コミックナタリー Power Push - 「我が愛しのヲタ彼女」

咲良×芹澤優 ふたりが共鳴した“ウザくてかわいい”オタク女子

2人の“かわいい”が一致した

──原作付きのマンガを描くとき、作画を担当する方ってどのくらい原作を反映するものなんですか?

咲良 「ヲタかの」の場合は原作の粒々辛苦先生から「自由に描いてください」とお墨付きをいただいてます。

──なんでそんなことを聞いたかというと、マンガ版の「ヲタかの」って原作冒頭の主人公が友達とファミレスに行くシーンをカットするなどして、大胆に編集されていたからなんですが。

咲良。着用しているのは、雪のイラストがプリントされたオリジナルの「我が愛しのヲタ彼女」Tシャツ。

咲良 粒々辛苦先生が発表した時点で作品は完成されているものなので、私がそのまま絵にしてしまうと逆に原作の魅力が伝わらなくなってしまうんじゃないかと思ったんです。なのでマンガはマンガとしてのテンポや見え方がよくなるように、いろんなシーンに手を加えさせていただいてます。そうすることで原作の良さを伝えられるのではないかと。

──なるほど。シーンに限らず、キャラクターについても原作にない要素を盛り込んでますよね。

咲良 そうですね。特に雪ちゃんには私の理想とする女の子像をかなり盛り込んでます。そもそもこの作品の主人公は男の子なので、私が男の子のふりをして「男ってこういう女の子がかわいいだろう」と考えながら描くと、どこか作られた女の子像ができあがってしまうんじゃないかと感じていて。それなら女である自分が「かわいい!」と思う要素を入れたほうが、男の子にも響くリアルにかわいい女の子を描けると思ったんです。

芹澤 あ、その感じわかります。私も例えば10歳の男の子を演じるときは、「10歳の男の子は何を考えてるんだろう?」って想像してみたり、そのくらいの歳の子を観察するし、実際に演じるときにもそこから得たものも取り入れるんです。でも「こんな男の子ってかわいいよな」っていう、女の私が理想とする男の子の要素を盛り込むと、よりムリなく演じられるんです。

──じゃあ雪を演じるときも、芹澤さんが考える“かわいいオタク女子”をイメージした?

芹澤 いや、雪ちゃんに関しては私の理想の女の子像を入れるまでもなく「かわいい」と思う要素が全部整ってました。だから収録までの時間は短かったんですけど、1巻を読んですぐに「いける!」って思えたんだと思います。

咲良 それって芹澤さんと私の思う「かわいい」が一致したっていう……。

──ことだと思います。

咲良 だったら私、幸せに死ねる気がします(笑)。

「我が愛しのヲタ彼女」3巻より。

芹澤 死なないでください!(笑) でも「かわいい」が一致したっていうのは本当にあると思います。3巻の水浴びをしてる雪ちゃんが主人公のハルくんに覗かれちゃうシーンって「私もこういう妄想したことある!」って思ったところなんですよ。ほら、学生のときってみんな「もうすぐ修学旅行だなー」「温泉で裸を見られちゃったらどうしよう!」とか痛々しい妄想をするじゃないですか。

──「みんな」かどうかはわからないけど、当時の芹澤さんはなさっていたと(笑)。

芹澤 被害妄想みたいな話ではないんですけど、妄想はしてました。「そのとき芹澤は水と光を浴びて妖精のような姿になっている……」「そんな妖精な私が、気になる男の子に覗かれて『きゃーっ!』って言いたい」って。だから本当に妖精みたいになっていた雪ちゃんが羨ましくて(笑)。

咲良 実はその水浴びのシーンってまさにそういうつもりで描いたシーンなんです。それこそ妖精的というか、神聖で神秘的でキレイなものとしても描きたくて。キレイってけっこうオールマイティだと思うんですよ。キレイな裸の絵であれば、当然キレイなものとしても受け取ってもらえるだろうし、かわいいって思ってくれる読者の方もいらっしゃるかもしれないですし。あと当然いわゆるサービスカット的なものとしても受け取ってもらえるだろうな、って。いろんな人がそれぞれの見方をできるような可能性のある絵に憧れがあるから、あのシーンではキレイな表現を目指してたんです。

芹澤 そうだったんですね。

咲良 だから芹澤さんがあのシーンに反応したのには本当にびっくりしました。

芹澤 あのシーンを見た瞬間、アクセサリーを見たときみたいに「あ、すごくキレイだな、この子」って感覚になったんです。神聖な印象だったし「やっぱり雪ちゃんは女の私でも憧れられる子だな」って。あと多くの女の子には「キレイに見られたい」っていう思いがあるじゃないですか。そういう意味でもあのシーンは見ていて気持ちがよくて。

咲良 すっごくうれしいです! そうやって私の思いをちゃんと受け止めて「あのシーンが美しかったです」って感じてくれる芹澤さんだから、あんなにしっくり雪ちゃんを演じられたんでしょうね。

原作:粒々辛苦 / 作画:咲良「我が愛しのヲタ彼女」 / 発行・発売:小学館クリエイティブ
1巻 / 648円
2巻 / 648円
3巻 / 648円
あらすじ

ヲタクな彼女は、好きですか?
週3日しか学校に来ない、病弱、可憐な“神秘のヒロイン”白石雪。
口ベタでちょっと空回りしがちな、自称“平凡主人公”坂入春彦。
少年が何も知らずに恋に落ちたヒロインは……実はヲタクな不登校児だった!?

第1話の試し読みはこちらから

i☆Ris ライブBlu-ray / DVD「i☆Ris 1st Live Tour 2015 ~We are i☆Ris!!!~@Zepp Tokyo」 / 2015年9月16日発売 / エイベックス・ピクチャーズ
Blu-ray Disc / 6480円 / EYXA-10616
DVD 2枚組 / 4860円 / EYBA-10614~5
「ニッポン朗読アカデミー」

放送局:ラジオ大阪
放送時間:毎週木曜日24:30~25:00
ニッポン放送のインターネットラジオ「Radital」でも毎週金曜日に配信中。

咲良(サクラ)

東京都出身。6月7日生まれ。執筆活動のほか、タレントとしてもメディア、イベントに多数出演。コスプレ、ゲーム、音楽(アカペラ)を趣味とし、アカペラグループ「アライアンス・ジャパン」を主宰する。代表作は「ボクとカノジョの恋愛目録」「擬態かのじょ」など。2015年現在、E★エブリスタのオンラインレーベル・少年エッジスタにて「我が愛しのヲタ彼女」、ポニーキャニオンのWebマンガサイト・ぽにマガにて「Lance N' Masques -インサイドプラス-」を連載中。「Lance N' Masques -インサイドプラス-」の単行本1巻は、10月3日に発売される。

芹澤優(セリザワユウ)

81プロデュース所属。声優、アイドルユニット・i☆Risのメンバーとして活動。主な出演作品に「実は私は」(白神葉子)、「プリパラ」(南みれぃ)、「プリティーリズム・レインボーライブ」(福原あん)、「ムシブギョー」(一乃谷天間)、「犬とハサミは使いよう」(秋月マキシ)など。9月16日に発売される「i☆Ris 1st LIVE Tour 2015~We are i☆Ris!!!~@Zepp Tokyo」のBlu-ray / DVDには、i☆Risとして全国5大都市を巡った1stツアーの最終公演を収録。