WOWOW「生中継!第96回アカデミー賞授賞式」尾上松也|尾上松也の“アカデミー賞愛”が炸裂「絶対に生で観たいので早く起きます」

第96回アカデミー賞授賞式が日本時間3月11日に開催され、その様子をWOWOWが生中継。本年の作品賞には「バービー」「キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン」「マエストロ:その音楽と愛と」「オッペンハイマー」「哀れなるものたち」など10作品がノミネートされ、映画ファンがその結果を心待ちにしている。

特集第2弾では、映画好きとして知られる歌舞伎俳優・尾上松也にインタビュー。アカデミー賞との出会いや印象に残った授賞式のスピーチなど、“アカデミー賞愛”をたっぷりと語ってもらった。

取材・文 / 斉藤博昭撮影 / 小原泰広

「毎年、こんなショーをやっているのか」と驚いた

──まず今回のお話を聞くにあたって、松也さんがどんな映画が好きなのか、そこからお聞かせください。

ファンタジックな作品はよく観ます。1920~1930年代あたりのアメリカを描いた映画も大好きです。それから最近はゾンビもの。先輩の影響でハマりました。

尾上松也

尾上松也

──では、そのうえで松也さんとアカデミー賞授賞式の「出会い」を教えてください。初めて観たのは、どの年だったのでしょう。

1990年代の半ば、小学生か中学生の頃だったと思います。父も母も映画が好きで、僕も中学生になってから洋画をたくさん観るようになりました。当時、アカデミー賞の授賞式をライブで観たわけではなく、誰かが録画したものをビデオで観たところ、あまりにも素晴らしく、楽しくて、何度も繰り返して観たのを覚えています。ビリー・クリスタルが何年か連続して司会を務めていた時期ですね。

──ビリー・クリスタルは1990年~1993年に4年連続、1997年~1998年に2年連続で司会を務め、1998年の第70回のオープニングでは「タイタニック」のセットとともにステージに登場しました。

まさに、その回のビデオを何度も観ています。オープニングでクリスタルが「タイタニック」など作品賞候補について歌って、結果的に「タイタニック」は多くの受賞を果たすのですが、当時、日本ではどこで中継しているのかよくわかっていなかったので、「毎年、こんなショーをやっているのか」と驚いた記憶もあります。

尾上松也

尾上松也

唯一の不満はレオナルド・ディカプリオがノミネートされなかったこと

──なぜ、アカデミー賞授賞式に夢中になったのでしょう。

中学生の頃にアメリカ映画に夢中になり、いつか自分もアメリカへ行ってみたいと思ったほどなので、そのような世界に憧れたのでしょう。ハリウッドは、俳優の層の厚さ、作品のスケールが明らかに別次元のレベルですからね。

──その意味で、スケール感のある「タイタニック」が作品賞など11部門受賞した第70回は、思い出深いわけですね。

当時は“レオ様”フィーバーで、僕の母親も大好きだったくらい。なぜかそのレオナルド・ディカプリオだけノミネートされなかったのが唯一の不満です。確か授賞式の会場にも彼は来なかったんですよね? そうした複雑な状況もあって、よく覚えています。「アカデミー賞ってなんなんだ?」という疑問も湧きました。同時にその年、「恋愛小説家」が主演男優賞(ジャック・ニコルソン)と主演女優賞(ヘレン・ハント)に輝き、あの「タイタニック」の主演2人を上回るのは、どんな作品なのかと、観ていなかったので気になりました。それもアカデミー賞のおかげです。

──ディカプリオは、それから18年後の第88回(2016年)に、念願のオスカーを手にします。

「レヴェナント:蘇えりし者」ですよね。彼がようやく主演男優賞を受賞したときは、あの「タイタニック」の思い出がよみがえりました。「これで獲れなかったら、もうアカデミー賞には来ない」なんてレオ様が言っていたような記憶もあり、本当に受賞してうれしかったです。もちろん「レヴェナント:蘇えりし者」は作品自体も素晴らしいですし、何より、彼はそれまで何度もノミネートされ、映画界に貢献してきたわけですからね。

第88回アカデミー賞で主演男優賞に輝いたレオナルド・ディカプリオ。(写真提供:Hubert Boesl /dpa / picture-alliances / Newscom / ゼータ イメージ)

第88回アカデミー賞で主演男優賞に輝いたレオナルド・ディカプリオ。(写真提供:Hubert Boesl /dpa / picture-alliances / Newscom / ゼータ イメージ)

──授賞式の歴史が、ディカプリオという1人の俳優のキャリアと重ねられるのも、アカデミー賞ならではです。

僕の中で「タイタニック」と「スタンド・バイ・ミー」は、アメリカ映画に夢中になるきっかけを作ってくれた重要な2作品ですので、そのような映画に出演されている俳優さんは、常にどこか気になるのだと思います。

アカデミー賞の日は早起き

──その後、現在に至るまで、アカデミー賞は人生に欠かせない存在になったわけですね。

大人になってうれしかったのは、WOWOWさんで必ずアカデミー賞を中継してくれること(笑)。契約すれば(授賞式を)観られるわけですから。普段仕事でも早起きするのは苦手で、朝は常に機嫌が悪くなってしまいますが(笑)、アカデミー賞の日は、もし仕事が入っていなければ、絶対に生で観たいので早く起きます。前夜もできるだけ早く寝るようにして。ですが、仕事などでなかなか最後まで観られないので、もちろん録画はしておきます。

尾上松也

尾上松也

──やはり、できるだけ授賞式はライブで観たいのですか?

アカデミー賞だけではなく、トニー賞(演劇、ミュージカル作品が対象)、エミー賞(テレビドラマ、番組が対象)もそうですが、その場に挙がる作品や人々の努力が実を結んだ結果として、それぞれのカテゴリーの歴史を作るわけです。スポーツの場合は瞬間、瞬間の勝利や数字での達成ですが、映画や演劇などの芸術は数字では計測できないので、それを評価するのが授賞式です。ショーアップされた演出も含めて、その時間をライブで体験できるのが、芸術に関わっている者にとっては幸せなんです。


2024年3月7日更新