A24製作のダークファンタジー「
全身が草木に覆われた緑の騎士から、クリスマスの“遊びごと”として首切りのゲームを持ちかけられた男の旅路を描いた本作。「A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストーリー」「さらば愛しきアウトロー」で知られるロウリーが、中世イングランドで書かれた作者不明の叙事詩「サー・ガウェインと緑の騎士」を脚色した。「ホテル・ムンバイ」の
原作は「指輪物語」で知られる作家のJ・R・R・トールキンが現代英語に翻案した物語。ロウリーが初めて読んだのは大学生だった19歳の頃で、西洋の叙事詩を専門に勉強するクラスでこの詩に触れたという。映画化を構想したのは、20年近くの時を経た2018年、別作品の脚本執筆の合間だった。「僕は再び『サー・ガウェインと緑の騎士』について考え、ほぼ独断で映画化しようと決意しました。改めてこの詩を読みながら、同時に脚色し始め、そして3週間後には脚本ができていたんです」と振り返る。
本作の製作に深く入り込むまで、この物語が時代を超えて広く語り継がれる理由を、完全には理解していなかったというロウリー。「それを理解したとき、自分が乗り出した課題がいかに手強いものであるか気付きました。原典の詩はとても内容豊かで、さまざまな象徴的な意味にあふれています。14世紀に書かれたものですが、驚くことに約1000年の時を越えて“今っぽい”と感じさせる物語。映画はその原典との対話であり、同時に今の僕らの文化にどう共鳴するのかという問いでもあるのです」と明かす。ロウリーは映画化に当たって、ガウェインをいまだ騎士になっていない未熟な若者へ変更。幻想的で奇妙な冒険の旅を通して、ガウェインが自身の内面と向き合う成長譚を作り上げた。
さらにロウリーは、アーサー王にまつわる物語において通常はガウェインの叔母である魔術師モーガン・ル・フェイの役割を、ガウェインの母親のキャラクターと組み合わせた。
「あなたが『グリーン・ナイト』と直感的につながりを感じている作品は?」という質問には、アーサー王伝説にまつわる映画やファンタジー作品など6本を挙げた。「ロベール・ブレッソン監督の『湖のランスロ』。これはおそらく僕がもっとも好きなアーサー王映画。ロン・ハワード監督の『ウィロー』は直接的にもっとも大きな影響を受けた作品の1つです。初めて観たファンタジー映画で、子供の頃に手に入れたアクションフィギュアを今でも全部持っています。ブラム・ストーカー原作、フランシス・フォード・コッポラ監督の『ドラキュラ』も大好きな映画。特殊効果や石岡瑛子さんによる衣装は、常にインスピレーションの源となっています。『
さらにジム・ジャームッシュ監督、ジョニー・デップ主演の「デッドマン」にも言及。イギリスの詩人ウィリアム・ブレイクと同じ名前を持つ男がアメリカ西部フロンティアを旅する同作について、「舞台はまったく異なりますが『グリーン・ナイト』ととても似た探求を描いています。映画と詩が非常によく似ているということを教えてくれた最初の映画の1つでもあります」と語る。
最後に映画がロールプレイングゲームからの影響も想起させることから、その点について問われると「RPGをプレイすることはありません! ゲーム自体何年もやっていなくて、若い頃にPCで『DOOM』の最初のバージョンをプレイして以来、本当に何十年もしていませんね」と吐露。続いて「新しいゲームを試して、どんな芸術形式になっているのかを見てみたいとは思います。『DEATH STRANDING』のようなゲームはものすごく興味をそそられますね」と明かした。
「グリーン・ナイト」は11月25日より東京・TOHOシネマズ シャンテほか全国でロードショー。公開初日には、東京・吉祥寺オデヲンで19時30分の上映回終映後にロウリーによるオンライン舞台挨拶が開催される。チケットは11月22日0時に吉祥寺オデヲンの公式サイトで発売。
関連記事
デヴィッド・ロウリーの映画作品
関連商品
tAk @mifu75
デヴィッド・ロウリーが語る「グリーン・ナイト」に影響を与えた6作品 https://t.co/Ag7VofSEXW