アニメ「ULTRAMAN」特集 青柳尊哉(「ウルトラマンZ」ヘビクラ ショウタ/ジャグラス ジャグラー役)インタビュー|Blu-ray BOXを宇宙初開封

「ULTRAMAN」のBlu-ray BOXが、8月27日に発売されることを記念した特集の最後を飾るのは、俳優の青柳尊哉。現在放送中の特撮作品「ウルトラマンZ」に、対怪獣ロボット部隊・ストレイジのヘビクラ ショウタ隊長として出演している彼は、「ULTRAMAN」の公式サイトでコラムとイラストを毎月連載中で、原作者の清水栄一×下口智裕とも交流があるなど、作品との関わりが深い。そんな青柳が語る悩みを抱えるヒーローの魅力、そして「ULTRAMAN」と「ウルトラマンZ」の共通点とは。

後半では製品ができたばかりのBlu-ray BOXを、開封者第1号としてレビューしてもらった。青柳のリアクションを見て、その臨場感を味わってほしい。

取材・文 / 松本真一 撮影 / 曽我美芽

進次郎の生き方には訴えかける力がある

青柳尊哉

──青柳さんは「ULTRAMAN」の公式サイトでコラム連載をされていて、原作やアニメ版の感想を書かれてますよね(参照:ULTRAMAN公式サイトのコラム一覧)。そもそも何がきっかけで「ULTRAMAN」を知ったんでしょうか。

僕がジャグラス ジャグラーという役で出演していた「ウルトラマンオーブ」の、主役の石黒(英雄)くんが、先に原作の「ULTRAMAN」のことも知ってたんですよ。そして「オーブ」スピンオフの「ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA」というドラマで、清水栄一先生、下口智裕先生がゲスト出演された回があって、それからちゃんと読むようになりました。

──その後、清水さん、下口さんとは交流もあるらしいですね。

清水先生が東京に出てくるときに会ったりはしてますね。清水先生も下口先生も、「ウルトラマンオーブ」を好きだと言っていただいて。そして「いつかジャグラーの絵を描いてください」って言ったら、実際描いてくださったんですけど、あれは本当にすごくうれしかったですね。そんなに好きでいていただいたんだなっていうのを実感した瞬間でした。

──以前、青柳さんがコラムで描かれた「ULTRAMAN」のアストラの絵に対して、下口さんが「スタッフに青柳さんのアストラを見せたところ『青柳さんのアストラの方がイケメンに見える』そうです!悔しいですw」と反応しているのは拝見しました。

アストラはすごくバランスが難しかったですね。その前に描いたレオのほうが気に入ってたんだけどな(笑)。

──「ULTRAMAN」のアニメ化前から原作を読まれていたと思うんですけど、このマンガの魅力はどういった部分だと思いますか?

スタイリッシュなカッコよさもあるし、「この伏線、どこで回収されるんだろう」ってワクワクしながら先を読み進める楽しみもあるんですけど、何より初代ウルトラマンの息子である進次郎の生き方に訴えかける力がある作品だと思います。彼の持つ悩みはとても大人向けだなと。

アニメ「ULTRAMAN」より、佐山レナとイガル星人。

──最初は力を手に入れて浮かれるけど、街に被害が出て、力を持つことに葛藤するという。マンガで好きなシーンはありますか?

シーンというか、レナとイガル星人絡みの話が好きですね。

──イガル星人は宇宙人だけど、人間のアイドルのレナに執着するようになって、レナをネットで叩くアンチを許せなくなって、その結果地球人に利用されて……というエピソードです。

「人間のほうが残酷だな」と思わされる瞬間があったり、イガル星人の「人間と仲良くしたいだけなのに」という思いが見えたり、物語として普遍的なものを感じますよね。そしてイガル星人の死をきっかけに、進次郎も「ヒーローとは」という悩みが出てきて、成長していく。進次郎と、「ウルトラマンジード」の朝倉リクってすごくダブると思ってるんですよ。

──現在放送中の「ウルトラマンZ」にも登場するウルトラマンジードことリクも、進次郎と同じく父親がウルトラマンです。

進次郎は父親が初代のウルトラマンで、自分もウルトラマンになれるっていう自分の能力に気付いて、その成長が描写されていくじゃないですか。リクも父親がウルトラマンベリアルという悪い宇宙人であることを知って、自分の存在意義みたいなのに向き合わないといけない。進次郎もリクも若いのに大きなものを背負わないといけない、その葛藤がある。

──自分は普通の人間だと思ってたのに、父親の影響で怪獣と戦える能力を「持ってしまう」というか。

そこに気付いて向き合っていくというね。そして「駄々のこね方」というんですかね。「僕はどうしてこういう力を持ってしまったんだ!」みたいになってしまうのは、共通しているなと。そして「ウルトラマンZ」の主人公のハルキは、「ULTRAMAN」でいうと東光太郎と似てると思います。

──2人ともまっすぐですよね。

熱くてまっすぐで、盲目的な部分も似ているなと。ハルキは「ウルトラマンZ」の1話で、逃げ遅れた犬を助けたことが原因で街に被害が出るんですけど、でもそれが間違ってると思ってない。「自分はそうすべきだと思ったからだ」というのをまっすぐぶつけてくる、ハルキの危なっかしさは、光太郎感があるなって。

──まっすぐなのは悪いことではないけど、それだけでは解決できない問題にぶつかることもあるという。

そうそう。でもそのときに誰かが寄り添ってくれるタイプでしょうね。光太郎も大切な友人を失ったことがきっかけで成長したわけですけど、ハルキもこれからいろいろあると思いますよ。

──「ULTRAMAN」の進次郎、「ウルトラマンジード」の朝倉リクみたいな、悩みや葛藤のあるヒーローって魅力的ですよね。

そうですね。ヒーローって、やっぱり現実を超越してるじゃないですか。完璧なヒーローに憧れを持っている少年も、段々と「こうはなれないな」ということに気付いていかざるを得ない。マンガやアニメを観て、真剣に「そのヒーローになりたい」って思い込めば思い込むほど、「結局飛べないし」って挫折するみたいな。

──やっぱりヒーローって自分と違うんだな、と思ってしまう。

青柳尊哉

だけどヒーローの心の葛藤とか悩みという部分を描かれると、それは僕らもみんな持っているわけですから、そこで共感できるんですよね。「ヒーローだって悩んでるんだし」って思って、楽になることもあるかもしれないし。もちろん悩みのない、強いヒーローの勧善懲悪みたいなのもいいかもしれないですけど、僕は陰がある人、問題を抱えている人を愛おしいと思っちゃいますね。

──「ウルトラマンオーブ」「ウルトラマンZ」で青柳さんが演じるジャグラス ジャグラーも、「光の戦士になりたかったけど、なれなかった」という、かなり魅力的なキャラです。

そうですね、主人公にはなれないと思いますけど(笑)。

「ガシャーン! ガシャーン!」は男の憧れ

──「ULTRAMAN」原作のファンとして、アニメを観た感想はいかがでしたか?

まずCGが圧倒的ですよね。特に街の描写がすごくて、建物をここまで生々しくできるのかと。そして渋谷がそのまま再現されてるじゃないですか。渋谷で戦ったり、街を破壊したりするのは実写でも難しいと思うんですけど、CGアニメなら叶うんだなと。あとやっぱり、変身するときの「ガシャーン! ガシャーン!」っていう演出がすごく好きです。

──アニメ独自の演出ですね。一瞬で変身するんじゃなくて、装甲が少しずつ体に装着されていくという。

僕は子供の頃、「鎧伝サムライトルーパー」が好きだったんですけど、あれを彷彿とさせるなって。

──「聖闘士星矢」の聖衣の流れを汲む、アーマー装着演出。

やっぱり「ガシャーン! ガシャーン!」は男の憧れだと思います。あれは子供が見たら絶対に「ウルトラマンになりたい!」って思うんじゃないですか? 僕もああいうの撮りたいですよ。イベントの「なりきりムービー」(注:ウルトラマン関連のイベントで実施されている、グリーンバックの特設スタジオで動画を撮ることで変身シーンを再現してDVDに残せるコーナー)でやったほうがいいですよ。

──「ULTRAMAN」バージョンも用意してほしいと。いいですね。

青柳尊哉

あとは声優の皆さんの演技が本当に本当にカッコよくて。僕は「ウルトラマンZ」でストレイジという防衛チームの隊長をやらせてもらってるんですけど、諸星弾もある種の隊長ポジションじゃないですか。芝居のやり方は違うんですけど、諸星の「冷酷だけど面倒見がいい」という意識の持ち方は「Z」で参考にさせてもらってます。

──この記事を読んでいる青柳さんのファンには、「特撮のウルトラマンシリーズは観てるけど、アニメ『ULTRAMAN』はまだ観てない」という方もいると思います。そういう人にアニメもアピールするなら?

僕は「実写だからできること」っていうのをすごく大事にしてるんです。CGではない、ミニチュア特撮だけが持ってる“ホコリ感”、生命力って絶対あると思うんですね。だけどCGだけが持ってるもの、アニメ「ULTRAMAN」だから出せた生命力、熱さというのも絶対あって、そこには驚かされて感動もしています。ミニチュアとはまた違う呼吸の仕方をしている背景や生活がアニメの中にはあるので。あとは実写だと絶対できないアングルで撮ってるシーンもありますし。どっちも人間の手で創るものなんですけど、物事の視点を変えると世界がまた広がると思います。特撮が好きな人も興奮できるのがアニメ「ULTRAMAN」ですよ。ぜひ興奮してほしいですね。