高橋よしひろが語る「野性の呼び声」|「銀牙」ファンは観るでしょ!涙腺を刺激する犬と男の冒険活劇

「銀牙」ファンは観ると思う

──今回、高橋先生には「野性の呼び声」のイラストを描き下ろしていただきました。

かっこよく描かなきゃなと。力の限りいい絵を描きたいなと思います。今回はハリソン・フォードの絵も描いていますが、実はそんなに人間が上手じゃないんです。マンガ家仲間から「高橋くんは人間より犬の絵がうまい」って言われるんですけど、ボクは「犬は服も靴もないから簡単だ」って言い返しました(笑)。

──まだ下絵しか見ていませんが、ハリソン・フォードもかっこいいです。バックはセントバーナードとシェパードの交配種ということですが、こだわって描いたポイントがあれば教えてください。

バックは交配種だからちょっと難しい犬だね。耳が三角形になっているから走っているときに耳がぺろんとなるように描いています。そういえばセントバーナードはうちの師匠の本宮ひろ志先生が飼っていたんですよ。先生の自宅へ遊びに行ったときに見せてもらいました。とにかくでかい犬で、100kgぐらいあるからバケツいっぱいの鶏の水煮を朝晩と食べるんです。人間が引きずられちゃうから、散歩に行くのも大変ですよ。劇中にも人間がバックをがんばって押しているシーンがありましたよね。

──本作ではバックが数奇な運命をたどりますが、たくさんの犬の一生を描いてきた先生が心がけていることはありますか?

フィンランド版の「銀牙~THE LAST WARS~」。

まず、キャラクターの死に様を考えること。悪役でもどういう死に方をするんだろうなって想像する。読者が好きなキャラクターって分かれているから、そこはそれぞれの見せ場を考えます。例えば「銀牙」には、ベンという主人公の仲間の犬が登場するんですけど、彼を主役にしても話になる。いろいろなキャラで話を描けるくらいにそれぞれのバックグラウンドは考えてます。あとフィンランドでは「銀牙」の人気が高いんだけど、若い女性が黒邪鬼の入れ墨を彫っていたからびっくりしちゃった(笑)。

──そもそも、先生はジャック・ロンドンの原作小説を以前にお読みになっていたとか。

小学生くらいかな。子供の頃に「野性の呼び声」や「ターザン」の原作となった話を読みました。そういう経験があったから動物の話を描くようになったんだと思います。

高橋よしひろ

──まさに先生の原点となった小説なんですね。この小説はアメリカでは教科書に載っていたりと、子供の頃から親しみのある物語だそうです。「銀牙」シリーズも子供から大人まで楽しめるマンガですよね。

ある程度そう考えて描いています。ちょっとした会話の中でもピシッとしたセリフを書くようにはしていますね。「銀牙」には女性ファンも多いし、もらったファンレターに「お父さんにマンガを買ってと言ったら『銀牙』を全巻買ってくれた」というのもありました。今は青年マンガ誌の週刊漫画ゴラクで描いているけど、大人にだって正義とか道徳とか、ボクが伝えたいメッセージは子供と同じように届くものだと思ってます。

──そんな幅広い年代から支持される「銀牙」シリーズを生み出した高橋先生から見て、本作はどういう方にお薦めですか?

まず、「銀牙」ファンは観ると思うな。「銀牙」を思い起こすようなシーンがあるし、ファンは喜びそうです。そして、犬は人間よりも信用できるっていういいメッセージもある。人間は嘘をつくけど、犬は嘘をつかないということをこの映画を観てしみじみ感じました。