映画ナタリー Power Push - 「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」綾野剛×忽那汐里インタビュー

2人が飛び込んだ光と闇の世界

FFの魅力は光と闇(綾野)

──綾野さんは、ゲーム版のFFはかなりやり込んでいるんでしょうか?

「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」より。

綾野 実は、ⅠからⅦまでは全部クリアしているんですけどそれ以降はゲームから遠ざかっていたんです。ハマるとどうしようもなくなってしまって、本職である役者の仕事と両立ができなくなりますから(笑)。それでも、若い頃にやったFFやほかのゲームは、今の芝居や自分の人生観に確実に影響しています。

──なるほど。そんな綾野さんが思うFFの魅力とはなんでしょう?

綾野 光と闇ですね。FFの生みの親である坂口博信さんが作り出した世界観に素晴らしさを感じています。あと、光と闇を観念的に捉えて具現化するというFFの世界は、これまでブレることがなかったんですよ。ブレないからこそ新しい人たちを取り込んでいくことが難しい場合もあるかもしれませんが、その姿勢がまた新たな改革につながるのではないかと僕個人としては思っています。

ゲームの世界を知らない人はきっと驚く(忽那)

綾野 以前、最新版のゲームの映像を忽那さんと一緒に見せていただいたんですが、FFの世界観を知らないはずの彼女の反応がすごく豊かだったんです。(忽那の反応は)僕がFFに関わることでできる恩返しってこういうことなんだって示してくれました。いちファンとしては、1人でも多くの人に「こんな世界観があるんだ」とFFのことを知ってもらいたい。“恩返し”という言葉を使うと、「声優じゃないんだから、そこはプロに任せて、作品には参加しない選択をするのがFFのためじゃないか」と思う人もいるかもしれませんが、そこはまた違ったベクトルなんです。

忽那汐里

忽那 まだ完成していない段階の映像を見せていただいたのですが、人物の動きや話し方、仕草、背景の作り込みなどが実写と見間違うほどリアルだったんです。「こんなにも技術が進んでいるのか!」と衝撃を受けました。私のようにゲームの世界を知らない人たちはきっと驚くと思うし、ハマるかもしれません。まずはそのきっかけを綾野さんと私で作ることができればと思いました。

綾野 忽那さんはきっとⅣ、Ⅵ、Ⅶあたりはどんハマりすると思うよ。

忽那 そうですか? 私、ゲームとか手元で操作するものが全然ダメなんですよ。

綾野 それは全然大丈夫。忽那さんは、物語的にはⅥ、Ⅶあたりが好きだと思うな。わりと重めだから。

自分は新参者なんだという意識は常に持っていた(綾野)

──綾野さんは、声優の仕事をするのは今回が初めてですよね。

綾野  はい。とてつもなく難しかったです。自分は新参者なんだという意識は常に持っていました。現場のテクニカルチームの人々やいろんなスタッフの方々が意見を言ってくださり、助けてくれたおかげでやり遂げられました。

忽那 声優って本当に難しいんですよね。そういえば、綾野さん、収録中は汗だくになって首にバスタオルを巻いてましたよね? 

綾野剛

綾野 アクションシーンではずっと体を動かしていたので、終わったあとは「いやー、さっぱりした」って、風呂上がりのような感覚でした。録音部の方は「動かないでください!」って本当は言いたかったんじゃないのかな(笑)。ほかにものど元をつかまれたシーンは、自分で首をつかんで顔をうっ血させながら演じていたのを覚えてますね。

忽那 そうだったんですね! 私も今回のアフレコでいろんなことに挑戦してみて、挫折を経験しました。挫折なんて簡単に言える感じでもないですけど、自分の限界がわかってしまって……。

綾野 気持ちを作るために録音ブースの照明を消してもらって、さあ始めようと思ったら、真っ暗で台本がまるで読めないことも(笑)。仕方がないから、手元にちっちゃい照明を当てた状態で収録をしました。

忽那 そんな器用なことをしてたんですね。

綾野 いろいろ実験してみたね。

忽那 実験しますよね! ルナフレーナが走るシーンは、実際に走りながら演じていました。ブースの外は真っ暗で、誰とも目が合わないから恥ずかしくないんです(笑)。

「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」

「KINGSGLAIVE FINAL FANTASY XV」7月9日より全国ロードショー

ストーリー

長きにわたって激しい争いを続けているルシス王国とニフルハイム帝国。国土を侵そうとするニフルハイム帝国に抗うため、113代ルシス国王・レギスは、戦闘能力に優れた移民を集めて国王直属の特殊部隊「王の剣」を結成する。ニックスも戦士の1人として、リベルトやクロウら仲間たちとともに戦いに身を投じていたが、戦況は次第に劣勢になっていく。そんな中、ニフルハイムの参謀・アーデンがレギスに提案してきたのは、領土割譲。さらにルシスの王子ノクティスと、ニフルハイムに属する州・テネブラエの令嬢であるルナフレーナの婚姻を条件とした停戦だった。戦況の不利を悟ったレギスはこの条件を呑み、王都インソムニアで停戦のための調印式が行われることに。しかし式の当日、ニフルハイムの裏切りが発覚。彼らの真の目的は、ルシスの力の源であるクリスタルを奪うことだったのだ。クリスタルはニフルハイムの手に落ち、インソムニアは戦場へと変貌していく。レギス、そしてニックスはルシス王国の未来を守りぬくために、それぞれの立場から強大な敵に立ち向かうが……。

スタッフ

プロデューサー:田畑端
監督:野末武志
脚本:長谷川隆
音楽:ジョン・グラハム
メインテーマ:下村陽子

キャスト

ニックス・ウリック:綾野剛
ルナフレーナ・ノックス・フルーレ:忽那汐里
レギス・ルシス・チェラム:磯部勉
ドラットー:山寺宏一
リベルト・オスティウム:かぬか光明
ルーチェ・ラザロ:関智一
クロウ・アルティウス:藤村歩
イドラ・エルダーキャプト:飯塚昭三
クレイラス・アミシティア:銀河万丈
アーデン・イズニア:藤原啓治
レイヴス・ノックス・フルーレ:中村悠一
トレッド・フュリア:小松史法
ペルナ・カーラ:高木渉

綾野剛(アヤノゴウ)

1982年1月26日生まれ、岐阜県出身。2003年に俳優デビューし数々の映画やテレビドラマに出演する。2013年に「横道世之介」と「夏の終り」で第37回日本アカデミー賞新人俳優賞に輝いた。2014年公開の「白ゆき姫殺人事件」「そこのみにて光輝く」で第88回キネマ旬報ベスト・テンなど数々の映画賞にて主演男優賞を受賞。9月17日に李相日監督作「怒り」、9月22日に「闇金ウシジマくん Part3」、10月22日に「闇金ウシジマくん ザ・ファイナル」の公開を控えている。

忽那汐里(クツナシオリ)

1992年12月22日生まれ、オーストラリア出身。2006年に第11回全日本国民的美少女コンテストで審査員特別賞を受賞し芸能界デビュー。2014年には「許されざる者」「つやのよる ある愛に関わった、女たちの物語」で第37回日本アカデミー賞の新人俳優賞を獲得した。そのほかホウ・シャオシェンがメガホンを取った「黒衣の刺客」、日本・トルコ合作「海難1890」、ウェイン・ワン監督作「女が眠る時」など、国内外の作品に意欲的に出演している。

スタイリスト / 富田彩人(綾野剛)、髙山エリ(忽那汐里)
ヘアメイク / 石邑麻由(綾野剛)、山田典良(忽那汐里)