鈴木亮平の主演作である劇場版「TOKYO MER~走る緊急救命室~」が、4月28日に公開された。本作は2021年7月期にTBS「日曜劇場」枠で放送されたドラマの劇場版。今回、救命医療チームTOKYO MERは、爆発事故の発生現場で地上70階に取り残された193名を救うため奔走する。鈴木がTOKYO MERのチーフドクター・喜多見幸太を演じ、賀来賢人が元TOKYO MERのセカンドドクターで現・MER推進部統括官の音羽尚、中条あやみがTOKYO MERのセカンドドクター・弦巻比奈に扮した。
映画ナタリーでは鈴木、賀来、中条による鼎談を実施。彼らは連続ドラマから培ったチームの絆、役と自身の成長に加え、劇場版から参加した杏とジェシー(SixTONES)との共演について語る。さらに話題は“音羽の恋”にも及び……。
取材・文 / 前田かおり撮影 / 曽我美芽
新しい家族を持とうとしている喜多見の変化を楽しんだ(鈴木)
──本作は2021年に放送された連続ドラマの劇場版です。映画化が決まって、どう感じられましたか?
鈴木亮平 作品が皆さんに愛していただけたということですごくうれしかったですし、また「TOKYO MER」のメンバーに会えるかもしれないとすごく喜んだのを覚えています。
賀来賢人 ドラマの後半ぐらいで「映画をやるやも……」という話で現場はざわついてきたんですが、僕たちはまず目の前の撮影を大事にしようと。それで映画が決まったときは、視聴者の方に愛された結果でありがたいことだと思う一方で、スケールアップをしなきゃいけないとも。ドラマでけっこうすごいことをやったという自負があったので、映画ではそれをさらに超えなきゃいけないというプレッシャーはありました。ただチームとしての結束力が高かったので、ドラマが終わって1年経ってから撮影に入っても不安はなかったですね。
鈴木 相変わらずのチーム感で、昨日までやっていたような感じでしたよね。
賀来 本当にこのチームはすごいんです。スペシャルドラマ(※4月16日放送)を撮ったときも久々の再会で感動!とかは全然なくて(笑)。さあやりましょうって。どんだけさっぱりしてるんだって思いました。
──中条さんはいかがですか?
中条あやみ ドラマがすごく好評で、いろんな声をいただいて。私自身も多くの方に届いている実感があったので、きっと映画化されるだろうと感じていました。決まったときは、また大変な撮影が始まるなと身の引き締まる思いがしました。
──連続ドラマ、スペシャルドラマからの劇場版になりますが、それぞれが演じたキャラクターの変化を教えてください。
鈴木 スペシャルドラマから1年半経った喜多見の変化は、一度別れた高輪先生と再婚して、新しい家族を持とうとしているということですね。喜多見は家族(妹)を失った経験はあるけど、今回は家族が増える。家庭を持つことを喜多見はどう捉えるのか。僕自身も喜多見の変化を楽しみながら演じたところがあります。
中条 比奈先生はドラマ序盤のときからは心情の変化があって。最初は(TOKYO)MERに入るなんて考えられないという人だったんですが、それがスペシャルドラマを経て、映画ではもうすっかり喜多見チーフのことを崇拝している。それこそ動きまで喜多見チーフのまねをしちゃってます(笑)。
鈴木 ただ喜多見は仕事ではあんなにきちんとしてるのに、私生活がひどい。もう少しちゃんとした人だと思っていたのに、夫としてはダメダメで。台本を読んでここまでダメなやつだったなんてと思いました。
賀来 私生活が破綻している主人公って面白いですよね。
鈴木 1回目別れられたのも納得するぐらい(笑)。
中条 じゃあ、映画ではプライベートの喜多見が成長するかが見どころだったりして。
──音羽さんも成長しますか?
賀来 音羽は成長というよりも、MER推進部統括官という立場になるんです。だから、今回は皆さんが大変な思いをしている中、僕は指令室にいることが多かった。最初は正直やったあー!と思ったんです、これは涼しいぞって。撮影は真夏でしたから。ところが、撮影現場は蒸しテントみたいなところでものすごく暑くて、結局、MERで走り回っていたのと変わらなかった(笑)。
中条 一番暑い時期でしたもんね。しかもセットがあったのは、昨年日本で一番くらいに気温が高くなったと言われた伊勢崎市。とにかく強烈な暑さでした。
亮平くんと杏さんから似ているものを感じる(賀来)
──ところで、今回はTOKYO MERのライバル的な存在、YOKOHAMA MERが登場します。(医療機器とオペ室を搭載した大型車両の)ERカーや制服、メンバーを見たときにどう感じましたか?
鈴木 ちょっと嫉妬しました。最新感があって、おしゃれで、YOKOHAMA MERのデザインには緑の線が入ってる。一方、TOKYO MERは型落ちみたいな。なんか、「トイ・ストーリー」のウッディの気持ちになりましたね(笑)。
賀来 あー。バズが来たら、アンディだけじゃなくみんなの目がバズにいっちゃって嫉妬するウッディね。
中条 私もYOKOHAMA MERには嫉妬しましたね。それと鴨居チーフを演じる杏さんのできる医師ぶりには驚きました。すごくかっこよくて、テキパキとしてる。映画で初めて参加されたのに、ライバルという感じがすぐに出せる。医療シーンって簡単にできるものでもないのに、杏さんはそれが短期間でできて役に入ってらっしゃった。役との向き合い方が真摯ですごい方だなと思いました。
賀来 なんか、亮平くんと杏さん、似ているものを感じるんですよ。きちんと知識を入れて役に入ってくる。スケールも大きくて、オーラがあって似ているんです。チームリーダーという役柄の共通点なのかわからないんですけど、とても頼れる人だし。親近感も感じて、すごく話しやすくて撮影現場ではずっとおしゃべりしていました。
──今回の現場は実在する横浜ランドマークタワーですが、ここが舞台になると聞いて、どう思いましたか?
鈴木 横浜ランドマークタワーは、大阪のあべのハルカスができるまでは日本一の高さのビルだったんです。僕が東京に出てきたときは、まだ横浜ランドマークタワーが日本一だった。その世代なので、自分の中ですごく印象に残っていました。それに、実在の場所で撮影すると、より現実味を感じますよね。本当はドラマ版でも実在の場所でやりたかったんですけど、コロナ禍で難しくて。今回初めてできたことはものすごくありがたかったですね。
──横浜での撮影はいかがでしたか。
鈴木 横浜の人たちがものすごく協力してくださって、撮影にあたっては道路などを封鎖させていただいて。これだけの規模で大きな予算を掛けていただいた以上、いいものにしないといけないというプレッシャーを感じました。
中条 現場は大変でしたけど、キャストやスタッフのチームワークは相変わらずすごいなと思いました。エキストラさんの数もすごくて。ドラマ版のスケールも大きかったんですが、映画はそれを超えてくるスケールなので、覚悟して取り組みました。
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自分の弱さとすごく向き合わせてくれた作品(中条)