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5年間の5大ニュース&5人の作家に5つの質問

2014年のニュース & 島本和彦アンケート

ニュースで振り返る!2014年のマンガ界

2014年1月4日
「稲中卓球部」20周年ボックス発売、トランプなど5点同梱

「行け!稲中卓球部 」

1993年に連載開始した古谷実「行け!稲中卓球部」。連載20周年を記念した2013年には原画展や世界卓球とのコラボが行われた。2014年1月に発売されたこのボックスには、本編から抜粋された内容のオールカラー版単行本や、キャラクター総出演のトランプなどが同梱されている。

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2014年1月9日
ドラマ「失恋ショコラティエ」、松本潤らシェフ姿で登場

「失恋ショコラティエ」

©水城せとな/小学館フラワーコミックスα

チョコレート好きの女性・サエコの気を引くためにショコラティエとなった主人公・爽太の恋を描く「失恋ショコラティエ」。1月から松本潤主演でドラマ化され、知名度がさらにアップ。12月には月刊flowers(小学館)での連載が完結した。

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2014年2月21日
「寄生獣」フルカラー版電子書籍、本日より全10巻で配信

「寄生獣」

岩明均「寄生獣」は10月からテレビアニメ、11月から実写映画が公開された。それに先がけ、2月からはフルカラー版電子書籍が配信、8月からは新装版が刊行。月刊アフタヌーン、ARIA(ともに講談社)にはさまざまな作家によるトリビュートマンガが掲載された。

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2014年4月7日
進撃の巨人13巻は初版275万部!講談社で26年ぶり記録更新

「進撃の巨人」

©諫山創/講談社

4月に発売された諫山創「進撃の巨人」13巻は、275万部という講談社史上最高の初版部数で発行。同作は11月22日より劇場版アニメが公開、11月28日からは東京・上野の森美術館にて「進撃の巨人展」が開催された。

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2014年5月5日
島本和彦「アオイホノオ」柳楽優弥×福田雄一でドラマ化

「アオイホノオ」

©島本和彦/小学館

島本和彦「アオイホノオ」が7月より柳楽優弥主演でドラマ化。島本本人の大学時代をベースにした作品で、庵野秀明(ドラマでは庵野ヒデアキ)や、高橋留美子の若き日の姿もドラマに登場したことも話題に。

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上記の中から、「島本和彦『アオイホノオ』柳楽優弥×福田雄一でドラマ化」のニュースで2014年のマンガ界を騒がせたこの人にメールで直撃!

島本和彦 メールアンケート

Q.2014年に島本さんは「アオイホノオ」がドラマ化されたことで話題になりました。その年のご自身のことを振り返ってみて、印象に残っていることは?
A.

マンガ家をやっていると色々とこういう映像化のお話は時々来ます。まあ大体いつのまにか消えていくのが通常なのでその時にがっかりしないように予防線を張りながら対処しているのですが、ドラマの「アオイホノオ」についてはちゃんと作品になって良かったです。

私なんかの自伝のようなものをどれだけの人が楽しんでくれるかと心配してましたが、なんの説明もなくやっちゃった割には多くの方に未だに楽しんでいただけているようで良かったです。

あと、制作費がない中でかなりのゴージャスなネタがふんだんに使われるために、原作者の私が色々な面でこき使われました(笑)。

そして様々な方々にご尽力頂きました。人とのつながりは大切だなぁと。

それのおかげで作品内でdisれるのだと感謝にたえません。

いえ、disってるフリをして持ち上げているのですが。

マンガではそこがちゃんと表現できてるつもりですが、ドラマではなんか本気で悪口を堂々とやっていて、柳楽優弥という超イケメン俳優が言ってるからなんか許されているようなものの、本当にこれは大丈夫なのかと観ながらかなり苦悶しました。

ドラマの撮影には何回かお邪魔しましたが、原作者が来ると現場はどう嫌なのかとか、本当に頭のおかしいマンガ家が現場にいろいろ文句を言ってくる話とか色々と聞かされ、かなり凹まされました。

ある時、進行役の女性が撮影中の福田監督に「監督、深夜ドラマにこのクオリティは必要ですか??」と言ってるのを横から聞いた時に「ああ、監督はちゃんとやってくれてるのだ」と安心しましたね。放送中もTwitterに参戦したり色々と情報を流したり宣伝にも全力で挑みました。

せっかくトレンドで「アオイホノオ」が1位になったと思ったら「バクマン。」の映画化が決まったりして話題をかっさらわれたりして「またバクマンかよ」と歯をギリギリ嚙みしめさせられたりもしました。

さらに小学館の「重版出来!」もドラマになり、ドラマ内にでてくるマンガ作品はスピリッツの連載マンガ家達が参戦、とか、作品の作りやセットやいろいろなものが完全に「これすごい予算がかかってる羨ましい」という状況で、これもまた完全にかっさわれた感がビリビリ伝わってきて、何がどうなってもこういう気持ちは無くならないのだなあ、と感じたりもしました。文化庁メディア芸術祭のマンガ部門とか、小学館漫画賞なども頂けて(知らせのみで実際の授賞式は翌年)この年は思い出深い年です。あ、小学館漫画賞の知らせも例によってがっかりしないように予防線を張って1人でネームをしている時に知らせがあったので盛り上がり損ねたというか、Twitter見てたら知らせを受けたスピリッツのマンガ家さんが、「ありがとうありがとう皆さんありがとう今日はこれからみんなで担当編集や編集長含めてお祝いの飲み会だ~」みたいな流れができてるのを眺めながら……私はまあ、なんというか……静かに帰宅したのを覚えてますね(笑)。

Q.この5年間を振り返ってみて、マンガ業界で印象に残っているニュースは?
A.

5年間と言うと結構色々とありますが、業界ネタニュースで取り上げるとほら、なんというか他の方に失礼になるといけないのでなんとも言えませんね(笑)。
「ああ、『サイボーグ009』がやっと決着がついてこれからは自由に妄想できるようになった……」とか、手塚治虫文化祭が吉祥寺で開かれるなど、新世代的楽しみ方が、巨匠の昔のマンガをネタに活気付いてきているのがいいですね。

あと、「あまちゃん」という朝ドラマにハマって、毎日リアルタイムでその回のイラストを勝手に描いてTwitterにアップする「あま絵」というのが個人的にハマって、参加するために視聴に遅れてた回を仕事中に観ながら慌てて追いついてそこから参加、というのをやりました。ギャラは出ない趣味のものですが、「今日のリツイート数」のトップに入ったりすると高揚感がありました。プロでもアマチュアでも関係なく今描いたものをアップしあってリアルタイムで楽しむ文化がものすごい勢いで増えている感じがします。
今いろいろな文化的なメディアとか商売的なものとかが全部、ユーザー数の多いスマホ中心に展開されてこれは仕方のないことかと思いますが、これに対応する形でどんどん身近なものが、もうすでに変化しちゃっているんですがこれからも変化していくんじゃないかと思います。

ここのところ数年でマンガ家職業ジャンルのマンガ作品がものすごい勢いで増えましたが、「マンガ家マンガ」というジャンルのものを、有名マンガ家の自伝という形ではなく、あるいはマンガという職業をとても高尚な感覚で追い求める求道的なものでもなく、単に「職業はマンガ家」というキャラクターを中心に展開した「燃えよペン」の功績を認められメディア芸術祭マンガ部門で優秀賞を頂けた、ということで。私も30年マンガ家やってて何もこの業界にプラスになることが出来てないもどかしさがあったのが良きにつけ悪しきにつけ(笑)評価されたということで一マンガ家としてとてもありがたいのですが、翌年同じ流れの「かくかくしかじか」(東村アキコ)が大賞をもらっちゃったら、じゃあ私のもらったものはなんなんだよと。
私の30年の蓄積とかマンガ家自虐的自伝マンガのこの業界に対しての流れはなんなんだよ的な(笑)。そんなところも注目してほしいですね(笑)。

それと映画「シン・ゴジラ」の時に、まあ「アオイホノオ」ドラマの時に協力してくれたお返しではないが真っ先に映画館で初回のを観てやろう、と劇場に行ったのですがそれがすごく良かったので、ここは素直に面白かったと言ってやろうとTwitterで書いたらすごい評判になって、ああこれは「シン・ゴジラ」を映画単体でなく、「庵野秀明の作った特撮」を観るという行為→「アオイホノオ」の現在進行形をバーチャル感覚で楽しむ、というような「アオイホノオ」ファンとしての受け取り方を多くの人がしてくれたみたいで、ここまで「アオイホノオ」ごっこを楽しめるくらい作品を浸透させてくれたドラマのスタッフ&キャスト様たちに本当に感謝です。この夏は私も非常に楽しませていただきました。(参考:見せてもらおうか、庵野秀明の実力とやらを!島本和彦が発端のシン・ゴジラ上映会)。

あと自分の作品で言えば、ちゃんとテレビアニメに沿ってコミカライズしてきた「超級!機動武闘伝Gガンダム」がついに6年かけて最終回を迎えまして(参考:これが最後のガンダムファイト!島本和彦「Gガンダム」がダムエーで完結)、これだけテレビ放送に忠実になぞりながらその上でアニメの監督ともやいのやいのやって、ぶつかったり和解したりしながらアニメのラスト展開までもつれ込んでちゃんと完結したマンガはほかにないのでは……と思いますのでもう少し注目していただきたいところではあります(笑)。

Q.電子書籍は普段から利用しますか? するのであれば電子書籍のいい点、不満な点を教えてください。
A.

私は書店のオーナーもやっているので紙の本の需要が減っていくと大変困るのですが、正直電子書籍はいいところがたくさんあります。

ここ数年で私の紙の本の……マンガ以外の書籍、小説とか実用書とか、まあ小説が一番なんですが、これが増えに増えて、活字大好き人間になってしまってるんですが、今現在出ている新刊はもちろん、今まで気になってはいたけれど読んでなかった青春時代の映画の原作本とかどんどん読んでいきたくなっています。書店で扱えるのは回転数のある程度見込めるものばかりなので古書店にも行くのですが、私は書籍との出会いは恋愛のような感情があって中身もしっかりしていてフィーリングも必要だけれども装丁も何かピタッとくるものでなくてはと、あと本についてる匂いなども気になっちゃう方なので、電子で助かるなと思う面はあります。

そしてこの質問に答えるためにもちょうどいい機会だとKindle Oasisも購入しましたが、活字を読む全く新しい体験をしてるようで、非常にもう病みつきになってしまっています。

ただ、コミックはやはりカラー表紙のサムネイルとかも味わいたいのでカラーのタブレットの方があってると思います。

コミックスも現行のだけでなく過去作品もラインナップが充実していけばすごいことになるのではと思います。

紙媒体で出しても元を取れなそうなものもチャレンジできそうですし、過去作品でもう一度、違うまとめ方で出して欲しい作品もたくさんあります。

市販されているコミックスと同じ体裁のものも必要だと思いますが、そうでないところにもどんどん行けるのに……というところが今ある状況に対する不満点かもしれませんね。コミックスの際にページの都合でカットされたページを電子の時に復活させる……それだけで私なんかは紙で何度も買っている作品をもう一度電子で買い直しちゃう自信はあるんですが。

Q.電子書籍は5年後にどうなっている(どうなってほしい)と思いますか?
A.

今の状況よりもマンガやマンガ家に優しいものになっていれば、と思います。電子では電子での演出もあるかなと思いますが、すそ野が広がりすぎるとどこに手をつけたら良いのかわからなくならないようになって欲しいのと、ハード面でマンガ演出にちょうどいいものを開発していただきたい……。あと仕事数を減らしたマンガ家が食うに困らないような感じになるといいかな、と思っています。

Q.今おすすめのマンガは?
A.

「重版出来!」
「かくかくしかじか」
「監督不行届」

マンガではないのですが、
「『シン・ゴジラ』、私はこう読む」
「小説 君の名は。」

Index
2012年のニュース&地獄のミサワ アンケート
2013年のニュース&池野恋 アンケート
2014年のニュース&島本和彦 アンケート
2015年のニュース&山本さほ アンケート
2016年のニュース&野田サトル アンケート
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島本和彦(シマモトカズヒコ)

1961年4月26日北海道池田町生まれ。本名は手塚秀彦(てづかひでひこ)。1982年、週刊少年サンデー2月増刊号(小学館)にて「必殺の転校生」でデビューし、1983年より少年サンデー(小学館)にて「炎の転校生」を連載開始。熱血マンガ風の力強い線と熱いセリフが特徴だが実のところギャグマンガ、というギャップと、ちりばめられた細かいネタが賞賛を受けた。代表作に「逆境ナイン」、「吼えろペン」など。現在ゲッサン(小学館)にて「アオイホノオ」、月刊ヒーローズ(ヒーローズ)にて「ヒーローカンパニー」をそれぞれ連載中。執筆業の傍らTSUTAYA札幌インター店・千歳サーモンパーク店・アカシヤ書房ちとせモール店、さらに株式会社ダスキン アイビックも経営。

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