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「ソワレ」は俳優を目指しながらもオレオレ詐欺で食い扶持を稼ぐ翔太と、高齢者施設で働くタカラの切ない逃避行を描く物語。「虐待という本作のテーマにどのように向き合ったのか?」と問われたタカラ役の芋生は「虐待を実際に経験したことはありません。とても繊細な問題なので、こんな気持ちだったのでは?とエゴで演じるのではなく、タカラと一緒に歩む中で、しっかり表現したいと思いました」と真摯に述べ、「親を選ぶことはできないかもしれないけれど、自分自身で道を選ぶことはできる。人は何度でもやり直すことができる、立ち上がることができるということを表現できればと思っていました」と役作りを振り返った。
翔太役の村上は「僕が演じているのは普遍的な青年です。和歌山からスターになる夢を持って東京にやって来た」と話し、「一方のタカラは絶対的な弱者です。半ばくじけ気味な彼をほんの一瞬だけヒーローにしてくれる存在です」と説明する。村上が10代の頃にも一緒に仕事をしたことがあるという外山。「大変面白い表現者だという印象をずっと持っていました」と口にし、「今の若者の葛藤を背負っていただくには一番適した俳優だろうと思っています」とキャスティング理由に言及する。オーディションで100人の中から抜擢したという芋生については「芋生さんは可憐で儚い部分と生命力のある部分の両方を持つ女優さんです。この映画にはどうしても必要な人でした。最初は不遇な生活を送っているタカラが、徐々に生命力を取り戻していく過程を描きたかった。だから芋生さんを選びました」と力説した。
イベント中盤には本作が現代の不寛容さを描いていることから、その解決策を3人が問われる場面も。外山は「解決策はすぐに提示できませんが、作品を通して声を上げられない人たちの存在を発信していくしかないのではないかと思っています」とコメント。「難しいですね」と苦笑した村上は「厳しいことを言ってくる人の中には愛がない人がいます。それは翔太も経験している。愛を持って厳しく接してくれる人を見つけられるかどうかが大事だと思ってます」と続ける。また芋生も「解決策を提示することは難しいです」と述べつつ、「映画を愛し続け、生き続けることで、不寛容さでもどかしさを感じている人に、少しでも希望を与えられたらと思っています」と意気込みを語った。
そして芋生は「この作品は役者である先輩がプロデュースを担当してくださり、自由に表現できる場所を提供してくださいました。とても幸せなことです。一生役者として生きていきたいと思います」と感謝を伝える。豊原は「クリント・イーストウッドなど、俳優業をやりながらプロデュース業をやっている人もいる。昨今、我々のような人間が手を出すと色眼鏡で見られる。ただ僕は俳優業も演出業も存分にやっていきます」と笑顔で宣言した。
最後に記者からタイトルバックが入るタイミングがお気に入りとの声が上がる。外山は「タイトルの前後で、撮り方がまったく変わっています。最初は翔太とタカラが我々の身近な存在であることがわかるよう生々しく、ドキュメンタリーのように撮りました。2人のドラマが始まるタイトル後は、映画でよく使われるカット割りを選択しています」と解説した。
「ソワレ」は、8月28日に全国で公開。
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おおとも ひさし @tekuriha
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