オリジナルな“他己紹介”に、愛の気持ちを詰め込んだセンター曲…CDの聴きどころを解説

──さて、9月28日に2期の楽曲をたっぷり収録したCD「ゾンビランドサガ リベンジ フランシュシュ　The Best Revenge」が発売されました。3曲の新曲が収録されていますが、それぞれの注目ポイントを伺いたいと思います。まず、「We are Fran Chou Chou！」から。

本渡　この曲で私が最初にやる名乗りは、2パターン録っているんですよ。「アントニオ猪木さんをイメージして」って言われたバージョンがあって、たくさん練習をしましたが採用されず……。でも相変わらずいろんな可能性を模索しているチームだなと思いました（笑）。

一同　（笑）。

本渡　みんなお互いがお互いのことを紹介していて、曲調もメンバーそれぞれをイメージしているのですごく聴いていて楽しいですよね。ライブでやりたいです！

田野　めちゃくちゃ盛り上がると思う！

──アイドルグループだとメンバー紹介曲は定番ですけど、この曲は自己紹介ならぬ“他己紹介”になっているのがオリジナルで面白いですよね。1号のさくらが2号のサキを、というようにそれぞれ自分の後の番号のメンバーを紹介していますが、自分のキャラクターが紹介されるパートについてどう感じましたか？

本渡　さくらはリリィちゃんが紹介してくれたんですけど、相変わらずすべてが聞き取りやすくて、リズムも完璧で、しかもかわいくて最高です。「ドッカーーン!!と飛び出す前には前方注意」って、さくらが車に轢かれた要素も入っていて。ポジティブでかわいく聴かせてくれるリリィちゃんのパワーって、やっぱりマジカルでトゥインクルだな、とすごくうれしかったです！

──田野さんはいかがでしたか？

田野　サキのパートはやっぱりさくらが歌ってくれないと、って思っていました。1期の2話でラップバトルしたときみたいに、私も負けてらんないって思ったし、さくらから受け取ったバトンを次の愛に渡すぞ！って気持ちになって。サキ以外のキャラが「ぶっ殺すぞ！」とコールするところは、なかなか聞けないセリフだし、すごくテンション上がってました！

種田　私もテンション上がってた！ 愛ちゃんの紹介パートでは、サキが「実質こいつがリーダーだ」って歌ってくれて、めちゃくちゃ頼りにしてくれている気持ちが歌詞に詰まっていますし、「愛してるぜー！」って叫ぶ部分は絶対にライブで聴きたい！

衣川　ゆうぎりは4号の純子ちゃんが歌ってくれたんですが、あのパワフルボイスで、しかもラップなんだ！っていう驚きがありました。

田野　ね！ びっくりしたよね。

衣川　でも後ろで三味線が流れていて、和洋ミックスみたいな。なんだか純子ちゃんっぽくない歌い方で、新しい純子ちゃんが垣間見えて感動しました。しかも純子ちゃんとゆうぎりの接点って、アニメ内ではあまりなかったので、こういうふうにゆうぎりのこと思ってくれてたんだ、と自分のことのようにうれしかったですね。

──なるほど。続いて、愛のセンター曲になる「Beginning」については、種田さんから感想を伺えますか？

種田　2000年代のJ-POPを感じさせるような曲調で、2008年頃にアイアンフリルのセンターを張っていた愛ちゃんの曲らしくていいですよね。しかもこれ、愛ちゃんが作詞したっていう設定なんです。落ちサビのところに「愚かだと笑われても1人じゃないから」という歌詞があるんですが、すごく仲間を信頼してる気持ちが伝わってきます。歌詞がグッときて励まされる、フランシュシュの楽曲に仲間入りしたなーって思いましたね。いろいろあったけど、もう前しか向いてないぞ、と切り拓いていくように、楽しんで歌おうと思いながら収録していました。

本渡　本当にカッコいい！ 1番の歌詞は愛ちゃんが1人で道を切り拓いて行く感じで、その後だんだんみんなが加わっていく様子が本当にフランシュシュっぽいなと思います。落ちサビのコーラスは、「さくらが愛ちゃんを支えるようなイメージで歌ってほしい」というディレクションで歌っているんですよ。生前から水野愛ラブだったさくらが、愛ちゃんのセンター曲で彼女を支える立ち位置で、必死に歌って寄りそっているのが、TVアニメ以外のところでも彼女たちは成長してたんだなと想像できて、素敵な曲だと思います。

──ありがとうございます。大変泣かせる曲のあとで伺いにくいのですが、ちょっとこれまでと変わった路線の「冒険ズンドコドン！」についても……。

本渡　小さい子たちも一緒に歌って踊れるような楽曲っていうテーマで、生まれた曲です（笑）。

田野　11話でリリィちゃんが被災した子供たちと歌って踊ったシーンに着想を得て、みんなを巻き込んで一緒に踊れるような振り付けができる曲、ということだったよね。スタッフさんたちが、歌のお姉さんが歌うような楽曲にしたかったっていうのは聞いてます。でも初めてこの曲もらったときに、「これ、フランシュシュが歌う曲で合ってるよね？」って思いました（笑）。

種田　新曲の中では「冒険ズンドコドン！」が一番最初に録った曲なので、「路線変わった？」って。戸惑いはかなりありました（笑）。

田野　でもめっちゃ元気出るよね。この曲。

種田　うん、本当に落ち込んだときにこれを聴いて踊ってほしい。

本渡　私的にはサキちゃんがすごくかわいいなと思いました。「ぶくぶくぶくりん」って歌うところ。

田野　ありがと！ でも「かわいくやってください」って言われて歌ったら、レコーディングで「誰？」って言われちゃった（笑）。ちょっとサキっぽさをイメージして歌ったからうれしい！

衣川　楽しい曲だけど、「ゆうぎりさんはマジの歌声で歌ってください」って言われたな。彼女なりに楽しく歌っていると思うんですけど、どんな曲でも真剣におふざけなく、歌ってるのがゆうぎりなので。眉間にしわ寄せるぐらい真面目に歌っています。

──そうだったんですね（笑）。ほかにお気に入りの楽曲はありますか？

本渡　うーん……、やっぱり2期で最後に流れる「追い風トラベラーズ」でしょうか。アニメで流れたときに、フランシュシュが炊き出しを手伝ったり、リリィちゃんのパピーが屋敷を作ってくれたりと、復興の様子が描かれているのですが、追い風を受けてみんなが前に進んでいく歌なんだと思えてすごく大好きになりました。

田野　うんうん。私は楽曲じゃなくてジャケットのことになるけど、フランシュシュメンバーが私たちが実際に着た衣装を着ているのも熱いよね。

種田　そう、逆輸入なんですよね。幕張ライブのときの衣装なんですよ。

田野　みんなでどうする？って相談しながらできた衣装が、このアルバムのジャケットになっていて、夢がありますよね。自信を持って「ぜひ聴いてください！」と届けられるCDを飾るのにふさわしいジャケットになりました。

東、名、阪、そして佐賀！ 劇場版への意気込み

──最後に、劇場版への意気込みと、音楽面でやってみたいことをお聞かせください。

本渡　最初にきぬちゃんが言っていたように、「ゾンビランドサガ」なら何が来ても驚かないっていうのは、私もそうなんです。感覚が麻痺しているので、また新たなジャンルの音楽が来てもびっくりしませんが、何をやってないのかな？っと考えると、意外と思い付かないですね……。

種田　リリィちゃんはスキャットまでやってますもんね。

本渡　逆にみんな、何がやりたいですかね？

田野　私がずっと言ってるのは、いろんな楽曲のフランシュシュバージョンを歌ってみたい。私たちの楽曲を歌ってくれる方はたくさんいらっしゃるけど、私たちがカバーすることって今までなかったなって。まだ「ゾンビランドサガ」を観たことがない人にも届くかなと思うので。

衣川　やりたいって前向きな気持ちが「ゾンビランドサガ」っぽいよね。難しそうなことも山ほどあったけど、やってみよう！ってがんばってきたので。どんどん前向きになれるから、なんでも来いって感じ。

種田　劇場版の舞台挨拶があるなら九州をまわりたいね。できることなら、初日は佐賀で！

本渡　あとはライブツアーとか？ 東、名、阪、そして佐賀！

──個人的には、駅前不動産スタジアムのライブで観てみたいです。

田野　あはは！ そうなったら、ペナルティエリアを越えるほどのお客さんを集めないと。がんばります！

※記事初出時、出演者のプロフィールに誤りがありました。訂正してお詫びいたします。