映画ナタリー Power Push - 「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」綾野剛×忽那汐里インタビュー

2人が飛び込んだ光と闇の世界

ゲーム「FINAL FANTASY XV」のもう1つの世界を描くフルCG映画「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」が、7月9日に封切られる。本作では、ゲームの主人公ノクティスの父親であるレギスの視点からストーリーが展開していき、父と子の絆に焦点が当てられる。映画ナタリーでは、物語の鍵を握るキャラクターに息を吹き込んだ綾野剛と忽那汐里にインタビューを実施。アフレコに挑戦した際のエピソードや、「FINAL FANTASY(以下FF)」シリーズへの思いなどを語ってもらった。

取材・文 / 髙山亜紀 撮影 / 上山陽介

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ニックスはニヒルな男、ルナフレーナは芯の強いお姫様(綾野、忽那)

──まず最初にお二人が演じたキャラクターについて教えてください。

左から忽那汐里、綾野剛。

綾野 僕が演じたニックス・ウリックは、どこか退廃した気持ちや閉塞感を抱えているけれど、それを表にはほとんど出さない人間なんです。ややニヒルなところがある男だなと思いました。ところがニックスは調印式で敵国に裏切られたことをきっかけに久々に感情的になる。それまで何年もの間、国王直属の特殊部隊「王の剣」の戦士としてのあるべき姿にとらわれていた彼が、ずっと閉ざしていた心の扉を思いきり開いて、迷うことなく意思のままに突き進んでいく。ただ、いろんな要素を持ちすぎていて、決して見たままの人ではないんです。

忽那 綾野さんがそんなにしっかりお話したあとだと、ちょっと話しにくいのですが……(苦笑)。

綾野 「FF」のファンだから、つい(笑)。

忽那 どうしようかなと思いました(笑)。私はルナフレーナという役を演じさせていただきました。ゲームにも登場しますが、映画ではキャラクターがちょっと変わっています。すごく芯が強いお姫様で、自ら行動を起こしていくような女性なのですが、子供の頃に自分の国や家族と引き裂かれた過去があって。この映画には、葛藤しながらも苦難を乗り越えて成長していく彼女の姿が描かれています。

左からニックス(綾野剛)、ルナフレーナ(忽那汐里)。

綾野 (ルナフレーナは)FFでいうと、VIのティナのような、活発で無謀だとわかっていても飛び込んでいく勇気のある女性という印象を受けました。

──ニックスは雄々しく力強い戦士、ルナフレーナは上品で凛としているキャラクターですよね。出す声が決まるまではいろいろと研究しましたか。

綾野 ニックスの骨太な感じが出ればいいなと思っていたので、全体的に声のトーンを低くして演じました。どういう声が合っているかというのは、状況に応じて変わりました。

忽那 私は抑揚を大事にしました。声の仕事に慣れ親しんでいないので、言葉の中にどれくらいの感情を乗せるべきなのか、なかなかわからなくて苦労しました……。

キャラクターを見た瞬間に「あ、FFだ」と思った(綾野)

──綾野さんは、キャラクターのビジュアルを見たときにどう思いましたか。

「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」より。

綾野 率直に「あ、FFだ」と思いました。やや枯れていて、何を考えているかわからないキャラクターはだいたいハットをかぶってるとか、FF特有の世界観を感じましたね(笑)。FFは相変わらずまったくブレてないなと。

──忽那さんは「FF」の世界に初めて触れたそうですが、戸惑いはありましたか。

忽那 独特の言葉遣いに戸惑いましたね。最初から最後まで、今までやった役には一度もなかったような口調でした。

綾野 現代劇じゃないから余計にね。男性キャラクターのセリフには、キザな感じというか、FF特有のクールさがありました。姫(ルナフレーナ)のほうはそういう言葉のチョイスは少なかったかもしれませんが……。

忽那 いえいえ、ありましたよ!

綾野 ああいうのを演じるためには、作品の世界にすごく入り込む必要があるよね。僕たちは普段からおもちゃの銃でドンパチやったり、絶対に斬れない刀を振り回したりしているけど、素になって「これはどうせおもちゃだから」なんて思ったら芝居にならないんです。そこは本物だと思って、というより、そういう意識すらなくなって自然と演じています。

左から綾野剛、忽那汐里。

忽那 私は綾野さんよりも先に収録をしたので、2人が一緒に出ているシーンでも、ニックスのセリフの部分はまだ英語版のものだったんです。彼が話している英語がわかってしまう分、頭のスイッチが切り替えられなくなって混乱したこともありました。ニックスの声を消して演じたり、微調整したりしながらやっていきましたね。でも、綾野さん以外の日本語のセリフはすべて入っていたので、作品への理解を深めやすかったです。先に世界観を作り上げてくれていた声優の皆さんに感謝するばかりです。

──カタカナ英語が話しにくいということはありませんでしたか?

忽那 つい英語が出ちゃうようなことはないんですけど、英語と日本語では文章の構成が真逆なこともあるからか、相手のセリフに食い気味に反応してしまうんですよ。焦って「これはダメです。できません!」と言っちゃいました(笑)。シーンによってはまた別の問題が生じたりも……。

綾野 忽那さんは英語がしゃべれるから大変だっただろうね。

「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」

「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」7月9日より全国ロードショー

ストーリー

長きにわたって激しい争いを続けているルシス王国とニフルハイム帝国。国土を侵そうとするニフルハイム帝国に抗うため、113代ルシス国王・レギスは、戦闘能力に優れた移民を集めて国王直属の特殊部隊「王の剣」を結成する。ニックスも戦士の1人として、リベルトやクロウら仲間たちとともに戦いに身を投じていたが、戦況は次第に劣勢になっていく。そんな中、ニフルハイムの参謀・アーデンがレギスに提案してきたのは、領土割譲。さらにルシスの王子ノクティスと、ニフルハイムに属する州・テネブラエの令嬢であるルナフレーナの婚姻を条件とした停戦だった。戦況の不利を悟ったレギスはこの条件を呑み、王都インソムニアで停戦のための調印式が行われることに。しかし式の当日、ニフルハイムの裏切りが発覚。彼らの真の目的は、ルシスの力の源であるクリスタルを奪うことだったのだ。クリスタルはニフルハイムの手に落ち、インソムニアは戦場へと変貌していく。レギス、そしてニックスはルシス王国の未来を守りぬくために、それぞれの立場から強大な敵に立ち向かうが……。

スタッフ

プロデューサー:田畑端
監督:野末武志
脚本:長谷川隆
音楽:ジョン・グラハム
メインテーマ:下村陽子

キャスト

ニックス・ウリック:綾野剛
ルナフレーナ・ノックス・フルーレ:忽那汐里
レギス・ルシス・チェラム:磯部勉
ドラットー:山寺宏一
リベルト・オスティウム:かぬか光明
ルーチェ・ラザロ:関智一
クロウ・アルティウス:藤村歩
イドラ・エルダーキャプト:飯塚昭三
クレイラス・アミシティア:銀河万丈
アーデン・イズニア:藤原啓治
レイヴス・ノックス・フルーレ:中村悠一
トレッド・フュリア:小松史法
ペルナ・カーラ:高木渉

綾野剛(アヤノゴウ)

1982年1月26日生まれ、岐阜県出身。2003年に俳優デビューし数々の映画やテレビドラマに出演する。2013年に「横道世之介」と「夏の終り」で第37回日本アカデミー賞新人俳優賞に輝いた。2014年公開の「白ゆき姫殺人事件」「そこのみにて光輝く」で第88回キネマ旬報ベスト・テンなど数々の映画賞にて主演男優賞を受賞。9月17日に李相日監督作「怒り」、9月22日に「闇金ウシジマくん Part3」、10月22日に「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」の公開を控えている。

忽那汐里(クツナシオリ)

1992年12月22日生まれ、オーストラリア出身。2006年に第11回全日本国民的美少女コンテストで審査員特別賞を受賞し芸能界デビュー。2014年には「許されざる者」「つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語」で第37回日本アカデミー賞の新人俳優賞を獲得した。そのほかホウ・シャオシェンがメガホンを取った「黒衣の刺客」、日本・トルコ合作「海難1890」、ウェイン・ワン監督作「女が眠る時」など、国内外の作品に意欲的に出演している。

スタイリスト / 富田彩人(綾野剛)、髙山エリ(忽那汐里)
ヘアメイク / 石邑麻由(綾野剛)、山田典良(忽那汐里)