映画ナタリー Power Push - 「相棒-劇場版IV- 首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断」

今からでも楽しめる「相棒」入門、ビギナーもフリークも大満足な新作の魅力とは

実は「相棒」ファミリー?赤ペン瀧川の映画添削ミニ動画も!

冠城亘のキャラは、反町隆史さんだから成立する

──そんな「相棒」ファミリーの瀧川さんですが、「相棒-劇場版IV-」をご覧になって、いかがでしたか?

「相棒-劇場版IV-首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断」より。

そう、ファミリーのね……とはいえ、種村はもう刑務所の中ですけどね!(笑) 率直な感想として、まずすごく面白かったです。その理由は、「相棒」のドラマと地続きの物語であるっていうことはもちろんですが、今日本で公開される映画としての意義がしっかりとあったんです。日本人が、今この時代に観るべきだ!っていう作り手の心意気やメッセージがちゃんとある。ただある1個の事件があって、それを解決していくってだけの規模じゃない。視野が広いっていうか。そこだけ言うと説教くさくて難しい映画なのかなって思われちゃうかもしれないけど、エンタテインメント性を求める観客も楽しませてくれますし。あと、いちいちギャグが冴えてて、クスクスさせてくれるところもいっぱいありました。物語上の感動だけじゃなくて、いちクリエイターとして「すげえもん観たな」って思いましたね。

──犯人からの脅迫状にも「日本人の誇りが砕け散るだろう」とあり、日本人として考えなければならないテーマも描かれていましたね。season14からは、反町隆史さん演じる冠城亘が4代目相棒になりました。彼が登場する初めての劇場版でしたが、亘の相棒っぷりはいかがでしたか?

「相棒-劇場版IV-首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断」より。

歴代の相棒とどう差別化するかっていうのは、作り手にとっても演じ手にとっても課題になると思うんですけど、ちゃんと新しいんですよね。カッコよくて、飄々としながらも仕事はバシっと決めてくれる。とにかく魅力的でした。濃すぎない、うるさすぎないキャラクターだけど、しっかり存在感がある。そういう意味では、反町さんみたいなスターがやるから成立するのかもしれないですね。これがそこらの若手だったら、もっと自分を出したくなっちゃうし。スターとしての存在感がにじみでてるから、無理のない飄々としたカッコよさにつながるのかな。

──肩の力が抜けている感じは、反町さんご本人に共通する部分というか。

そうですね。川原(和久)パイセンとか、山中(崇史)パイセンとか、周りに熱いメンバーがいるじゃないですか(笑)。そういう人々が演じる熱いキャラとの対比もすごくいいし。

この映画から「相棒」を始めてもいい

──個人的な好みで言うと、4人のうち“推し”の相棒はどなたですか?

赤ペン瀧川

確実に思い出補正が入ってしまうんですが……やっぱり初代です。

──寺脇康文さん演じる亀山薫ですね。

当時、初めて「相棒」を観たときの衝撃と感動がそうさせてるんでしょうね。初代以外を答えようとしたら、全部のポイントを細かく比べちゃうんですけど、初代の存在があるからこそ「次の相棒はどんな人だろう? どんなキャラクターなんだろう?」って、ファンの気持ちが続いていったと思うので。僕の中で、初代の存在は大きいですね。

──今回の映画では、及川光博さん扮する2代目相棒・神戸尊さんも活躍しましたね。

ね! 及川さんが出演されていると知らずに観たので、キュンとしました。パレードのシーンでちゃっかり鈴木杏樹さん(演じる幸子)が出てくるのも、面白かったです。本当に、「いつもありがとうございます!!」みたいな気持ちでしたね(笑)。

──パレードの観衆の中に紛れているという。

そうです。ちゃんとお着物でいるんだ!みたいな(笑)。「相棒」を初めて観る人が楽しめる作品づくりは絶対に大事だと思うんです。そのうえで、それぞれ大好きなキャラクターの姿を観たいと思ってるファンも満足させられるような、サプライズがしっかり仕込んでありました。

──「相棒」ビギナーが観ても、「さっき出てきたあのキャラは、いったい誰なんだ?」って気になりますよね。

そうそうそう。それで過去のシリーズも観たくなると思う。この映画から「相棒」を始めて、観返していってもいいじゃないですか!

赤ペン瀧川

──ありがとうございます。最後に、これから映画を観る方へメッセージをいただけますか。

ファンの方も、初めて「相棒」を観る方も、それぞれがいろんな気持ちにさせられると思います。楽しかったり、ドキドキしたり、驚いたり、感動したり。今の日本で観る価値がある、今こそ観てほしいというテーマが描かれているので、見逃さないでいただきたいです!

Contents Index
「相棒」シリーズとは / 杉下右京と歴代の相棒たち
「相棒-劇場版IV-」キーワード / 登場キャラクター / フォトギャラリー
赤ペン瀧川の映画添削ミニ動画 / インタビュー

「相棒-劇場版IV-首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断」2017年2月11日全国公開

「相棒-劇場版IV-首都クライシス 人質は50万人!特命係 最後の決断」

かつてイギリスで日本領事館関係者の集団毒殺事件が起こり、唯一の生き残りだった少女が国際犯罪組織“バーズ”によって誘拐された。しかし、身代金を要求された当時の駐英大使と日本政府は、事実を闇に葬ってしまう。それから7年。バーズのリーダー“レイブン”を追って、国連犯罪情報事務局元理事のマーク・リュウが来日し、特命係がその案内役を任される。その矢先、7年前に“国に捨てられた少女”の現在の姿と、身代金9億円を要求するメッセージが、犯行グループによって公開された。さらに犯人たちが、50万人を死に至らしめる毒物を所持していると判明し……。

スタッフ / キャスト

監督:橋本一
脚本:太田愛
出演:水谷豊、反町隆史、仲間由紀恵、及川光博、石坂浩二、鈴木杏樹、川原和久、山中崇史、山西惇、六角精児、神保悟志、小野了、片桐竜次、北村一輝、山口まゆ、鹿賀丈史ほか

赤ペン瀧川(アカペンタキガワ)

1977年12月27日生まれ、神奈川県出身。映画コメンテーターとして、テレビ、ライブ、コラムなど多方面で活躍中。スライドとトークを武器に、作品に鋭いツッコミを入れる“映画添削”で知られる。また俳優・瀧川英次として、「アウトレイジ」「スイートリトルライズ」などに出演。「相棒」season13や「下町ロケット」「せいせいするほど、愛してる」といったドラマにも参加した。また自身が主宰する演劇ユニット「七里ガ浜オールスターズ」では、演出も担当している。


2017年2月8日更新