「まともじゃないのは君も一緒」成田凌×清原果耶|「普通(まとも)って何?」噛み合わない2人のドタバタラブコメディ

成田凌と清原果耶がダブル主演を務めた「まともじゃないのは君も一緒」が3月19日に全国で公開される。

本作は、コミュニケーション能力ゼロで常識や普通がわからないが、普通に結婚をしたい予備校講師・大野と、彼の教え子で、経験はゼロだが知識だけは豊富なため恋愛上級者のつもりでいる香住の姿を描くラブコメディ。大野が“普通の恋愛”をするため恋愛経験ゼロの香住に指南を受ける過程で起きる騒動が、ユーモアたっぷりに切り取られていく。

映画ナタリーでは、成田と清原のインタビューを掲載。“普通じゃない”男女を演じた彼らは、ひとクセあるキャラクターや会話の応酬が満載の本作をどう捉えたのか? さらに監督の前田弘二、脚本家の高田亮による対談も。東京・テアトル新宿やレンタルビデオ店でのアルバイト経験があり、無類の映画好きの2人に、本作が作られた経緯をはじめとしてテーマに“普通”を選んだ意図、成田と清原との制作エピソードを語ってもらった。

取材・文 / 秋葉萌実 撮影 / 佐藤類(P2)

成田凌×清原果耶インタビュー

実は普通の18歳(※)で安心した(成田)

※撮影時

──お二人が映画で共演されるのはこれが初めてですね。まずはお互いの印象を聞かせてください。

成田凌 出会ってすぐと今で、変わった部分はありますか?

清原果耶 いい意味で変わっていないです。成田さん、顔合わせをしたときは甚平を着ていませんでした?

成田 作務衣ですね。

「まともじゃないのは君も一緒」より、成田凌演じる大野(左)と、清原果耶演じる香住(右)。

清原 作務衣でしたか。私の中での成田さんの第一印象は「甚平みたいなのを着ているな」でした。こういうファッションをされる方なんだと思って。

成田 あのときは完全に失敗でした。座っているとどんどんはだけていって、ヤバいヤバいとずっと胸元を押さえていた思い出があります。初対面失敗したなあ。

清原 撮影で毎日お会いする中で、お茶目な方という印象に変わりました。優しくしてくださいますし、話が面白くて私はずっと笑っていました。

成田 僕は撮影に入る前に「18歳の天才が来る」と言われて、最初はびっくりしましたね。でも撮影が進んでいくうちに、実は普通の18歳なのがわかって安心しました。よく笑ってくれるし。

殻を破るきっかけになった(清原)

──本作は「婚前特急」を手がけた前田弘二監督と脚本家・高田亮さんのコンビによるオリジナル作品です。少し不思議な世界観が楽しい物語ですが、お二人はご自身が演じたキャラクターについて、どう捉えていたのでしょうか。

成田 大野は誰もが考えているようで考えていない“普通”とされることに疑問を持っている男。香住の力を借りながら“世間の普通”を勉強していく中でいろんな気付きがあり、「普通は難しいな」と思いつつも世の面倒くさいことを肯定的に受け入れようとする人間です。僕にも大野がわかりません! でもそれでいいかなと。彼の可能性を狭めたくないし、変な人だと決め付けると愛せなくなるときが来ると思うので。ずっと好きでいるためには余白があったほうがいいのかなと感じます。

「まともじゃないのは君も一緒」

清原 香住は感情の起伏が激しい女の子で、演じているときはずっと闘っている感覚がありました。ご一緒する方のお芝居をどう受けるかによって新たな案がいくつも出てくるようなキャラクターで、自分ではできると思っていなかったお芝居も出せたりして、私自身が香住に引き上げてもらえたし自分の殻を破るきっかけになりました。熱意や純粋さ、まっすぐさが直感的に見える素敵な役なので楽しかったです。

成田 (香住と清原は)遠いようで近くて、近いようで遠い。距離感が難しいよね。

清原 成田さんと大野は印象としては遠いでしょうか?

成田 そうだね。でも人間なら誰もが持っている部分を肥大化したキャラクターだから、自分としてはそんなに距離を感じていなかった。

──2人の終始噛み合わない会話の応酬は、本作の魅力の1つだと思います。早口でまくしたてるシーンや長ゼリフが多くて、演じる側としてはご苦労もあったのでは? 脚本に対してどのような思いを抱いていましたか。

成田 可能性を秘めた脚本だったので、あえて何もしないのを心がけていました。どのくらい引き算の演技をしたら対話相手やお客さんに響くのかが未知数で、とにかく丁寧に、間違えないようにと1つひとつ作っていきました。清原さんとの間には「コメディ作品だけど、そう思わないで演じよう」という共通認識がありましたね。

「まともじゃないのは君も一緒」

清原 そうですね。私はこういうキャラクターを演じたことがなくて、脚本を読んだときはどこから切り崩していけばいいかまったくわかりませんでした。順撮りではないというのもありますが、毎日バラバラに感情を動かすのがすごく難しい。深く悩みすぎてもよくないけれど矛盾や嘘があったら面白くならないので、監督に疑問をぶつけながら丁寧に作ろうと意識していました。

成田 清原さんの意見が唐揚げだとしたら、僕はうどんだね。

清原 え? どういうことですか?(笑)

成田 わかりづらかった? 僕はとっても消化が早いと思っています。自分から監督にガンガン質問するけれど、話を聞いたら「なるほど!」とすぐ受け入れる。

清原 (笑)。私は考えすぎちゃう癖があるんです。現場でも答えが出ずに監督と迷っていたら、成田さんが「とりあえず一回やってみますか」と声をかけてくださって気持ちが軽くなりました。成田さんはふわっと異空間に連れ込んでくれるんですよね。

「普通って何?」はきっと誰もが感じていること(成田)

──お互いのリアクションや、お芝居以外で交わした会話が助けになった部分もありますか?

成田 これまでに演じた場面を思い返して話す機会がちょこちょこありました。2人の対話シーンはお芝居している感じがしなかったな。(セリフ量の多さに)撮影前夜は頭を抱えていましたが、撮影しているうちにすごく面白くなってきた。2人とも同時にしゃべっている時間があったり、頭がおかしくなっちゃいそうになったけれど。

清原 上限を超えそうなときがありましたね。それはそれで楽しかったです。

──ここまで延々とセリフが続く会話劇は珍しいですよね。

成田 この作品って、通常の半分くらいの66シーンしかないんです。欠番になっている部分もあるから実質は60シーンくらいかもしれません。2人の会話が物語のキモになっているし、起承転結のすべてを僕たちが担っているから、そこが魅力的に映らないと困っちゃう。僕、ちょっと甘噛みしているところがあるかもしれません。

「まともじゃないのは君も一緒」

清原 それもリアリティがあっていいと思います。“普通”がわからない大野と、“普通”にうんざりしているけれどその中で生きている香住という、素直だけどひねくれ者な2人が合わさったときの面白みは、会話の中にふんだんに盛り込まれていると思います。

成田 ツーショットの場面にはなかなか見ないくらいの生々しさがあるので、感情移入しながら観ていただけるんじゃないかな。「普通って何?」という疑問からこの話は始まりますが、それってきっと誰もが思っていることだろうし。普段心にフタをしがちな人にとっては「一回忘れませんか?」と楽な気持ちにさせてくれる作品だと思います。僕自身はこの作品での経験によって、ちょっとしたことにも疑問を抱かなきゃ呑まれるなと緊張しつつ生きるようになりました(笑)。