コミックナタリー Power Push - パタリロ!

“人間には無理”だと思われていた「パタリロ!」が舞台化!魔夜峰央と加藤諒が耽美かつ華麗に逢瀬

「母娘4代で読んでいる」という方がいたんです(魔夜)

──「パタリロ!」本編は現在、紙の雑誌からWebに引っ越して連載しています。何か変化はありましたか?

花LaLa onlineで連載中の「パタリロ!」より。

魔夜 自分としては、紙よりも読みやすくしたいなと思って、エッセイ風にしていますね。だからWebではパタリロとミーちゃん(※)のやり取りで話が進むんです。
※「パタリロ!」内での魔夜峰央の分身にあたるキャラ。

──ああ、そうだったんですか! 確かにミーちゃんがよく出てくるなと思っていました。

魔夜 だって、作り込んだストーリーをWebで読むのは大変でしょう? 「スターダスト」みたいなものは疲れちゃいますよ。なので、あえてさーっと読めるような感じのものを描いています。

──私は現在20代後半なのですが、中学のころに母親にすすめられて「パタリロ!」を読みはじめたんです。今、Webでの連載が始まってから、下の世代の反応が増えたということはありますか?

魔夜 そこまではあまり意識していないですね。やはりお母さんが読んでたとか、お姉さんから読んでいたということは聞きますね。そうそう、以前サイン会で「母娘4代で読んでいる」という方がいらっしゃいました。

加藤諒

加藤 ええーっ!

魔夜 それまでも3代まではいたんだけどね、4代と言われると、さすがの私もびっくりしました。いろいろな年代の方に読んでいただけるのはうれしいですよ。

──しかも、単に自分が楽しむだけじゃなくて、ずっと好きな作品として覚えていて、お子さんにも伝えていっている方が多いということですよね。うちの母も今回の舞台化のことまでチェックしていました。

魔夜 舞台化の話はこれまで明確に出ていたわけじゃないけれど、考えた人はいたはずなんですよね。でも最大のネックは「パタリロがいない」ことだった。それがここに来て(加藤が)出てきたわけでしょ。湧いてきた、というべきかな。

加藤 いやー! プレッシャーです(笑)。

「ゴキブリ走法」はぜひ舞台で確認してください(加藤)

──加藤さんのパタリロらしさって、どういうところなんでしょう?

魔夜 だって見たまんまだし。やっぱり「人間外」というところじゃないですか。

──加藤さんのまわりからはどんな反応がありましたか?

加藤諒演じるパタリロ。

加藤 ビジュアルが解禁されたときには「完全にパタリロ!」って言われましたね。いろいろな現場に行っても「パタリロがんばってね」と言ってくださる方が多いです。

──ビジュアルでのポーズも表情も、ものすごくパタリロだなと思いました。舞台ですとさらに身体的な表現が多いと思いますが、パタリロ独特のギャグとかも炸裂する予定なんでしょうか? 「目からウロコ」とか「ほっぺたが落ちる」とか、再現が難しそうなものがいろいろありますけど……。

加藤 皆さんおなじみの「クックロビン音頭」と「ゴキブリ走法」は、ありますよ!

──ゴキブリ走法を!? 一体どんなふうにやるんでしょうか。

魔夜 僕もさっき聞いてびっくりしたんだよね。

加藤 僕も「どうなるのかなあ」って思ってます。実際どういうふうになるかはぜひ舞台で確認してください(笑)。

60%でいい(魔夜)

──加藤さんは今回の舞台で初座長を務めますが、座長として心がけていることはありますか?

加藤 顔合わせで挨拶をしたりとか、座長っぽいこともしてはいるんですが、まだ実感はないです……。稽古場でみんなを引っ張っていけたらいいな、とは思っているんですが。くよくよしない、というのが大事ですね。

魔夜 加藤くんでもくよくよすることがあるんだ?

加藤 くよくよすることばっかりですよ!? くよくよしかしてません!

──そうなんですか(笑)。どういうときにくよくよするんですか?

加藤 バラエティ番組でMCをやるときなどにくよくよすることが多いですね。だいたい、練習していたほどはうまくいかないので……まだまだ修行中です!

──くよくよしたときの復活法は?

加藤 夜中に気が済むまで歩き続けて、思考を無にします。

魔夜峰央

──先生は、くよくよすることありますか?

魔夜 ないと思う。

──即答でした(笑)。作品に対する読者の反応などが気になったりはしないでしょうか?

魔夜 舞台のように人前に立つお仕事だとお客さんの反応がダイレクトに返ってくるから、気にしないといけないかもしれないけど、マンガってそこまでダイレクトなものはないんですよね。ですから「こう言われたからこうしよう」ってことはほとんどないです。まあ、あえて無視していると言ってもいいかな。いい意味で。

──それは「パタリロ!」を96巻まで描かれてきて辿りついた境地なんでしょうか?

魔夜 いや、最初からですよ。ずっと、「60%でいい」と思ってますから。100%を目指すと苦しくなるんですよ。自分が100%だと思っていても読者に受け入れられないときもあるし、逆もある。「いい」とか「悪い」とか考えてみても結局自分のひとりよがりだから、そんなこと気にしないで、さらっといこうと思っています。

魔夜峰央「パタリロ!BEST GAG REMIX」2016年12月7日発売 / 白泉社 / 540円
魔夜峰央「パタリロ!BEST GAG REMIX」

名作ばかりの9エピソードをセレクトしたベスト版。ファンは必携、「初めて読む『パタリロ!』」としてもオススメの1冊です。

収録

「墓に咲くバラ」「パタリロの1日」「雪がやんだら」「タマネギ!」「忠誠の木」「FLY ME TO THE MOON」「グリフィンのエッチング」「速解術」「果てなき旅路」「特別企画『魔夜峰央ロングインタビュー』原作者の知られざる顏に吉田豪が迫る!」

舞台「パタリロ!」

舞台「パタリロ!」

期間:2016年12月8日(木)~25日(日)
会場:紀伊國屋ホール

脚本:池田鉄洋
演出:小林顕作

キャスト

パタリロ:加藤諒
マライヒ:佐奈宏紀
タマネギ部隊:細貝圭、金井成大、石田隼、吉本恒生
魔夜メンズ:佐藤銀平、吉川純広、三上陽永、柴一平、香取直登(※柴と香取はWキャスト)
バンコラン:青木玄徳

声の出演:鈴木砂羽、池田鉄洋、西ノ園達大、大堀こういち

魔夜峰央(マヤミネオ)
魔夜峰央

1953年3月4日生まれ、新潟県出身。1973年にデラックスマーガレット(集英社)でデビュー。1978年、花とゆめ(白泉社)にて代表作「パタリロ!」の連載を開始。テンポの良いギャグと、博識に裏打ちされたなんでもありの世界観で大ヒット作となる。「パタリロ西遊記」などスピンオフ作品も多数。現在も「パタリロ!」を無料コミックサイト花LaLa online(白泉社)にて連載中。

加藤諒(カトウリョウ)
加藤諒

1990年、静岡県生まれ。NHK大河ドラマ「真田丸」、NHK連続テレビ小説「とと姉ちゃん」や日本テレビ系ドラマ「ゆとりですがなにか」「怪盗 山猫」、フジテレビ系ドラマ「主に泣いてます」、映画「金メダル男」「デトロイト・メタル・シティ」といった数々の作品に出演。バラエティ番組でも個性あふれるキャラクターで人気を集めている。舞台俳優としても活躍しており、残酷歌劇「ライチ☆光クラブ」、ライブ・スペクタクル「NARUTO -ナルト-」などに出演。舞台「パタリロ!」パタリロ役で初座長を務める。

衣裳協力
長袖シャツ…BOHEMIANS
クロップドパンツ…BOHEMIANS
コート…BOHEMIANS
上記全て、
BOHEMIANS(03-5720-2460)
ボウタイ…kanekopopbowtie
上記1点、
kanekopopbowtie(050-5892-8138)
そのほかスタイリスト私物