「40までにしたい10のこと」風間俊介・庄司浩平インタビュー|“優しい人しか出てこない物語”の舞台裏とは?お互いへの質問コーナーも (2/2)

庄司浩平 インタビュー

みんながいい週末を迎えられるように、と思って作っていました

──出演情報が解禁されたとき、「オーディションを受けた時からなんだかこの役がしっくりくるなと思っていました」とコメントされていました。まずはその真意からお聞きしたいです。

違和感がないというか、あんまり無理しなかったということかなと思います。オーディションでバックハグのシーンもやったのですが、探り探りな中でもそんなに自分とかけ離れすぎていないというか……。日頃から“あすなろ抱き”する人間ではないんですが(笑)、芝居の空気感に無理がないなとは思っていました。

庄司浩平

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──慶司は仕事のできるクールなキャラクターでしたが、一方で雀との関係性に悩むピュアな姿には親近感も湧きました。役作りではどういったことを意識されていたのでしょうか。

役作りという言葉の定義は役者さんによってさまざまですし、僕は特殊なことはしていませんが、撮影中はもちろん、撮影前の本読みの段階でのすり合わせが一番大切だと思っています。作品自体の方向性や性質みたいなものを、みんなでちゃんと理解して共有していくことが役作りなのかなと。

──具体的には、慶司というキャラクターについて監督や風間さんとどんなことを話されましたか?

クール系のキャラクターなんですが、僕の顔がいわゆる……かわいい系の顔ではないから、そのまま演じるとクールをちょっと通り越して冷徹になってしまう可能性がある。撮影初日から3日目ぐらいまでは、シーンごと、カットごとに池田監督と話しながら調整していた記憶があります。

ドラマ「40までにしたい10のこと」場面写真

ドラマ「40までにしたい10のこと」場面写真

──ドラマ視聴者の反響も大きかったですよね。

優しい人しか出てこない作品ですし、放送のタイミングが金曜の夜だったので、みんながいい週末を迎えられるように、と思って作っていました。人によっては違う時間帯に観ると思うんですが、その方たちも30分間は少なくともハッピーな気持ちでいられて、場合によってはその1日がちょっとでも明るくなれば……と。

──SNSでもいろんな声が聞こえてきたと思います。

あんまり、SNS見ないんですよね。

──風間さんはじめ共演者の方とすごくやり取りされてた印象が……。

あれはLINEみたいな感覚です(笑)。その流れで、平子さんの連絡先もゲットしました! 平子さんからSNS上では「デカいやつ」みたいに言われてたのに、僕が(リプライで)LINEを聞いた2分後ぐらいに「これでいいかい?」って優しいお父さんみたいなDMが来ました(笑)。男たちだけでごはんに行く約束をしています。

庄司浩平

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たくさん影響を受けた、風間俊介の主演像

──SNSでは風間さんとも、放送日によくやり取りされていましたね。

最初から風間さんが、僕がラリーを続けやすい文章やアンケート機能を使ってくださったんです。「今日放送です」みたいな普通の番宣じゃないほうが面白いんだろうな、という感覚がおそらく風間さんにもあったと思うのですが、別に事前の打ち合わせは一切なくて。風間さんの仕掛けを僕はひたすら待っていて(笑)、タイミングよく風間さんのポストに反応できるときもあれば仕事をしてるときもあるから、5時間とか空くこともありましたけどね。

──今回初共演だった風間さんは、庄司さんから見てどんな俳優さんでしたか?

多才ですよね。多才という言葉1つで表現するのが失礼なぐらい。数々の作品でキャリアを積んで、確かな実績と経歴を持っている方ですが、決してひけらかすことはなく、作品全体がいい方向に向かうために考えていらっしゃる。本作が明るい作品だったこともあり、ポジティブな現場であるほうがいいとご判断されて、常に現場に活気と笑いがあるようにしてくださっていたな、と思います。

──風間さんご自身は、“座長”というより“チームのキャプテン”みたいな感覚だったとおっしゃっていました。風間さんの主演像から何か影響は受けましたか?

もちろんたくさん受けましたし、その中でもこれは風間さんだからこそなせる業だなと感じたことがあって。座長って、大まかに分けてだいたい2パターンあると思っていて、1つは1人で突っ走って、圧倒的な力とカリスマ性でみんなを引っ張っていくタイプ。もう1つは、「みんな行こうぜ!」と横並びで巻き込んでいくタイプ。風間さんは、時と場合によってうまくご自身の立ち位置を変えていらっしゃるんです。風間さんがずっと前で走っているシチュエーションもあるし、会社のシーンとかはみんなで肩組んでやろうよっていうアプローチをしていたので、適切なタイミングで使い分けるのが風間さんの主演像なんだと思います。

庄司浩平

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──それは雀の部長としての姿とも重なりますね。風間さんご自身と似ている部分なのかなと感じました。

そう思います。番手や登場シーンの多さ、セリフの多さ的に、常にスポットライトを浴びるのが主演だと思うんですけど、そうじゃない瞬間を許容しているというか。常にど真ん中にいることに全然こだわってない人だなと思いました。スマートですよね。

キスシーンのときは全然関係ない話をしています

──ソフトが発売されるということで、特に何度も観てほしいシーンがあればお聞きしたいです。

メイキングと本編を照らし合わせて観ていただきたいです。結局どれもいい方向に作用したんですが、「ここで雨降るのは予想してなかった」とか「風が強すぎる」とか、予想と違う展開になってしまったことの答え合わせができるので。(監督の)小菅(規照)さんはよく“ライブ感”と言っていましたが、実はバタバタしていたり、「この日にこれとこれを撮ってたんだ」という驚きもあると思うので、探してみてください。

──撮影時、特に思い出深かったことはありますか?

オープニングの撮影が楽しかったですね。これは放送を観て気付いたのですが、会社で一瞬僕が振り返ってから社員のみんなが入ってくるカットで、平子さんだけカメラ目線のところが面白いです(笑)。オープニングは毎回映像がちょっと差し替わっているので、ソフトで全部通して振り返ってみてほしいなと思います。

──オープニング、観比べたくなりました。特典映像も盛り盛りだと聞いていますが、風間さんとのビジュアルコメンタリーの収録はいかがでしたか?

すごい自由にしゃべって、すず子にもたくさん話しかけたからなあ。「ねえ、すず子」と呼びかけて間をけっこう取ったりして。あとから収録される三石さんは我々のリモート被害者です(笑)。最終話分も収録したのですが、キスシーンのときは全然関係ない話をしています。本来は観てくれる方が「一緒に観られてうれしい」となるところを、「いい加減黙って!」と思われるぐらいにはしゃべっていました(笑)。“雑音”と感じていただけたら我々の勝ちです。

ドラマ「40までにしたい10のこと」場面写真

ドラマ「40までにしたい10のこと」場面写真

──新しいというか……特殊な照れ隠しにも感じます(笑)。もし本作のシーズン2があったら、どんな慶司を演じたいですか?

「40までにしたい10のこと」のファンの方で、劇的な展開を求めている方っておそらくあんまりいないと思うんですよね。喧嘩してほしいとも思っていないだろうし、第3勢力が現れてほしいという人も少ないと思う。だから、田中(颯 / 演:平井亜門)の恋をみんなで追いかけるほうがむしろ面白いかも(笑)。その中で、雀と慶司は仲良くつつましくやってるっていう。続編があっても、スタンスとしては変わらない気がしますね。

コウテイペンギン……えっと、お断りさせていただきます

──ここで、風間さんから預かった質問をお伝えします。1つ目は「また背は伸びましたか?」。

伸びてるわけがないです! この間会ったときも(大きく見上げながら)「あっ久しぶり!」って(笑)。

庄司浩平

庄司浩平

──続いて、「家具店のシーンに映っていたブラキオサウルスみたいなライト、言ってくれればいつでも俺が買うよ?」とのことです。

ブラキオサウルス照明! 家具店のシーンで待機しているときに見つけた、(ホストの)ROLANDさんの家みたいなところじゃないと許容できない照明のことを言ってると思うんですけど、そんなに家広くないので大丈夫です(笑)。別のものでお願いします。

──もう1つ風間さんが「買うよ」とおっしゃっているものがあって。

シーパラのコウテイペンギンでしょ?

──「送るから遠慮しないで」だそうです。

それも120cmぐらいあるんですよ。えっと、お断りさせていただきます(笑)。

──わかりました(笑)。今年は本作や、レギュラー出演されていた特撮番組を通して、特にたくさんの方が庄司さんを知った1年だったかなと思います。庄司さんにとって2025年がどんな年になったかお聞きしたいです。

やってきたこと自体はそんなに変わらないですが、皆さんに観ていただく機会を偶然にもいいタイミングでいただけたなと思っています。もちろんどちらの作品も番組自体に力があって、相互関係なしに素晴らしい作品であるのは大前提なのですが、僕個人を観ていただくことに限って言えば、放送時期が重なっていたことや、老若男女分け隔てなく認知していただける作品に携われたのも大きかったなと思います。僕1人の力ではないので、引き続き“作品を応援していただく”という気持ちでやっていければと思っています。

庄司浩平

庄司浩平

プロフィール

風間俊介(カザマシュンスケ)

1983年6月17日生まれ、東京都出身。ドラマ「それでも、生きてゆく」「silent」「初恋、ざらり」「それでも俺は、妻としたい」、大河ドラマ「西郷どん」「麒麟がくる」「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」、連続テレビ小説「純と愛」「カムカムエヴリバディ」、映画「コクリコ坂から」「映画 鈴木先生」「猫なんかよんでもこない。」「鳩の撃退法」「先生の白い嘘」「ふつうの子ども」など多数の作品に出演している。舞台にも数多く参加しており、2025年には「こまつ座 第153回公演『フロイス -その死、書き残さず-』」で主演を務めた。

ヘアメイク / 清家いずみスタイリング / 手塚陽介

庄司浩平(ショウジコウヘイ)

1999年10月28日生まれ。東京都出身。2019年10月、男劇団 青山表参道Xのメンバーに加入。2020年から放送されたスーパー戦隊シリーズ「魔進戦隊キラメイジャー」の追加戦士・クリスタリア宝路 / キラメイシルバー役で注目を浴び、その後もモデル・俳優として活躍。2024年から放送された「仮面ライダーガヴ」にはラキア・アマルガ / 仮面ライダーヴラム役で出演。2025年にはドラマ「40までにしたい10のこと」で話題に。2024年より「NHK俳句」にレギュラー出演中。

ヘアメイク / 清末めぐみスタイリング / 平松正啓