TVアニメ「転生したらスライムだった件」は、通り魔に刺されて死んだ37歳童貞の会社員・三上悟が異世界にスライムとして転生したことからはじまるファンタジー。伏瀬が小説投稿サイト・小説家になろうにて発表した同名作品のコミカライズを原作としており、10月より2クールでアニメの放送がスタートした。
コミックナタリーでは原作者の伏瀬と、本作のファンを公言するオープニング主題歌アーティストの寺島拓篤による対談をセッティング。アニメの見どころや連載時の苦労に加え、社会経験豊富なスライムだからこそ成し得た作品の魅力についても時間いっぱい語ってもらった。また撮り下ろし写真も掲載しているので、そちらも併せてお楽しみあれ。
取材・文 / 粕谷太智 撮影 / 星野耕作
「早く続き出してくれー」と思いながら読み返しました(寺島)
──まずは、アニメ化のお話を聞いた際の感想などお聞かせください。
伏瀬 実は、アニメ化について聞いたのは、関係者の中で僕が一番最後だったんです。
寺島拓篤 えー! ひどい(笑)。
伏瀬 いや、薄々は気付いてたんですけど(笑)。途中で話がなくなったときに、ショックを受けないよう伏せられていたみたいで。月刊少年シリウス(講談社)でコミカライズが始まったときには、もうアニメ化のことも少し話されていましたね。それから話が段階的にだんだん具体的になっていったので、正式にアニメ化を伝えられたときには喜ぶタイミングを失ったというか、うれしいを通り過ぎてました。
──だいぶ心の準備ができていたと。
伏瀬 はい。それでもやはり聞いたときは、ふわふわした気持ちになりました。それが原稿の締め切り1週間前の出来事で、そこから執筆に集中できなくて締め切りを10日ほど延ばしてもらうことになりまして。小説の担当編集も「締め切りが終わってからアニメ化を伝えていれば」と嘆いてましたね(笑)。
──そんな裏話が(笑)。寺島さんは本作でオープニング主題歌を担当されていますが、公式サイトのコメントでは「既刊を何度も読み返すほどのファン」だとおっしゃっていたのが印象的でした。どういったきっかけで本作をお知りになったのですか?
寺島 小説を書かれている先生の前で言うのも失礼なのですが、僕はコミカライズ版から作品に入りました。Webのバナー広告で「転スラ」を知って、まったく内容も知らないまま読みはじめたらすごく面白くて。さくさく読み進められる分すぐに読み終わってしまって、「早く続き出してくれー」と思いながら読み返しました(笑)。
──読み返したくなる魅力はどこにあると思いますか?
寺島 僕はマンガの“画面”を見るのがすごく好きなんです。単純に絵がうまいとかきれいとかだけじゃなくて、どういうふうにマンガとして描いているんだろうとか考えながら読むのが好きで。僕は小説を読んでいなかったので、小説ではどういう表現をしてこういう絵になったんだろうとか、逆の方向からの想像を膨らませたりして。それから小説を読んでみると「こういう部分を絵で補足していたんだな」とか、いろいろな発見が楽しめたので自然と繰り返し読みたくなる作品だなと思いました。
──そういう楽しみ方もこの作品の魅力だと。
寺島 そうですね。コミックスも小説もそれぞれが相互に作用し合って、しっかりと「転スラ」という作品のパワーになっているなと、個人的には思っています。
地獄の苦しみを味わうことになりました(伏瀬)
──ちなみに伏瀬さんは、「転スラ」を連載していた、小説家になろうのコメント欄などを通してファンの方と交流されていたと思うのですが、こうして直接お会いになるのは初めてでしょうか?
伏瀬 以前マンガ版が連載されているシリウスさんの忘年会に参加させていただいたときに、居酒屋の店員さんに声を掛けられたのが初めてです。「本当にファンっているんだ」と思いました(笑)。あとはマンガの作画を担当してくださっている川上(泰樹)先生ですかね。最初にお会いしたときに「ファンです」と言ってくださって。
寺島 川上先生もそうだったんですね!
伏瀬 ちょっとリップサービスは入っているかもしれないですけど(笑)。でも本当に読み込んでくれているのはマンガから伝わってきています。
寺島 読んでいて、小説とすごく噛み合っているなと思います。
伏瀬 川上さんは、もう僕以上に詳しいんじゃないかなと。
寺島 得てしてファンのほうがよく知っているっていうのはありますからね(笑)。
伏瀬 そうなんですよね。ファンの中には「5周目入りました」とか言ってくださる方もいて、「僕ですら3回くらいしか読み返してないぞ!?」みたいに思うこともあるくらい(笑)。
寺島 5周ですか、すごいですね!
伏瀬 書籍化にあたって書き直す際に、削った設定で自分が混乱した部分をファンが指摘してくれることもありましたね。書籍の発売日にAmazonのレビューに矛盾に対する指摘が書かれていて、そこで気付いたりとか。
寺島 よく見てくれていますよね。でもうれしいやら悔しいやら……。
伏瀬 そうですね。それでも3日以内に書き込んでくれるのは、確実にファンの方だと思うんですよ。だから真摯に受け止めるしかない(笑)。
──Web連載のときからそういったファンの声は大切にされていたんですか?
伏瀬 連載を始めた当初は、コメントに絶対返信しようと思っていました。実際に返信するのに2時間ぐらいかけたりして。
寺島 大変! 返信にもそんなに時間をかけていたんですね。
伏瀬 それでも、1日にコメントが100件ぐらい付いたところで、全部に返信するのは難しくなっていったんですけど。ファンの言葉は基本悪いことを書かれていても正論な場合が多いので、全部を切り捨てるのではなくて取り入れていった意見もありますね。
寺島 コメントを見て展開を変えたこともあるんですか?
伏瀬 「この先こうなるよね」みたいに展開を予想するコメントがあって、それが考えていた展開と同じだったことがあったんです。そのときは予想されたみたいになるのが嫌で展開を変えたんですが、その後の展開も大きく変えなくてはいけなくなって……。当時毎日連載していたので、地獄の苦しみを味わいました。二度と人の意見に流されるかと(笑)。
寺島 毎日の更新でそれはキツイですね(笑)。
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経験豊富な社会人だからこそ、社会形成ができる(寺島)
「転生したらスライムだった件」
- 放送情報
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TOKYO MX:毎週月曜24:00~
BS11:毎週月曜24:00~
tvk:毎週月曜25:00~
MBS:毎週火曜27:30~
- スタッフ
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原作:川上泰樹・伏瀬・みっつばー『転生したらスライムだった件』(講談社「月刊少年シリウス」連載)
監督:菊地康仁
副監督:中山敦史
シリーズ構成:筆安一幸
キャラクターデザイン:江畑諒真
モンスターデザイン:岸田隆宏
音楽:Elements Garden
アニメーション制作:エイトビット
- TVアニメ「転生したらスライムだった件」公式サイト
- 【公式】TVアニメ『転生したらスライムだった件』 (@ten_sura_anime) | Twitter
- TVアニメ「転生したらスライムだった件」アカウント公式 (@tensura_official) | Instagram
©川上泰樹・伏瀬・講談社/転スラ製作委員会
- 「転生したらスライムだった件①」
- 2019年1月29日発売 / バンダイナムコアーツ
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特装限定版 [Blu-ray]
19440円 / BCXA-1411 -
通常版 [DVD]
5832円 / BCBA-4931
- Blu-ray特装限定版特典
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- 原作者・伏瀬書き下ろし小説を収録した特製ブックレット(約50P)
- アプリゲーム限定シリアルコード
- キャラクターデザイン江畑諒真描き下ろし収納BOX
- マンガ版原作者・川上泰樹描き下ろしデジジャケット(両面描き下ろし)
- 映像特典:PV・CM集
- 音声特典:オーディオコメンタリー
- DVD通常版特典
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- アプリゲーム限定シリアルコード
- 寺島拓篤「Nameless Story」
- 発売中 / バンダイナムコアーツ
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初回限定盤 [CD+DVD]
1944円 / LACM-34798 -
通常盤 [CD]
1404円 / LACM-14798
- 伏瀬(フセ)
- 2013年に「転生したらスライムだった件」を小説投稿サイト・小説家になろうに投稿。2014年には書籍1巻がマイクロマガジン社より刊行され、2015年には月刊少年シリウス(講談社)にて同作のコミカライズ連載がスタート。そのマンガ版を原作としたTVアニメが2018年10月より放送されている。
- 寺島拓篤(テラシマタクマ)
- 12月20日生まれ。石川県出身。アクセルワン所属の声優・歌手。主な出演作は、「創聖のアクエリオン」(アポロ役)、「セイクリッドセブン」(丹童子アルマ役)、「うたの☆プリンスさまっ♪マジLOVE1000%」(一十木音也役)、「火ノ丸相撲」(辻桐仁役)など。TVアニメ「転生したらスライムだった件」オープニング主題歌を収録した8枚目のシングル「Nameless Story」が現在発売中。