「Life 線上の僕ら」白洲迅×楽駆|人を好きになることの大切さを描く、純粋なラブストーリー

「Life 線上の僕ら」のディレクターズカット版が、10月30日より東京・シネマート新宿にて1週間限定でレイトショー公開。宮城のチネ・ラヴィータでは先行上映が行われており、11月21日より大阪・シアターセブン、12月からは愛知・シネマスコーレでも上映される。

本作は、ちるちるBLアワード2018のBESTコミック部門で1位に選ばれた常倉三矢の同名マンガが原作の物語。高校時代に下校途中の一人遊び・白線ゲームで出会った伊東晃と西夕希の恋愛模様が描かれた。2020年6月に全4話で配信された連続ドラマに未公開シーンが加えられ、このたびディレクターズカット版としてスクリーンにかけられる。

映画ナタリーでは、晃役の白洲迅と夕希役の楽駆にインタビューを実施した。本作で初共演を果たした2人。初対面から意気投合したという彼らに、お互いの印象やベストシーン、ディレクターズカット版で初めて映像化される“2人のエンディング”への思いを語ってもらった。

取材・文 / 秋葉萌実 撮影 / 映美

初対面で印象がガラッと変わった(楽駆)

──2020年2月の撮影から少し時間が経っていますが、お会いになるのは久しぶりですか(取材は10月上旬に行われた)。

楽駆 どのくらいぶりですか? 2カ月くらい?

白洲迅 そのくらいかな? 仕事ではなくプライベートで会って、ラーメンを食べて風呂に行ったよね。

楽駆 そう、プライベートです。「プライベート」って言ってみたかった(笑)。

──(笑)。白洲さんと楽駆さんは初共演ですが、最初から意気投合されて今でも交流が続いていると伺いました。お互いに対してどのような印象を抱いていますか?

楽駆 すごく優しいし、心地いい空気感がある人です。迅くんって、最初はあまり心を開かなそうって思われるんですよね?

白洲 そうだね。そんなつもりはないけれど、初対面のときは壁を作っていると思われるみたい。

左から白洲迅、楽駆。

楽駆 お会いする前はどこか遠くを見ているようなイメージがあったんですけど、でも初対面でその印象がガラッと変わりましたね。

白洲 楽駆は若さを感じるけど芯の強さがあるし、いろんなところを俯瞰して見ているイメージがあります。ふざけるときもあるけれど根は真面目。とっても誠実ですね。

楽駆は不思議な“生感”がある(白洲)

──「Life 線上の僕ら」の原作は多くの支持を集めるボーイズラブコミックです。映像を拝見して、普遍的なラブストーリーが丁寧に描かれている印象がありました。ドラマが配信された時点での反響はいかがでしたか。

白洲 近いところからの反響ももちろんありましたが、海外の方からSNSを通して感想をたくさんいただけたのが思い出深いです。

楽駆 作品を好きでいてくれても、恥ずかしくてコメントをしない人が多いかもしれないなと思っていたんです。でも愛にあふれたコメントをたくさんいただけて、すごくうれしかったです。

──この作品に出演するにあたって、お二人はどのように役に向き合われたのでしょうか。俳優さんによっては撮影前に近いテーマの作品を観る方もいますが、何か役作りのヒントにしたものはありましたか?

楽駆 「ブロークバック・マウンテン」や台湾のドラマ「HIStory」をオススメされて観ました。役作りのためのヒントというよりは、純粋に作品を楽しんだところが大きいですね。脚本を読んだときに純粋に人を好きになることの大切さを感じたので、2人の愛を紡いでいけたらと思いました。

白洲 僕も楽駆とまったく同じ気持ちです。性別は関係なく人と人の純愛の物語だと思ったので、原作や脚本と向き合ってキャラクターを作っていって、自分の中から出てくるものを大事にしました。

──そうなんですね。ドラマは話数が限られていることもあって、エピソードはある程度絞られていましたが、描かれていない部分の人生も想像できるような奥行きがありました。お二人の脚本にはない演技が使われている部分もいくつかあったとか。

「Life 線上の僕ら」ディレクターズカット版

楽駆 ところどころに2人の何気ないやり取りがけっこう入っていますね。

白洲 そう。僕らがただ2人で楽しんでいただけです(笑)。二宮崇監督は委ねてくれる方なので自由にやらせてもらいましたね。

楽駆 迅くんは演じやすい空気を自然に作ってくれて、支えてくれるんです。撮影中は迅くんの一言一言が響いて、「ありがとうございます……」と思っていました。

白洲 (笑)。楽駆はところどころで見せてくる表情に、不思議な“生感”がある気がしました。脚本があるので動きやセリフをわかってはいるんですけど、それを忘れさせてくれる雰囲気を感じて。そのシーンを生きている感じをまざまざと見せつけられるような独特の空気感が、この作品にすごく合っていた。「砂漠で黄金発見」とか、なかなか難しいセリフだと思うんです。でもそこに“生感”があった気がしました。

楽駆 確かにあのセリフは難しかったなー(笑)。マンガの実写化ということもあって、普段は言わないようなセリフがいっぱいあったので現実味を持たせるのが大変だったところはありました。演じている最中はなかなか客観的になれませんでしたが、晃がいるからこそ、夕希はあのような生き方ができると解釈していたので、夕希がちゃんと人間らしく見えたらいいなと考えていました。