天国のPちゃんに届け!hy4_4yhが氣志團、竹原ピストル、RHYMESTERと忌野清志郎セッション

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8月31日、神奈川・CLUB CITTA'にて、hy4_4yhの結成20周年記念イベント「ハイパーバンパク~怒りのYAVAYロード~」が開催された。

hy4_4yh(撮影:浦田大作)

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hy4_4yh(撮影:浦田大作)

hy4_4yh(撮影:浦田大作)[拡大]

ゲストアーティストとして名を連ねたのは、かつての番組共演をきっかけにhy4_4yhをフックアップしてきた氣志團、hy4_4yhにとって憧れの存在である竹原ピストル、そしてhy4_4yhが多大な影響を受け師匠として仰ぐRHYMESTERという布陣。この日は2021年に新型コロナウイルス感染により急逝したhy4_4yhのプロデューサー、Pちゃんことエザキマサル卍の命日でもあるため、hy4_4yhへの愛と、彼女たちからゲスト陣へのリスペクト、そしてPちゃんへの思いが爆発した一夜となった。

DEFROCK、吉田豪、プロハンバーガー

ウェルカムアクトとしてステージに登場したのは、福島県飯坂温泉をレペゼンするヒップホップバンド・DEFROCK。彼らはここで、hy4_4yhの「人間交差点 午前10時40分」を踏まえてこの日のために用意した新曲「ハイパーバンパク 午後4時30分」を披露した。また、ラッパーのターキンが桃農家で働いていることにちなみ、「トラトラトラ」では鳥よけのトラ型風船をオーディエンスの頭上に大量に投げ込むパフォーマンスも。開場直後のフロアを一気に温めた。

ライブの幕間には、hy4_4yhのキャリアにおける重要人物たちがDJとして登場。2011年に自身監修のライブアイドルコンピにhy4_4yhを誘った吉田豪は、さながらラジオ番組のようにPちゃんの関連楽曲やhy4_4yhのレア音源を解説付きでプレイ。ファンコット期のhy4_4yhのサウンドを支えたプロハンバーガー(高野政所)は、自身が考案した新ジャンルである、AIで生成した架空の歌手による“サイバー演歌”を次々にドロップし、フロアの熱気を上昇させた。

氣志團ならではのエンタメショーが開幕

氣志團(撮影:浦田大作)

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トップバッターの氣志團は、綾小路翔(Vo)が族車に乗ってステージに現れるという派手な演出でライブをスタート。素早くエンジンを吹かして爆音のアクセルミュージックを奏で、ドラムとセッションを繰り広げると、そのまま「俺達には土曜日しかない」へ突入し、氣志團ならではのエンタメショーが開幕した。「房総魂」ではフロアからシンガロングが沸き起こり、会場に一体感が。「スウィンギン・ニッポン」では、電飾をあしらった台車の上で西園寺瞳(G)と星グランマニエ(G)がギターソロの掛け合いを披露したりと、驚きの演出を連発して観客を片時も飽きさせない。

氣志團(撮影:浦田大作)

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10月に5年半ぶりのCDシングルとしてリリースされる新曲「汚れなきクソ野郎ども」のパフォーマンスを経て、綾小路は「俺達はとっくの昔からマブダチなんで、これからも仲良くしてもらえればと思ってます」とhy4_4yhへの思いを語り、ピンスポットライトを浴びながらアコギの弾き語りで、感情を込めて「友よ」を熱唱。おなじみ「One Night Carnival」のあとは、氣志團メンバーの着ぐるみと一緒に「One Night Jamboree」を会場全体で楽しく踊り、熱狂の中で次のアクトへバトンをつないだ。

竹原ピストルがアカペラで気迫あふれるラップ

竹原ピストル(撮影:浦田大作)

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氣志團のにぎやなステージから一転、ギター1本、身ひとつでステージに現れた竹原ピストル。静寂を切り裂くように「おーい!おーい!!」でライブを開始し、優しくも力強いパフォーマンスで観客を圧倒していく。「LIVE IN 和歌山」「みんな~、やってるか!」「俺のアディダス~人としての志~」といった楽曲に加え、野狐禅時代の楽曲「カモメ」、ビートたけしのカバー「浅草キッド」も披露され、オーディエンスはその歌声にじっと聴き入った。

竹原ピストル(撮影:浦田大作)

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代表曲「よー、そこの若いの」ではフロアから自然と手拍子が湧き、サビでは会場が大合唱に。ストイックでミニマムなライブの内容とは対照的な盛り上がりっぷりに、竹原は「正直、シーンと静まることも少なからず覚悟していたから、うれしいです」と笑顔を見せた。そして「この曲はhy4_4yhのお二人に捧げさせていただきます。20周年、本当におめでとう」という祝福の言葉に続けて歌い始めたのは「Forever Young」。最後にアカペラで気迫あふれるラップを叩きつけ、CLUB CITTA'は驚き混じりの歓声に包まれた。

RHYMESTERが最高の背中を見せつける

RHYMESTER(撮影:浦田大作)

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そして、hy4_4yhの2人が師匠と崇めるRHYMESTERが登場。宇多丸が「20周年? 俺らは36周年。だけど今日がまた新たな始まりなんじゃないですか? 俺たちが証明してみせよう。人間はいくつになっても何度でも始めることができるってことを!」と高らかに宣言し、「ONCE AGAIN」でライブを開始した。そのまま間髪入れずに「B-BOYイズム」へと突入し、キラーチューンの連発にフロアは一気に沸騰する。

RHYMESTER(撮影:浦田大作)

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hy4_4yhのchanchalaが飲み歩きついでにこの日のチケットをさまざまな飲み屋で計100枚手売りしたというエピソードに触れ、そのチケットで来た観客に向けて酒飲みソング「梯子酒」を贈るという粋な計らいも。さらに、Mummy-Dと宇多丸がアカペラで「Back & Forth」を披露してそのスキルを見せつけたりと、まさに“KING OF STAGE”の面目躍如たるパフォーマンスが次々に展開していく。ラストナンバーは、Pちゃんが生前こよなく愛し、hy4_4yhの「人間交差点 午前10時40分」のオマージュ元にもなった「肉体関係part2 逆featuring クレイジーケンバンド」。師匠として、そして盟友として、hy4_4yhに最高の背中を見せつけるステージとなった。

梅野源治選手「お前らhy4_4yh、20周年ヤバイだろ!」

hy4_4yh(撮影:浦田大作)

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バックDJにプロハンバーガーを従えて、いよいよhy4_4yhが登場。「hy4_4yhは40年後もやめへんで!」というyukarinの宣言を合図に「Keep Running」でライブをスタートさせ、「K.U.N.F.U」や、童子-Tの曲にフィーチャリングで参加した「HOLE!」などの曲で会場をヒートアップさせていく。

客席にいるのをhy4_4yhに発見された梅野源治選手。(撮影:浦田大作)

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hy4_4yhに無理やり踊らされる梅野源治選手。(撮影:浦田大作)

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プロハンバーガーがビートを制作していたファンコット期の楽曲のメドレーでは、「TAMA FREE!~タマフル・フォーエヴァー」の魔改造バージョンや「はなびーと」「ティッケー・オン・ザ・ビーチ」と、BPMの高いハイテンションな楽曲を畳み掛ける。そして最大のスマッシュヒットである「ティッケー大作戦!~YAVAY」の途中、彼女たちはフロアにいたムエタイの梅野源治選手を発見。彼をステージに引っ張り上げて無理やり一緒に踊らせた。曲が終わると梅野選手は「お前らhy4_4yh、20周年ヤバイだろ!」と叫び、舞台袖へと去っていった。

特攻服を着たhy4_4yh。(撮影:浦田大作)

特攻服を着たhy4_4yh。(撮影:浦田大作)[拡大]

さらに彼女たちは、竹原ピストルから譲り受けてhy4_4yhの曲になったという「石ころみたいにひとりぼっちで、命の底から駆け抜けるんだ」のカバーや、氣志團をリスペクトした「One Night Festival」なども披露。ゲストアーティストへの思いがあふれた選曲を盛り込みつつ、ライブは進行していく。

hy4_4yhがBIKKEと、そして師匠RHYMESTERとコラボ

ゲストとして登場したBIKKE(TOKYO No.1 SOUL SET、Nathalie Wise)。(撮影:浦田大作)

ゲストとして登場したBIKKE(TOKYO No.1 SOUL SET、Nathalie Wise)。(撮影:浦田大作)[拡大]

2週間前に作ったばかりだという新曲「愛 get the feeling」では、BIKKETOKYO No.1 SOUL SETNathalie Wise)がゲストとして登場。メロウでチルなビートの上で3人はリラックスしたラップを届けた。そんなできたての新曲の次は、原点と言える2008年リリースの1stシングル「ミミララ未来」だ。音楽性の変化もあって近年ほとんど披露されていないこのアイドルポップに、ファンは思わず喜びの声。最新から最古まで20年の歴史を一気にたどる、アニバーサリー公演ならではのセットリストとなった。

アカペラでRHYMESTER「キング オブ ステージ Part II」をラップするhy4_4yh。(撮影:浦田大作)

アカペラでRHYMESTER「キング オブ ステージ Part II」をラップするhy4_4yh。(撮影:浦田大作)[拡大]

hy4_4yhとRHYMESTER。(撮影:浦田大作)

hy4_4yhとRHYMESTER。(撮影:浦田大作)[拡大]

RHYMESTER「肉体関係part2 逆featuring クレイジーケンバンド」をオマージュにした「人間交差点 午前10時40分」を歌い終えると、2人はアカペラでRHYMESTER「キング オブ ステージ Part II」をラップし始める。そしてラストにリリックを変えて「怒りのYAVAYロード ゴールまで走り通せ / 天国から我らを見とけ 俺たちこそクイーン・オブ・ステージ / ここにいるだろPちゃん エザキマサルまで届け / 走り続ける我らを見とけ 俺たちこそクイーン・オブ・ステージ」と熱唱し、亡きPちゃんにメッセージを捧げた。すると、その思いに応えるようにRHYMESTERがステージに登場。hy4_4yhを客演に迎えたRHYMESTERの楽曲「なめんなよ1989」でコラボし、それぞれの歩みが交差するエモーショナルなパフォーマンスでライブ本編を締めくくった。

アンコールは全員であの曲をセッション

hy4_4yhとお世話になってる皆様(撮影:浦田大作)

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アンコールを求める拍手の中、会場に流れてきたのは、2021年に放送されたTBSラジオ「アフター6ジャンクション」の音声。「RHYMESTER宇多丸のマブ論 2020年アイドル的ソング ベスト15大発表」というランキング企画で、宇多丸がhy4_4yhの「お家で聴きたいサマードライブ・アンセム」を年間1位に選んだ瞬間の音声が流れると、ステージに再登場したhy4_4yhがこの曲を歌い始めた。舞台上には2人のほかにも、彼女たちがこの20年でお世話になったたくさんの人々の姿が。曲が終わると彼女たちはステージ上の人々にマイクを向けてひと言ずつコメントを求めるが、酔ってご機嫌になったゆでたまご・嶋田隆司のトークが収拾不能に。すかさず横にいた岩井ジョニ男が「先生、タクシーがあります」と声をかけて連れ帰ると、会場は大きな笑いに包まれた。

hy4_4yh、氣志團、竹原ピストル、RHYMESTERによる忌野清志郎セッションの様子。(撮影:浦田大作)

hy4_4yh、氣志團、竹原ピストル、RHYMESTERによる忌野清志郎セッションの様子。(撮影:浦田大作)[拡大]

そして最後にhy4_4yhは、ゲストアーティストの氣志團、竹原ピストル、RHYMESTERを全員ステージに呼び込み、「Pちゃんが大好きだった、あの人の曲をやらせていただきます!」と宣言。RCサクセションの代表曲をセルフカバーした忌野清志郎とRHYMESTERのコラボナンバー「雨あがりの夜空に 35」を全員でセッションした。氣志團の演奏をバックに、綾小路翔と竹原ピストルが忌野清志郎パートを歌い、RHYMESTERとhy4_4yhがマイクリレーを展開。ここでしか観ることのできない豪華コラボによるステージにフロアの興奮は最高潮に達した。

セットリスト

「ハイパーバンパク~怒りのYAVAYロード~」2025年8月31日 CLUB CITTA'

氣志團

01. Drum Solo ~ Axel Call
02. 俺達には土曜日しかない
03. 房総魂
04. スウィンギン・ニッポン
05. 萌え萌えROCK'N'ROLL
06. 汚れなきクソ野郎ども
07. 友よ
08. One Night Carnival
09. One Night Jamboree

竹原ピストル

01. おーい!おーい!!
02. LIVE IN 和歌山
03. みんな~、やってるか!
04. カモメ
05. 月明かり
06. I miss you…
07. 浅草キッド
08. Amazing Grace
09. 俺のアディダス~人としての志~
10. よー、そこの若いの
11. Forever Young
12. 啖歌(朗読)

RHYMESTER

01. JIN-TRO
02. ONCE AGAIN
03. B-BOYイズム
04. 梯子酒
05. ちょうどいい
06. Back & Forth
07. 肉体関係 Part 2

hy4_4yh

01. Keep Running
02. K.U.N.F.U
03. Hole!feat. KOHEI JAPAN, LITTLE, hy4_4yh
04. TAMA FREE!魔改造 ver.
05. はなびーと
06. ティッケー・オン・ザ・ビーチ(REAL FUNKOT ver.)
07. ティッケー大作戦!~YAVAY(ゲスト:梅野源治、DJ JIN)
08. 石ころみたいにひとりぼっちで、命の底から駆け抜けるんだ
09. One Night Festival
10. 愛get the feeling feat. BIKKE(ゲスト:BIKKE)
11. ミミララ未来
12. 人間交差点午前10時40分
13. なめんなよ1989 feat. hy4_4yh(ゲスト:RHYMESTER)
<アンコール>
14. お家で聴きたいサマードライブ・アンセム(ゲスト:お世話になってる皆様)
15. 雨あがりの夜空に35 (ゲスト:氣志團、竹原ピストル、RHYMESTER)

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hy4_4yh(ハイパーヨーヨ)@「RHYMESTER宇多丸のマブ論ソングベスト15」第1位戴冠🎉 @hy4_4yh

ナタリーさん記事にしていただきありがとうございます‼️🙇‍♀️🙇‍♀️
#ハイパーバンパク https://t.co/HYunTOz4sF

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