「ULTRAMAN」FINALシーズンから感じる覚悟とチャレンジ精神を青柳尊哉が激賞、そして嫉妬

アニメ「ULTRAMAN」FINALシーズン全12話が、Netflixにて5月11日に配信される。同作は清水栄一×下口智裕による同名マンガをもとにしたフル3DCGアニメーション。特撮ドラマ「ウルトラマン」の後日譚として、ウルトラマンの因子を受け継ぐ主人公・早田進次郎を主人公とした物語だ。2022年に配信されたシーズン2では進次郎を中心に、ULTRAMAN、SEVEN、ACE、ZOFFY、JACK、TAROが集結して陰謀に立ち向かう姿が描かれた。これまでに引き続き神山健治と荒牧伸志が共同監督を務めるFINALシーズンでは、ULTRAMANは「人類の厄災」と呼ばれ、人々から糾弾される存在となってしまう。孤独となった進次郎を待ち受ける運命とは。なお7月にはシーズン2のBlu-ray BOXが発売されることも決定した。

映画ナタリーでは、「ウルトラマンオーブ」「ウルトラマンZ」で知られる青柳尊哉にインタビューを実施。原作マンガファンでもある青柳は、FINALシーズンでは声優としての出演が決定したこともインタビュー中に明らかに。「ウルトラマン」との関わりがより深くなった彼に、シーズン2、およびFINALの感想を聞いた。世界に向けて発信される「ULTRAMAN」を観た青柳は作品から覚悟とチャレンジ精神を感じ、「実写でも面白い作品を作りたい」と刺激を受けたという。

取材 / 大内ライダー文 / 松本真一撮影 / 佐藤類

やりたいことが明確だったシーズン2

──青柳さんは、「ULTRAMAN」原作者の清水栄一先生、下口智裕先生とも交流があり、原作からのファンなんですよね。

はい。俺は物事を解釈するっていうのが苦手なんですよ。戯曲を読むときもそうだし、英語を日本語にするときも、意訳ができないっていうか。でも「ULTRAMAN」の原作マンガを読むと清水先生、下口先生は「ウルトラマン」をこういうふうに分解して捉えて自分のものにして描き上げることができるんだっていううらやましさがすごくありました。自分だったら原作の焼き増しみたいな同じことしか思い浮かばないけど、「ULTRAMAN」は世界の広げ方がうまいから嫉妬しますね。自分とは脳みそが違うんだなと。

青柳尊哉

青柳尊哉

──青柳さんは現在「ULTRAMAN」の応援隊長のような立場で、公式サイトでコラムを連載されてますし、アニメのシーズン1終了後にはコミックナタリーでもインタビューをさせていただきました(参照:アニメ「ULTRAMAN」特集 青柳尊哉インタビュー)。今日はFINALシーズンのお話がメインなんですが、シーズン2のBlu-ray BOXが7月に発売されるということで、そちらを振り返った感想もお聞きしたいです。

清水先生から「シーズン2は原作とは違うよ」とは聞いてて、「違うとはいえ『ULTRAMAN』だろ」と思ってたんですけど、観てみたら「……いや、違うな!」って(笑)。

──重要な要素は残しつつストーリーはオリジナルなので原作ファンも楽しめますよね。原作だとニューヨークが舞台だけど、アニメはそもそも光太郎(タロウ)がアメリカから日本に来るという導入で。

光太郎が日本に来るのもそうだし、イズミというオリジナルキャラのヒロインがいるし、そしてイズミの結末も「そう来るか!?」って。驚きの連続で「……はい?」って感じでした。原作よりSFっぽさも増してましたね。

──原作にはない「人間消失事件」というのがストーリーの大きな軸でした。

あとはやりたいことが明確だったなと思います。「6人のULTRAMANを並ばせたい」という。

「ULTRAMAN」シーズン2終盤ではウルトラ6兄弟のイメージを継ぐ“6戦士”が並び立つ。左からSEVEN、ZOFFY 、ULTRAMAN、TARO、JACK、ACE。

「ULTRAMAN」シーズン2終盤ではウルトラ6兄弟のイメージを継ぐ“6戦士”が並び立つ。左からSEVEN、ZOFFY 、ULTRAMAN、TARO、JACK、ACE。

──仲間がそろっていくまでの展開ってやっぱり燃えますよね。

そしてラストの黄金の城塞戦も、カタルシスがあってワクワクしました。シーズン2はタロウが実質的な主人公でしたね。タロウはしばらくスーツなしの炎超人みたいな状態で、清水先生とも「スーツなしでもかっこいいですね」って話をしてたんですよ。でもスーツ着たら着たでかっこいいなって。

──最初はスーツがない、全身が燃えているキャラの予定だったみたいですよね。原作単行本のオマケマンガでも、「タロウにスーツは着せたくなかったけど、会う人会う人に『スーツ着せないの?』って言われる」「でも着せたらかっこよかったので結果オーライ」と描かれてました。

「ULTRAMAN」シーズン2より。東光太郎はあるきっかけで全身発火能力に目覚める。

「ULTRAMAN」シーズン2より。東光太郎はあるきっかけで全身発火能力に目覚める。

「ULTRAMAN」シーズン2より。東光太郎がTARO SUITを装着した姿。このスーツは光太郎用に作られたものではなかったが、発火状態で暴走した際に、事態の収拾のため緊急装着した。

「ULTRAMAN」シーズン2より。東光太郎がTARO SUITを装着した姿。このスーツは光太郎用に作られたものではなかったが、発火状態で暴走した際に、事態の収拾のため緊急装着した。

そうそう、俺も「本当は着せたくはなかったんだけど」と聞きましたけど、やっぱりスーツで6人並んでたらかっこいいなとアニメを観て思いました。そう言えば2019年のツブコン(「TSUBURAYA CONVENTION」)のときぐらいかな? 清水さんたちとごはん食べてたんですよ。そこでアニメのプロデューサーの石塚(徹)さんに「シーズン2やります」って聞いたときに、「タロウ出るんでしょ? もう俺がウルトラマンを演じたっていいじゃないんですか」って言ったんですよ。

──「ウルトラマンオーブ」ではウルトラマンになりたいけどなれなかったジャグラス ジャグラーを演じ、「ウルトラマンZ」では防衛隊の隊長までやったんだからもういいだろうと(笑)。

清水先生にも「俺はいいと思うよ(笑)」って言ってもらえるとこまではいったけど、丁寧に断られました。

「作品のテーマなんじゃないか?」という大事なセリフを言う役で出ます

──(笑)。前回のインタビューでも、シーズン2に関しては「青柳は出るチャンスあるのか?」とおっしゃっていて。「ULTRAMAN」公式サイトのコラムでもやはり、シーズン2に対して「スケジュール空けときます!」と書かれてましたが、結果としては……。

シーズン2は出られなかった(笑)。準備は万端にしてたんですけどね。こういうコネキャスティングって安易にいけるかなと思ってたんですよ(笑)。これは大きい字で書いてほしいんですけど、コネキャスティングはなかったです! 世の中そううまいこといかなかったです。芸能界、厳しいですよ(真顔で)。

──でも「シーズン2は出られなかった」ということは……?

FINALシーズンは出られたんです。

──おめでとうございます!

あのー、コネキャスティング……ありますね(キッパリ)。粘り勝ちです。

──営業努力が報われましたね(笑)。いや、でも本当はちゃんとボイスサンプルを送って、オーディション形式で選んでもらったとは聞いたので一応それはフォローしておきます。

でもついにクレジットにも名前が載ってるんです。うれしかったですね。

TARO SUITに祝福される青柳尊哉。

TARO SUITに祝福される青柳尊哉。

──どういう役で出るんでしょうか。

科学特捜隊の五条という役です。でも安易に出るもんじゃないですね。やっぱりね、声のお芝居って難しいんですよ。科特隊員なので説明ゼリフも多いし。

左から魚建が声を当てる井手光弘、青柳尊哉が声を当てる五条隊員。

左から魚建が声を当てる井手光弘、青柳尊哉が声を当てる五条隊員。

──これまで特撮でもアフレコの経験はあると思いますが、アニメだとやはり勝手は違いましたか?

普段やってる芝居の感じとはまた全然違いますね。特撮だけではなく、「怪獣娘」というアニメでも潘めぐみちゃんとかにアドバイスしてもらいながら声優をやらせてもらいましたけど、アニメは1年に1本やるかどうかなのでクセになってないというのもありますし。「ULTRAMAN」の収録では白石役の白石稔さんとか、星山隊員役の柚木尚子さんと一緒になったんですが、皆さん神がかって上手でした。白石さんには「普段やってる演技をこう変えたらいいだけだよ」とか、隣でどれだけ教えてもらったか。あとは井手役の魚建さんとは一緒にやるシーンが何回かあったんですけど、そのときはちゃんとやり取りをできたなと感じて楽しませてもらいましたね。

──声優をやるにあたって、監督や原作者から言われたことは?

いや、どうこうしてほしいとかはなくて「楽しんでください」だけでしたよ。あと、五条以外のモブとしても出てます。集団統率みたいなシーンがあって、そこで大きな声を出して、周りを引っ張るみたいなのは得意というか、普通にできるから。最終話はいいセリフをいただきました。「こんな大事なこと、市井の人に言わせる?」という、作品のテーマなんじゃないかという大事なセリフです。僕はいろんな声が出せるわけじゃないので、どのキャラかは見たらすぐわかると思います。