「信じろ 未来を」と言ってしまえた

──今作「YON」は全曲日本語ですね。

GEN　4曲という少ない曲数の作品なんで、何かしらのコンセプトがあって全体の統一感があったほうが1つの作品としてよくなるかなと思いまして。たぶんフルアルバムを出すときに、全部日本語になることはないと思うんですよ。4曲だけだからこそ全部日本語の作品が作れたかな。

──日本語という以外に、今作のコンセプトって何かありますか？

GEN　全体的にカラッと突き抜けたいっていう感じでした。

──それはGENさんの今のモードがカラッと突き抜けてるから？

GEN　そうです。「monolith」のときは自分がけっこう苦しかったんで苦しさが前面に出てるんですけど、「monolith」を出して状況がよくなってきて、心も前向きになってきてるので、今作は今までとは違う前向きな歌詞が書けたなと。状況がよくなってきて未来が見えてきてるので、光が差してるようなシングルにしたかったですね。

──光が差してるシングルとは？

GEN　僕たちの今後の未来だったり、今の前向きなマインドをそのまま作品にしたいなと思って。今までだったら言えなかったようなことも、自分に自信がついてきたぶん、言いきれるようになった。

──今まで言えなかったけど、今回言えたことってどこか具体的にあります？

GEN　1曲目「swim」のラストサビ前の「信じろ 未来を」っていうセリフは僕の中で相当恥ずかしくてクサいフレーズですね。それをサビ前に言ってしまおうって思って、言ってしまえるようになったのが大きな成長だと思います。

──この部分はサビじゃなくてサビ前だし、ちょっと聴き取りづらいですよね。GENさんのちょっとした照れを感じました。

GEN　「未来を」をはっきり言っていないのは照れだと思います。音っぽくしてる。結局声も音なので。もちろん歌詞があって意味があるんですけど、音としての気持ちよさが大事だと思ってるので、ここはしゃべるみたいに言ってしまおうかなとか、そういうことをすごく意識してます。

ないところから引き出した新しいアレンジ

──フォーリミの曲は、歌詞が全然聴き取れなかったり、かと思えば一部だけグッと入ってきたりと、言葉とサウンドのバランスにもすごくこだわっていますよね。今作で特に意識したところはありますか？

GEN　「swim」のラストサビ前のところですかね、グッと落として。

KOUHEI　Cメロのところだ。あー、あそこいいよね。アレンジけっこう悩んだもんね。

GEN　やっぱり最後のサビに一番グッと持っていきたいので、その前は落としがちにはなるんですけど、今回はそこに今までになかったメロディが入ってきて。ここは気に入ってますね。

──アレンジはどう悩んだんですか？

KOUHEI　何枚かアルバムを出してきたので、自分たちのアレンジの幅っていうのは出し尽くしてきた感じがあるんですよ。「これ前やったな」とか。同じことやってても進化とか成長とかがみられないのは嫌だし、自分もそれが嫌だったんで、じゃ落とすにしろ、盛り上げるにしろ、違う落とし方や盛り上げ方、構成の仕方とかそういうアレンジを、ないところから引き出していかなきゃいけないなと思って、時間をかけました。

──では今回は新しいことができた？

GEN　そうですね、僕ららしさもありつつ、新しさもある。「swim」のサビのリズムとかは今まで使ってなかったよね？

KOUHEI　そうですね。サビに疾走感が欲しかったんですけど、疾走感とか激しめの曲ってなると、ツービートだったり四つ打ちのリズムになってしまって、それって今までもやってきてるし、じゃどうしよう……と。ちょっとテンポを落とそうかとかいろいろ考えつつ。1番と2番は新しいリズムで、最後のサビでようやくいつも通りの四つ打ちが出てくるみたいな。

メンバー全員で作る醍醐味

──この曲はこういうイメージでっていうのはみんなで共有するんですか？

GEN　伝えるときもありますし、あえて伝えないときもあります。

HIROKAZ　3曲目の「ghost」もそうだよね。もともとKOUHEIが持ってきたときと全然違う方向になった。

KOUHEI　そうですね。「swim」と「ghost」はコードと構成を僕が持っていって。1曲目はけっこうイメージ通りというか、いい意味でイメージを超えてきたっていう感じなんですけど、3曲目はここまで暗くなるとは……っていう感じで。結果「ghost」っていうタイトルに合うくらいにはなったと思うんですけど、最初はそんなイメージなくて。もうちょっとオシャレ系の踊れる感じのイメージだったんです。

HIROKAZ　すごい振り切ったよね。

GEN　拳系になった（笑）。

KOUHEI　それがメンバー全員で作る醍醐味かな。1人で持ってきたらイメージを超えることはあんまりできないっていうか。いい曲だったらそれはそれでいいと思うんですけど、僕のイメージにないものをメンバーが持ってきたときに、超えてくるわけじゃないですか。それでいいものができていくんだったら武器だなって思う。