相棒と呼べるのはケンドーコバヤシ
──プロレスマニアなザコシショウさんにとって、ヒーローとはどんな人物でしょうか?
カリスマ性があるかどうかで決まってくるんじゃないですか? リーダーシップが取れてもカリスマ性がなかったらヒーローじゃないですし。
──周りにそういう方はいますか?
まあそうですねえ……。ケンコバなんか、この映画の中にいそうですけどね。あいつ、アメコミの登場人物みたいな人間なんですよね。僕がR-1で優勝したときに、一緒に飲みに行ったんです。そしたらあいつ、あえて「おめでとう」って言葉を言わないんですよ。俺はずっと言ってくれるかなって思ってたんですけど。でも、こないだ収録で会ったときに「おめでとう」って言ってくれたんですよね。そういう男臭くてカッコいいところがあるんですよ、あいつには。でもケンコバはむしろヒールのほうですかね。
──逆にヒール像っていうのは?
悪いやつなんですけど、ヒーローより売れちゃうとかね。マンガで言えば「ドラゴンボール」のピッコロ大魔王とかベジータとか。あと「北斗の拳」のラオウとかがそうですよね。悟空もケンシロウも、ヒーローとしてキャラが確立してるからいいんですけど、それよりも魅力があふれちゃうのがヒールなんです。でもヒールはヒーローがいてなんぼなので、ヒーローのキャラが立っていないと、ヒールも立たないんですけどね。だから持ちつ持たれつなんですよ、たぶん。
──ストーリー上、中津と土志田の相棒という関係性も重要なポイントでした。ザコシショウさんはピンで活動されていますが、相棒と呼べる人はいますか?
うーん、ケンコバですかね。同期で一番仲良いのはあいつなんでね。連絡が途切れたことがないんですよ。僕が売れてないときでも、半年に1回は連絡がありましたね。僕が全然売れてないときに、テレビの取材でケンコバが「ライバルは誰ですか?」って聞かれて、「ハリウッドザコシショウです」って言ったんですって。そしたらスタッフが「ハリウッドザコシショウって誰だ?」って言って、そこだけカットされたらしいです(笑)。ははははは!
7年前から動画制作マニア
──プロレス以外に自分がマニアだと思うものはありますか?
動画をね、1日1個制作してブログにアップしてるんですよ。ネットだから制限もないし、自分の好きなことばっかりやってるんですけど。まあ毎日のことなので、内容が偏らないように気を付けてます。
──今でも本当に毎日更新されてますよね。Twitterにアップされてる「ドラクエの敵ものまね」も総数130を超えてますし。
芸人で、「ブログ始めたんだよ」って言うくせに最後の更新が半年前だったりするやついるじゃないですか。僕は、つまんなくてもいいから絶対に毎日アップしようっていうこだわりがありますね。昔、今の奥さんなんですけど、当時の彼女に「動画を始めるんだよ」って言ったら、「まあ30回続けばいいよね」って返されて。腹が立ったから、それからずっと続けてるんですよ(笑)。
──動画のアップはどれくらい前から始めたんですか?
7年くらい前じゃないですか?
──7年! それは立派なマニアですね……。反響はありますか?
反響もありますし、R-1のネタもそういうところから出てきてるんですよ。オリラジ藤森(オリエンタルラジオ藤森慎吾)のモノマネは、昔作った「恥ずかしいモノマネを恥ずかしげもなくやる方法」っていう動画がもとになってて。とりあえず表現してみたらそこから何か派生するものがあるから、今はとにかくやってみてます。
──では最後に映画の話に戻りまして、これから本作を観る人に向けて見どころを教えていただけますか?
僕が一番「おおー!」と思ったのは、鶴太郎さん演じるおじさんと窪田正孝くん扮する土志田の格闘シーンですね。鶴太郎さんのトンカチアクションが一番好きでした。還暦過ぎてあれだけ動けるのはすごいですよね。あと中津とカオリと土志田の三角関係も、甘酸っぱい感じがしてよかったですね。カオリが節々でリーダーのことが好きっていう表情を見せる一方、土志田はカオリのことが好きだからジレンマがある感じで。高校生の頃に戻ったような気持ちになりましたよ、「あのときはよかったなあ」みたいな(笑)。まあ僕、男子校ですけどね。
──え!?
そんな思い出、全然ないですよ。はっはっは(笑)。まあ、アクションシーンも甘酸っぱい青春も楽しめる、素晴らしい映画です!
「ヒーローマニア-生活-」2016年5月7日より全国ロードショー
さびれた地方都市・堂堂市。商店街はスラム化し、環境汚染や貧困など暗いニュースばかりが報じられていた。コンビニでバイトをしながらうつうつとした日々を過ごすフリーター・中津は、ある日謎の身体能力を持つニット帽の青年・土志田が下着泥棒をはたらく場面を目撃する。チンピラをも倒してしまう彼の実力に惹かれた中津は「俺と一緒に戦わないか?」と声をかけ、腐った街から悪を排除すべく2人で警備活動をスタートする。さらに“若者殴り魔”のサラリーマン・日下と調査マニアな頭脳派女子高生・カオリも仲間に加わり、自警団“TURUSI-MA(吊るし魔)”を結成。悪いやつらをやっつけてはロープで吊るして見せしめることで、いつしか街のヒーローとなったTURUSI-MAは、日下の提案から“ともしび総合警備保障”として法人化することになるが……。
スタッフ
監督:豊島圭介
原作:福満しげゆき「生活【完全版】」(モーニングKCDX / 講談社刊)
主題歌:NICO Touches the Walls「ストラト」
キャスト
中津秀利:東出昌大
土志田誠:窪田正孝
寺沢カオリ:小松菜奈
日下孝蔵:片岡鶴太郎
宇野正:船越英一郎
オカッパおばさん:山崎静代
日下響子:松岡恵望子
佐々木:村上和成
吉川:黒田大輔
©福満しげゆき・講談社/映画「ヒーローマニア-生活-」製作委員会
ハリウッドザコシショウ
1974年2月13日生まれ。静岡県出身。1992年、大阪NSCに11期生として入学。翌1993年に吉本興業よりコンビ・G★MENSとしてデビュー。2002年にピン芸人としての活動を開始。2007年より放送されたTBSの深夜番組「あらびき団」に初回から出演し、「キング・オブ・あらびき」と称される。2016年3月、芸歴24年目にしてR-1ぐらんぷり初優勝を果たした。現在はSMA NEET PROJECTに所属し、自身初となるDVD「ハリウッドザコシショウのものまね100連発ライブ!」の発売を2016年初夏に控えている。