コミックナタリー Power Push - マーガレットコミックス特集 あの頃も、これからも!一生少女マンガ宣言 第8回 水野美波「虹色デイズ」
少女マンガを男主人公で描くこだわり
こういうクラスを目指してくれるといいな
──水野先生の描く男の子の集団は本当に仲が良くて、見ていて楽しくなってきます。
読んでて楽しいなって思えてもらえたらうれしいです。ちょっと憧れてほしい部分もありますし。あと私、なんでも第三者目線で見るタイプなんです。だから男の子がわちゃわちゃしてるのを見るのも楽しいし、それは女の子でも同じ。誰かに感情移入して描いてるわけじゃなくて、俯瞰で見てます。
──「虹色デイズ」には、すごく今どきな高校生たちの空気感を感じます。
自分の高校時代を思い出しながら描いてますね。割と鮮明に覚えているほうだと思います。描いてるエピソードを実際に体験してたわけじゃないですけど、学祭の空気感とか、登下校の空気感とか、そういうのを思い出して。でも私が高校生だったのなんて10年も前の話だから、こないだ母校に取材にも行きました。生徒さんはあまりいない時間でしたけど、私がいたころより校則が厳しくなったのか、もうちょっとカチッとしてましたね(笑)。
──確かに「虹色デイズ」の学校はゆるそうというか、真面目な学校じゃないんだろうなと思って読んでいました。
私の行ってた高校が割と自由な校風だったので。クラスもみんなワイワイしてて仲良かったし、その雰囲気が出てるのかな。
──この空気感にも、すごくリアリティを感じます。
あったらいいなって感じで見ていただけるとうれしいです。こういうクラスを目指してくれるといいな、とも思うし。
──願望が反映されていたり?
そうですね。願望と体験を足して2で割った感じです。文化祭とか体育祭とかの行事は体験が反映されているし、逆に恋愛部分は願望……いや、願望っていうか、少女マンガらしさを出そうとしてます。
「恋愛カタログ」は群像劇が好きなルーツ
──今回「ブックパス」のキャンペーンでマーガレット、別冊マーガレットの作品がたくさん読み放題になるので、水野先生のお好きな作品についてお聞かせください。
思い入れのある作品は、「恋愛カタログ」一択ですね。りぼんを卒業して、別マを買うようになったきっかけの作品なので。中1までりぼんを買ってたんですけど、そのときにクラスメイトから「恋愛カタログ」を借りて、続きが待てなくて「よし、別マを買おう!」と。群像劇が好きなルーツも、ここにあると思います。すごく目線が変わるし、あるカップルのターンに入ったらしばらくその話が続くし。いろんな人の恋愛の仕方とか心情を見られて「この人はこういうことを考えているんだな」って知れるのも面白い。
──1パターンの恋愛だけじゃなくて、いろんなパターンがある。
そうそう。みんなで何かするのが楽しそうだなと思うし、兄弟もかわいいし、隆司くんもかわいいし。あと郷右近さんすごいな、って思うし(笑)。そのときから別マっ子になったので、別マの単行本すごくいっぱい持ってるんですよ。「ラブ★コン」「君に届け」「高校デビュー」「ストロボ・エッジ」……。いくえみ綾先生の「私がいてもいなくても」もすごく好き! それも別マで読んでましたね。男の子が駆け出しのマンガ家なんですけど、影のあるクールな感じがいいなあと思ってました。
──いくえみ先生の描かれる男の子、本当にどれもカッコいいですよね。
あと私、読み切り集が好きで、たくさん持ってます。河原和音先生とか、藤村真理先生の「…の女」とか。1話ごとに主人公が変わるオムニバスなんですけど、どれも全部面白い。あとは香魚子さんとか、安藤ゆきさんとか、羽柴麻央さんもすごく好きです。香魚子さんは儚い感じの空気感とかすごくいいですよね。最初の「さよなら私たち」は印象深いです。「伯爵と妖精」もよかったなあ。ああいう世界観がすごく好きなので。原作はコバルト文庫ですけど、香魚子さんの絵にすごく合ってました。伯爵がカッコいいんですよね。
──読み切り集が好き、というのはなぜですか?
マンガ離れしてた頃、読み切り集をいっぱい買ってたんです。なぜかというと、連載を追えないから……(笑)。ちょっと本屋に行って、なんか読みたいなあっていうときに読み切り集を買ってたので、すごくいっぱいあるんです。最近「恋愛女子短編集」ってマーガレットの作家さんごとの読み切り集が文庫版で出てるじゃないですか。あれ、買ってます。文庫版は分厚いし軽いし読みやすいですよね。
──マンガ離れをしてた時期もあったんですね。
高校生から20歳くらいまで、マンガを描く前まではちょっと離れてたんですよ。高校生のころは学校が楽しくなってて、あんまり読んでなかったです。でも教室に「花より男子」が全巻あったので、それは読んでました。誰が持ってくるのかわからないですけど、なぜか教室ってマンガ置いてありますよね。で、卒業式のときに「○巻がない!」って騒いでたり(笑)。
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水野美波(ミズノミナミ)
7月30日生まれ。AB型。北海道出身。2006年、「たとえばこんな私とあなた」でデビュー。2012年、別冊マーガレットsister(集英社)に「虹色デイズ」の第0話が掲載される。「虹色デイズ」は別冊マーガレット2012年2月号より連載開始。2014年10月に発売された7巻の限定版にドラマCDが付属する。2015年、ドラマCD版のままのキャストでTVアニメ化が決定した。ほか著作に「青春トリッカーズ」、「螺旋のVAMP」、「新聞部の小松さん」など。
2016年1月22日更新