいです。

蛭田愛梨

蛭田愛梨

──その「虹コンらしさ」を言語化するとどうなりますか?

蛭田 なんでしょうね?

的場 最近、私たちが認識している虹コンらしさと、世間が思う虹コンらしさが違うんじゃないかってことに気付いたんですよ。

隈本 おや?

的場 「平成令和ネバーエンドサンバースト」を初披露したときに、私たちは「めっちゃ虹コンっぽい」と思ってたんですけど、「虹コンっぽくない」という感想がめっちゃ多かったんですよ。これは私のこれからの展望ですけど、その「虹コンらしさ」の幅をもっと広げていきたい。「プレシャスサマー!」を歌うことで「私たちはでんぱさんにはなれない」と気付いたし、私たちなりの我が道をちゃんと整備しないと「継承」はできないなと。

的場華鈴

的場華鈴

──虹コン道の拡張整備を。

的場 拡張して、でっけえ道路にして、っていう。今流行っているアイドルグループさんがいろいろいる中で、虹コンは結局虹コンで行くことが一番の近道なんじゃないかなって、茉莉奈と最近ちょうど話していたんですよ。

隈本 語り合ったんだよね、夜中に(笑)。

的場 いろんなことに挑戦していきますけど、それも虹コンらしさの拡張整備になると思うので。私たちの道をしっかり作っていくのが大事だなと。

大和 私、虹コンらしさを言語化できる。

的場蛭田隈本 おっ。

大和 虹コンらしさとは!

的場蛭田隈本 とは!

大和 みんな仲がいい!

的場蛭田隈本 あははははは!

大和 最近は入れ替わりが激しすぎて、正直みんなが仲いいとは大きな声では言えないけど(笑)。

隈本 ほら見てよ、マネージャーさんたちが大笑いしてるよ(笑)。

大和 違うんですよ! ほら、そりゃ10年下の後輩がいたらムラはありますよ。話しかけづらいだろうし、私たちも気まずくなっちゃったりとか。それでも、いつの時代も一緒に泣き合ったり笑い合ったりできるのが虹コンだなって。入れ替わりたてのときはもちろんよそよそしくなったりしますけど、安心してください! 今は超仲いいです!

大和明桜

大和明桜

蛭田 さっき話した「IDOL BATTLE ALIVE」で「みんなでいいものを作るぞ!」と一致団結したときに、一気に心が近くなったなと感じました。

隈本 去年までの虹コンは「このワンマンに向けてがんばろう」みたいな、一緒に乗り越えてきた経験を共有していた仲間が多数だったけど、今は「いろんなことを経験してきた人」と「まだ何も知らない子たち」で分かれがちなところがあって。だから「IDOL BATTLE ALIVE」は今のメンバーで一緒に乗り越える経験ができた、貴重な機会でしたね。

的場 この前、武道館に立ったメンバー全員で集まって同窓会をしたんですよ(参照:虹コンが武道館を“通過点”に!的場華鈴&根本凪は指切りをしてそれぞれの道へ「またどこかで一緒に」)。根本凪ちゃんだけ仕事でテレビ電話での参加になったんですけど、そのときに大塚望由ちゃんと神田ジュナちゃんが2人でGReeeeNの「キセキ」を歌っているのを見て号泣しました。うろ覚えのラップをしているところを見て「なんだこの素敵な空間は」って(笑)。

大和 華鈴先輩が号泣している横で爆睡している人もいて(笑)、それがまた虹コンらしい。今の虹コンは違う意味でバラバラだけど、バトルきっかけでまた新しい、令和の虹コンができでいきそうです。

的場 もっとずっと先、同窓会で集まることがあったときに今のメンバーでもそういう雰囲気になるように、そういう未来のためにやっていく、というのが一番わかりやすい指標なのかなって思いました。