個性豊かなキャラクターの秘密

──キャラクター作りに苦手意識があるようですが、先生の描くキャラクターはとても魅力的です。「君は春に目を醒ます」では、好きだからこそ絃をいじめてしまった過去に苦しむ弥太郎と、人工冬眠していたために絃の誕生日を祝えなかったり、その成長に認識がついていかないなど、過去がないゆえに戸惑う千遙。対照的な2人の男子の関係性がたまりません。

先にキャラが固まっていたのは弥太郎ですね。ヒロインを虐めていたことを後悔している男子の案は以前からあって、今回の話に使えそうだなと。そうなると千遥はそのいじめっ子から助けてくれるヒーローで憧れのお兄ちゃん的存在……という感じで決めていきました。

──2人に関するお気に入りのエピソードはありますか？

3巻の#10のお弁当のくだりとかでしょうか。しょうもないことで張り合ってて、バカっぽくていいと思います。

──ヒロインである絃の成長も、ゆっくりとですが着実に描かれているように感じます。

先に男子2人の対比から決めたので、絃はそれに当てはめていきました。弥太郎にいじめられていて千遥に助けられるので、最初は大人しくて弱い子で、千遥の人工冬眠がきっかけで、そこからたくましく成長していく子になってくれればと。現在では千遥より絃のほうが大人だと思うので、ビシバシしごいてリードしていくようになってほしいですね。

──ややサイコパスなメガネキャラ・雨村や、ザ・反抗期の澪、美人なのにストーカー気質の杏など、脇役陣も魅力的です。

雨村は、弥太郎をいじりつつも、絶対的な味方がほしくて作りました。杏と澪は、絃と千遥が年が離れてたところから同い年になる設定だったので、その逆も描きたくて作りました。

──作者としてはどのキャラクターに感情移入してしまいますか？

弥太郎でしょうか……。このマンガの中ではいちばん思考回路が近い気がします。弥太郎は割と描きやすいのですが、千遥は逆ですね。モノローグがないのもありますが、扱いが難しいです。

──キャラクターの名前も素敵ですが、なにか心がけていることはありますか？

声に出して呼びやすい名前、何か意図がない限り読み間違えのなさそうな漢字を選ぶようにしてます。あまり名前に意味を持たせたりはしないのですが、千遥はちょっとだけタイトルの“春“が入ってますね。以前いただいたお手紙で、ご自分の苗字があまり好きではなかったけど、私のマンガに同じ苗字のキャラがいて、そのキャラのおかげで自分の苗字を好きになったと書いてくれていて、とてもうれしかったのを覚えています。ちなみにその苗字は単純に綺麗だなーと思ってつけた苗字でした。

最近のこと、これからのこと

──普段はどのようにしてお過ごしになっていますか？

ここ数カ月はちまちま断捨離してます。昔のラクガキ帳の処分に困っています。あと今はサメ映画を延々観ています。自分のマンガにもサメを登場させたくなります。

──サメ映画アツいですよね！ 私は「シャークネード」が気になっています。

まさに「シャークネード」を観てました（笑）。サメの万能さをまざまざと見せつけられます。ゾンビものを観ていても、自分のマンガで急にゾンビが発生したら……とか妄想してます。まず樋口が犠牲になります。千遥は非力で役立たずそうですが、飛び道具（弓）が使えるので強キャラになれます。

──樋口は千遥に電話で「助けてくれえ！」とか言いながらやられそうですね（笑）。さて、「君は春に目を醒ます」は、弥太郎のがんばりもあってか、こじれにこじれて絶賛連載中です。続きが大変に気になるところですが……。

引き続きこじれにこじれてて申し訳ない気持ちです。まだ先ですが、人工冬眠絡みの新キャラが出てくるので、楽しみにしてくださるとうれしいです！

──せっかくなので読者の方にメッセージをぜひ！

いつも読んでくださっている皆様ありがとうございます。おかげさまで今マンガを描くことができています。「君は春に目を醒ます」はもう少しで完結しますので、最後まで3人を見守ってもらえるとうれしいです！