コミックナタリー Power Push - 「我が愛しのヲタ彼女」

咲良×芹澤優 ふたりが共鳴した“ウザくてかわいい”オタク女子

狙い撃ちされてる感じにキュンとする

──ほかに「ここはこだわったぜ!」ってポイントはあります?

「我が愛しのヲタ彼女」1巻より。

咲良 1巻の最初のほうの、ハルくんが雪ちゃんに告白しようとしたシーンに出てきた「黄金三角形(ゴールデントライアングル)」はそうですね。これは女の子が膝を曲げて屈んだときに、足の付け根から両方の膝の先を結んだ黄金比の二等辺三角形のことなんですけど、あれも完全に私の趣味で描かせていただきました(笑)。芹澤さんもそうなんですけど、アイドルさんや女優さんとして完成されている方って、優れた自己プロデュース能力を持っていると思っていて。自分が最高にかわいく見える角度がちゃんとわかってるんですよね。その見せ方を知っていることが私の思う理想的な“かわいい女の子“なんです。

──かわいい子は自分がかわいいことにちゃんと自覚的であれ、と。

咲良 そうですそうです。ちゃんと自分をかわいく見せてくれる女の子に狙い撃ちされてる感じにすごくキュンとしてしまうので、どんどん狙ってきてほしいんです。それこそ芹澤さんのように「自分のことが大好き!」って言ってくれたほうが、こっちとしても「それはそうでしょう! あなたはかわいいんだから!」って素直に言えるんです。

芹澤 「自分大好き!」って言うといっつも周りのみんなから「黙れ!」って言わるのに……。この生き方を貫いててよかったあ(笑)。

(左から)咲良、芹澤優。

咲良 狙い撃ちなんてかわいい人だからこそできることだと思うので、むしろかわいく生まれた義務として狙い撃つべきなんです!

芹澤 あはははは(笑)。あともう1つ気になったところがあるんですけど、3巻の表紙で雪ちゃんがお花がたくさんついた、フラワービキニを着てるじゃないですか。これって今年のトレンドだから、ちゃんと流行を追ってるのがすごいなと思って。

咲良 オタク女子の悲しさというか、実は私自身はあの水着が流行ってることを全然知らなくて(笑)。あれは担当の編集さんが提案してくれて、調べてみたらすっごくかわいくて気に入ったから採用したんですけど、芹澤さんみたいな人はちゃんとそういう「かわいい」のポイントを押さえてるから、そんなにかわいくなれるんだよなあ……。

芹澤 またまた褒められちゃいました(笑)。

芹澤さんの演技に影響されてキャラの性格が変わった

咲良 さっきのオタクとかわいいは両立できることに気付いた話もそうなんですけど、今回芹澤さんがPVに声をあててくださったことの影響って本当に大きくて。あのPVが完成したあと、マンガの中のキャラクターの性格が少し変わったんですよ。

芹澤 そうなんですか!?

咲良 もともと自分の中で固めていた雪ちゃん像は存在してたんですけど、芹澤さんの演技を聴いて、また新たな雪ちゃん像が生まれたんです。それまではクールな印象の強いキャラクターだったんですけど、だんだんテンションが高くなっていって、さらに自分の持ってる“かわいさ”を武器にハルくんを狙い撃ちする女の子になって。決めゴマも増えましたし、しかもハルくんもそんな雪ちゃんに影響されて「振り回されたい!」「むしろ振り回してくださいお願いします!」という方向に変わっていき……(笑)。

芹澤優

芹澤 あ、雪ちゃんが周りを振り回しそうな感じってわかります。私、雪ちゃんを初めて見たとき、ちょうどいい塩梅でオタクの“ウザい”部分を出してくる子だなと思ったんです。

咲良 あはははは(笑)。最高の褒め言葉ですっ!

芹澤 もちろんウザいっていうのはいい意味、「すごく愛が強い」っていう意味で。私のいるi☆Risっていうグループにも久保田未夢っていうアニメオタクの子がいて、彼女とアニメの話をしてると「あ、ちょっとウザいかも」って思うことがあるんですよ(笑)。でもそのウザさって「アニメが好き」って気持ちが溢れてる証拠だし、何かを好きでいることってすごく素敵なことだから、彼女にしても雪ちゃんにしても全然憎めない……どころか、そこも含めてすべてを愛せるんです。私の中にそういう気持ちがもともとあったから、雪ちゃんを演じてるときにも、いつかハルくんを振り回しそうなウザさが出たのかもしれないです。

咲良 今ほどではないんですけど、実は私も最初から雪ちゃんのオタク的なウザさを描くようにはしてたんですよ。初期の雪ちゃんには、オタク趣味のない「普通」の男の子のハルくんが自分のオタク趣味をどこまで許容してくれるのか?っていう実験してるところがあったりしますし。

春彦がオタク女子と付き合えるか、テストをしていた雪。春彦はそんな雪のことをすべて受け入れた。

──1巻のクライマックスのデートは「ハルはオタク女子と付き合えるのか」っていうテストだったわけですもんね。

咲良 で、2巻ではお互いが慣れてきて、雪ちゃんは普通の人に対する気遣いを見せながら、ハルくんはハルくんでオタクに対する気遣いを見せるんです。ただそれを経てから、オタクじゃない普通の女の子が登場するんですよ。それまで雪ちゃんが思いっきり出してきたオタクのウザさっていうのが、そこで初めて邪魔になる。実はそういう流れを作っていたので、芹澤さんの演技を聴いたおかげで“ウザさ”に拍車をかけられたのは、本当に願ったり叶ったりだったんです。

原作:粒々辛苦 / 作画:咲良「我が愛しのヲタ彼女」 / 発行・発売:小学館クリエイティブ
1巻 / 648円
2巻 / 648円
3巻 / 648円
あらすじ

ヲタクな彼女は、好きですか?
週3日しか学校に来ない、病弱、可憐な“神秘のヒロイン”白石雪。
口ベタでちょっと空回りしがちな、自称“平凡主人公”坂入春彦。
少年が何も知らずに恋に落ちたヒロインは……実はヲタクな不登校児だった!?

第1話の試し読みはこちらから

i☆Ris ライブBlu-ray / DVD「i☆Ris 1st Live Tour 2015 ~We are i☆Ris!!!~@Zepp Tokyo」 / 2015年9月16日発売 / エイベックス・ピクチャーズ
Blu-ray Disc / 6480円 / EYXA-10616
DVD 2枚組 / 4860円 / EYBA-10614~5
「ニッポン朗読アカデミー」

放送局:ラジオ大阪
放送時間:毎週木曜日24:30~25:00
ニッポン放送のインターネットラジオ「Radital」でも毎週金曜日に配信中。

咲良(サクラ)

東京都出身。6月7日生まれ。執筆活動のほか、タレントとしてもメディア、イベントに多数出演。コスプレ、ゲーム、音楽(アカペラ)を趣味とし、アカペラグループ「アライアンス・ジャパン」を主宰する。代表作は「ボクとカノジョの恋愛目録」「擬態かのじょ」など。2015年現在、E★エブリスタのオンラインレーベル・少年エッジスタにて「我が愛しのヲタ彼女」、ポニーキャニオンのWebマンガサイト・ぽにマガにて「Lance N' Masques -インサイドプラス-」を連載中。「Lance N' Masques -インサイドプラス-」の単行本1巻は、10月3日に発売される。

芹澤優(セリザワユウ)

81プロデュース所属。声優、アイドルユニット・i☆Risのメンバーとして活動。主な出演作品に「実は私は」(白神葉子)、「プリパラ」(南みれぃ)、「プリティーリズム・レインボーライブ」(福原あん)、「ムシブギョー」(一乃谷天間)、「犬とハサミは使いよう」(秋月マキシ)など。9月16日に発売される「i☆Ris 1st LIVE Tour 2015~We are i☆Ris!!!~@Zepp Tokyo」のBlu-ray / DVDには、i☆Risとして全国5大都市を巡った1stツアーの最終公演を収録。