サブキャラの恋愛にもチャレンジする最新作「泡恋」

──「今日恋」に続いたのが、「未成年だけどコドモじゃない」です。学生結婚から始まるという、「今日恋」とはまた打って変わったタッチで、主人公の香琳も高飛車なザ・お嬢様というインパクト大なキャラクターでした。

「未成年だけどコドモじゃない」1巻より。「結婚してあげてもよくてよ?」と高飛車全開のヒロイン・香琳。

「今日恋」との差別化は念頭に置いていましたね。香琳は描いていてすごく楽しかったです。

──「狂想ヘヴン」の自己中心的な生徒会長・乃亜についても、「乃亜を生み出せたのがこの作品を描いて一番よかったこと」とあとがきに書くくらいお気に入りだったようですが、ワガママキャラがお好きなんですか?

そうかも。描きやすいんでしょうね、極端で、普通じゃ言えないことを言わせられるから(笑)。「今日恋」は読者から共感を得やすい作品だったと思うんですけど、「みせコド」はどちらかというともう少し大人向けだったのかなと、描き終わってから感じました。同世代の子が香琳を見ると、「何この子!?」ってなっちゃうのかなって。突飛な割には香琳なりの人間性があって、私はすごく好きなキャラなんですけどね。

──私もとことんポジティブな香琳は見ていてとても痛快でした。「みせコド」は昨年、中島健人さん、平祐奈さん、知念侑李さん出演で実写映画化されましたね(参照:水波風南「未成年だけどコドモじゃない」映画化!中島健人×平祐奈×知念侑李で)。

そう、絶対そんなことにはならないと思っていたので、すごく驚きました。「今日恋」に引き続きキャストさんも豪華で、面白く作っていただいたので、本当にもうありがとうございますという感じです。

──そして現在Sho-Comiで連載中なのが「泡恋」です。恋に憧れる由花と、ときどき記憶を失ってしまう賢太郎の王道ラブストーリーですが、これはどういう経緯でスタートしたんでしょうか?

「泡恋」1巻より。流されがちだった主人公・由花は、初めて恋を知り、どんどん変わっていく。

何も持ちたくないと思っていた男の子と、何も持っていなかった女の子が合わさることによって、意味のあるものになったらいいな、というイメージから始めました。最初は主人公の由花を考えたんですが、彼女は普通というか、ぼんやりした子ですね。高校生くらいだと周りに流されがちな時期ってあると思うので、そういう時期の子を描いてみようかなと。相手の賢太郎に関しては、私の知り合いで、彼女に振られたショックでうつになって、記憶が消えちゃう人がいたんですね。実際に彼が日々のことを写真に撮って残していたんですが、その姿が印象的で。私も大学のときに、彼氏に振られて食べ物の味がしなくなったことがあったので、精神的なショックでもそういう症状が出るということはなんだか理解できる気がするんです。あとは生徒会っていう要素を入れたのが、私の中では割と新しいですね。

──生徒会はキャラクターが個性的で、見ていて楽しいです。今後は会長と加賀屋さんの関係も描かれるんですか?

なるべく描きたいですね。

──先ほど「今日恋」の話題でご自身でも言っていたように、水波さんの作品って、メイン2人を大事にしたいという思いがあるがゆえか、サブキャラのエピソードが描かれることはそこまで多くないですよね。サブキャラを掘り下げている感じが「泡恋」では少し新鮮でした。

そうなんです。群像劇みたいに、同時進行で恋愛を追えるタイプの作家ではないので、今回はそこにチャレンジしているところもありますね。現在は体調の関係で連載をお休みさせていただいていて、いつ再開できるかはまだわからないんですが、必ず完結させたいと思っています。

北川みゆき先生にファンレターの返事を見せて「にわかじゃないぞ」

──Sho-Comi50周年ということで、ここからは思い出の作品や作家さんについて語っていただければと思います。

初めてSho-Comiを買ったのは小学校5、6年生くらいのときです。北川先生の「ぷりんせすARMY」と、篠原千絵先生の「海の闇、月の影」が読みたくて。北川先生は絵柄が好きでしたね。とにかくヒロインがかわいかったです。当時はりぼん(集英社)を読んでたんですけど、友達の家で「気まぐれエンゲージ」を初めて読んで「こんなにかわいい絵の人がいるんだ!」と驚いたのと、ちょっとエッチな世界に衝撃を受けました。篠原先生のほうは、ホラーサスペンスだけど少しエッチだったり、世界観へ引っ張られていく感じがすごかったです。「海の闇、月の影」は双子、超能力、恋愛のすべてがうまくマッチしていて。小学生のとき、篠原先生のサイン会に行ったことがあります。確か高田馬場だったかな。

──そんな憧れだった作家さんと、同じ雑誌で連載できたというのは感動的ですね。北川先生とは普段から、Twitterなどでも交流していらっしゃる印象です。

北川先生はすごくフレンドリーで……。私がデビューしたときはもう先生はCheese!(小学館)にいらっしゃったんですけど、知り合いのCheese!作家さんにご紹介いただいて、漫画賞の授賞式のときにサインをいただいたり写真を撮らせていただいて。そののちに編集さんにセッティングしてもらって、お食事をご一緒したんです。「本当にファンなの? 気を遣って言ってるだけじゃないの?」とちょっと不安に思っていたそうなんですが、私が「ぷりんせすARMY」のときに北川先生からいただいたファンレターのお返事を持参したら、信じていただけました。にわかじゃないぞ、と(笑)。

──(笑)。後輩作家だと、夜神里奈さんは水波さんのアシスタントをしていたんですよね。この連載の第1回でインタビューさせていただいたときに、「物には必ず厚みがある、ということを水波先生のところで学んだ」とおっしゃっていました(参照:Sho-Comi50周年特集 第1回 夜神里奈インタビュー)。

確かに執拗にアシスタントに言っていましたね(笑)。夜神さんはアシしてくれているときからうまかったです。とくに人物、男の子が本当に得意な子だなと思っていて。デビューから人気が出るまでは少し(時間が)かかったかもしれませんが、研究熱心な方なので、男の子が魅力的な作品で花開いて、やっぱりヒットするべくしてしたな、と。あと池山田剛先生は、私の後にデビューされて、「スター街道ってこうなんだな」って思いました。

──デビューの頃から華々しかった印象が?

デビュー作がすごくいい人って、デビュー作を超えられないことがあったりするんですけど、池山田さんはどんどん超えていって、Sho-Comiでは当時あんまりメジャーじゃなかった幼いタッチの絵も浸透させて。ストーリーやキャラがしっかりしているから、別次元の方だなと思いながら見ていました。

──あと、藤原よしこ先生が大学の先輩だとも単行本の柱に書いていらっしゃいましたね。

そうなんです、同じ研究室だったみたいで。在籍していたのが私が入る何年か前だったので、面識はなかったんですが、教授から「マンガ家がいるんだよ」っていう話は聞いていました。あとベツコミ(小学館)のしばの結花先生も同じ教授だったみたいです。

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水波風南(ミナミカナン)
水波風南
11月12日埼玉県生まれ。1999年に少女コミック増刊号(小学館)にて「実のある“彼女”」でデビュー。初の長期連載となる「レンアイ至上主義」が280万部を超える大ヒットに。2001年に発表した「蜜×蜜ドロップス」はドラマCD化を皮切りにOVA化、ゲーム化された。2012年には「今日、恋をはじめます」が武井咲、松坂桃李主演により実写映画化。2017年には「未成年だけどコドモじゃない」が中島健人(Sexy Zone)、平祐奈、知念侑李(Hey! Say! JUMP)出演により実写映画化される。現在はSho-Comi(小学館)で「泡恋」を連載中。

2018年12月20日更新