「クリード 炎の宿敵」|伝説の歩み、よみがえる因縁!何度でも立ち上がる不屈の魂!「ロッキー」シリーズの軌跡をコラム&相関図でたどる

「ロッキー」史上ナンバーワンの大ヒットオープニングを飾った傑作「クリード 炎の宿敵」が、1月11日より全国で公開される。

マイケル・B・ジョーダンが主演を務める本作は、ロッキーの盟友アポロの息子アドニス・クリードを主人公とした作品だ。1985年製作「ロッキー4 炎の友情」において、アポロをリング上で死に追いやった“殺人マシーン”イワン・ドラゴが再び登場。彼が持てる技術すべてを徹底的にたたき込んだ息子ヴィクターが、クリードの前に立ちはだかる。

映画ナタリーでは「ロッキー」シリーズの歩みを振り返るとともに、「ロッキー4 炎の友情」から「クリード 炎の宿敵」へ引き継がれた宿命の戦いにスポットを当てたコラムを掲載。さらに父子、師弟、新たな家族と人間ドラマが魅力となっている本作の相関図も用意した。

文 / 相馬学(P1、P2コラム)、奥富敏晴

「ロッキー」から「クリード」への歩み

映画に登場したアスリートの中でも、ロッキー・バルボアほど愛されたキャラクターはいない。フィラデルフィアのしがない三流ボクサーから伝説のチャンプへ、不屈の精神で駆け上がった男。「ロッキー3」の撮影のために作られた、その銅像は現在もフィラデルフィア美術館前に設置されており、観光名所にもなっているほどだ。なぜ、こんなにも愛されるのか? それはロッキーというキャラクターに、観客の魂に触れるような人間ドラマが宿っているからにほかならない。

「ロッキー」 「ロッキー2」

アカデミー賞に輝く1作目「ロッキー」は、ヘビー級チャンピオン、アポロ・クリードとの対戦というまたとないチャンスをつかんだロッキーが恋人エイドリアンとの愛に支えられながら、15ラウンドを戦い抜くという奇跡を起こしてみせた。続く2作目ではエイドリアンとの結婚を機に、一度はボクシングをやめようとするも、ボクサーの血には抗えずアポロとの再戦に挑み、ついに念願の王者に。3作目ではアポロをトレーナーに迎え、一度は奪われた王座を奪還した。そして4作目「ロッキー4 炎の友情」では、今や親友であるアポロを倒して死に追いやったソ連のボクサーを相手に、因縁の対決に臨んだ。このように、シリーズは波乱万丈と呼ぶにふさわしい劇的なドラマに彩られている。そこには、どんな困難に直面しても決して逃げないロッキーの哲学とともに、シリーズを重ねるごとに絆を深めるアポロとの友情が浮き彫りにされているのだ。

「ロッキー3」 「ロッキー4 炎の友情」

引退後を描いた5作目「ロッキー5 最後のドラマ」も同様だ。ジムのトレーナーとなり、才能あふれる若いボクサーを育て、富や名声とともに慢心を抱いたこの弟子を拳で叱る。そして6作目「ロッキー・ザ・ファイナル」では老境に差しかかり、なおリングに上がることを決意したロッキーは、彼を笑い者にする人々を黙らせるほどの壮絶なファイトを演じてみせた。シリーズは、ここで終わるはずだったが、アポロの息子アドニスのドラマ「クリード チャンプを継ぐ男」ができあがったことで、ロッキーはスクリーンに再登場。才能あるアドニスを鍛え上げる一方で、老いによる体力の衰えや病魔とも闘い続けるロッキー。一線を退いても、人生は続く──ロッキーは、そんな現実に立ち向かう勇気を与えてくれるのだ。

「ロッキー5 最後のドラマ」 「ロッキー・ザ・ファイナル」

シリーズの生みの親シルヴェスター・スタローンは、まさしくロッキーの人生の体現者だ。無名時代に1作目の脚本を書き、自分で主演することにこだわり、その成功によってアメリカンドリームを体現。2作目以降は監督も兼任するようになり、自身の歩みをシリーズに投影し続けた。「クリード チャンプを継ぐ男」は「ブラックパンサー」の若き才人ライアン・クーグラ―が持ち込んだ企画だが、彼の熱意に胸を打たれたスタローンが製作を買って出て、新たな伝説がスタートした。そしてドラマは新章「クリード 炎の宿敵」へ。ロッキーはアドニスとともに、さらに戦い続ける!

「クリード チャンプを継ぐ男」 「クリード 炎の宿敵」
「ロッキー」(1976年製作)

監督:ジョン・G・アヴィルドセン

脚本・出演:シルヴェスター・スタローン

「ロッキー」

発売中
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン[Blu-ray] 2057円

“イタリアの種馬”ロッキー・バルボア伝説の幕開け。米フィラデルフィアの片隅で、賞金稼ぎのボクサーとして生きるロッキーが、現役最強王者アポロ・クリードとの対戦に挑む! 第49回アカデミー賞では作品賞を含む3冠。

「ロッキー2」(1979年製作)

監督・脚本・出演:シルヴェスター・スタローン

「ロッキー2」

発売中
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン[Blu-ray] 2057円

「コケにされた」と復讐に燃える世界王者アポロとのリターンマッチに臨むロッキー。恋人エイドリアンとの結婚や子供の誕生、ボクサーではなく1人の人間として人生の節目を迎える。にわとりを追いかける独特のトレーニング方法も本作から生まれた。

「ロッキー3」(1982年製作)

監督・脚本・出演:シルヴェスター・スタローン

「ロッキー3」

発売中
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン[Blu-ray] 2057円

世界王者ロッキーは長く頂点に君臨し、ハングリー精神を失っていた……。そんな彼の前に闘争心むき出しの“猛獣”クラバー・ラングが現れる! 防衛戦でKO負けして人生のどん底を味わったロッキーに、戦友アポロが手を差し伸べる。2人のアツい友情に涙。

「ロッキー4 炎の友情」(1985年製作)

監督・脚本・出演:シルヴェスター・スタローン

「ロッキー4 炎の友情」

発売中
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン[Blu-ray] 2057円

「俺はファイターだ。それは変えられない」。ソ連の“殺人マシーン”イワン・ドラゴに敗れたアポロが命を落とす。復讐に燃えるロッキーは、周囲の反対を押し切り敵地モスクワへ。国の威信、そして親友のための戦いが今始まる。シリーズ最大のヒット作。

「ロッキー5 最後のドラマ」(1990年製作)

監督:ジョン・G・アヴィルドセン

脚本・出演:シルヴェスター・スタローン

「ロッキー5 最後のドラマ」

発売中
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン[Blu-ray] 2057円

トレーナーへ転身したロッキーは後継者の育成に励む。有望株トミー・ガンに昔の自分の姿を重ねるが……。師として父として、ロッキーの新たな挑戦が始まった。ロッキーJr.を演じるのはスタローンの実子セイジ・スタローン。

「ロッキー・ザ・ファイナル」(2006年製作)

監督・脚本・出演:シルヴェスター・スタローン

「ロッキー・ザ・ファイナル」

発売中
20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン[Blu-ray] 2057円

最愛の妻エイドリアンに先立たれ、息子とも疎遠な余生を送るロッキーが、現役チャンピオンに挑む。ロッキーの湧き上がる闘志は誰にも止められない! シリーズ16年ぶりの新作。齢60でボクシングに返り咲いたスタローンの生気に満ちあふれた快作。

「クリード チャンプを継ぐ男」(2015年製作)

監督・脚本:ライアン・クーグラー

脚本:アーロン・コビントン

「クリード チャンプを継ぐ男」

発売中
ワーナー・ブラザース ホームエンターテイメント[Blu-ray] 2571円 / [DVD] 1543円

伝説の王者アポロの非嫡出子として育ったアドニス・“ドニー”・ジョンソンは、父の盟友ロッキーに教えを請う。しかしプロボクサーとして生きるには、“クリード”の名はあまりにも偉大過ぎた……。シリーズの新たなる幕開け。