「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」特集|日本のトップクリエイターも感嘆!異例のロングランヒットを飛ばした中国アニメの魅力に迫る / 設定資料や監督×音響監督の対談も

著名人コメント

あおきえい(アニメーション監督・演出家)

白眉は物語のセットアップが完了してからの後半戦。
前半はストーリーの方向性が掴みにくく、描写も少々冗長だが、それも後半の活劇とキャラ描写の布石と考えれば納得です。
画作りや色使いはシンプルながら品格を感じるセンスの良さ。
アップカットを極力減らして、キャラの感情を表情ではなく動きで表現するアプローチも、作品の世界観の形成に一役買っています。おすすめ。

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監督作にテレビアニメ「放浪息子」「Fate/Zero」「アルドノア・ゼロ」「Re:CREATORS」「ID:INVADED イド:インヴェイデッド」などがある。

入江泰浩(アニメーション監督)

フーシーの第一声が聞こえた瞬間、そして登場人物が集まり声を発するごとに、幸せな気持ちに満たされていく私がいました。オリジナル版を見てから一年、再び新鮮な気持ちで新鮮な感動を得ることが出来たこと、こんな幸せがあるのかと呆然とする思いです。本作との出逢いに感謝します。ありがとう。

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監督作に「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」、Netflixオリジナルアニメシリーズ「エデン」などがある。

星空めてお(シナリオライター・小説家)

シャオヘイと一緒に何度でも旅に出たい。
先に字幕版に触れ、今回新たに日本語吹き替え版を見て、また変わらぬ爽やかな気持ちになりました。
一度目は痛快なアクションに痺れながら物語を追いかけ、二度目は見事な吹き替えの力で、幼い妖精に仲間たちが向ける視線の意味や彼らの想いがすっと胸に届き、より愛しく思えました。

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代表作に「ファイヤーガール」「Fate/Requiem」「Fate/Grand Order」「世界征服~謀略のズヴィズダー~」(アニメシリーズ構成)などがある。

原作・監督MTJJ×音響監督 皇貞季インタビュー

ともに1984年生まれでWebアニメシリーズ制作時からタッグを組んできたMTJJと皇貞季。中国の声優プロダクション北斗企鵝のCEOでもある皇は中国語吹替版「君の名は。」で立花瀧に声を当てたことでも知られており、「羅小黒戦記」Webアニメ版でも複数のキャラクターに息を吹き込んだ。シャオヘイ役の山新は彼の妻でもある。このたびは盟友2人に、「羅小黒戦記」の日本進出や映画化までの道のりなどを語ってもらった。

──「羅小黒戦記」の字幕版は2019年9月に日本で公開され、約1年のロングランヒットを飛ばしました。

MTJJ すごくうれしかったです。そこまで受け入れてもらえるとは思わなかったので、感激しました。制作している最中は、日本で受け入れられるかどうかは、まったく考えていませんでした。だから、日本で上映したいというオファーが来たときも「日本で公開できるのはいいな」と思った程度でしたね。

「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」

皇貞季 個人的には日本で評判がよいのは手描きの2Dアニメだったからかもしれないと思います。日本の方は、手描きの2Dアニメが好きなんだろうなという印象があるので。

──MTJJ監督は手描きにこだわりがあるのでしょうか? 「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」ではアクションシーンも見応えがありました。

MTJJ こだわりというか、自分が得意なものが手描きだったということですね。観るだけなら2Dアニメも、3DCGアニメも、実写も好きですけれど、じゃあ「実写を撮れるか?」と言われれば撮れないですよ。自分が好きで、得意だから手描きのスタイルで制作しています。アクションについては、顧傑副監督と2人で毎日試行錯誤して何度も修正を重ねて作り上げていきました。

──皇さんはMTJJ監督から映画を作ると聞いたとき、どう思いましたか?

 冗談を言われているんじゃないかと思いました(笑)。「羅小黒戦記」Web版の更新ペースはとても遅いですからね。それを考えたら映画なんてありえないだろうと。

MTJJ 実は昔から冗談で「映画を作ったらどうだろう」という話はしていたんだよね。

「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」

 そうそう! 昔は冗談で言っていたから、急に本気で「映画を作ろう」って言われたときは、みんな「ははは、マジか!?」っていう反応しかなかったですよ(笑)。

MTJJ 現実になったのは、出資者が現れたから(笑)。それでも実際、映画を完成させる直前までみんな「マジか!?」という雰囲気でしたね。

──最後に日本のファンにメッセージをお願いします。

MTJJ 映画館に足を運んでくださり、そして、この作品を好きになってくれたら、とてもうれしいです。

 私も、みんなが「羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来」を好きになってくれますようにと願っています。ぜひ楽しんでください。