「川越ボーイズ・シング」連載第3回|中西南央×金子誠がキャラクターから感じた“気持ちに正直になること”の大切さ (3/3)

学園ものがたくさん作られる理由

──ITとオトメもそうですが、高校生ぐらいってやっぱり自分をうまく表現できなくて悩む時期だと思うんです。おふたりは演技の仕事をされている中で、自分をどうやって表現するか、悩んだことはありますか?

中西 どうだろう……俳優の場合、演技は与えられた役を表現するもので自己表現ではない、アートじゃなくてデザインだっていう人もいますけど、自分が舞台を観ていると、どれだけ自分を隠しても、演技をしてても、その人自身というのは見えると思っていて。いろんな違う役をやって、違う方法で表現しても、その人が核に持っているものはごまかせないと思うんです。

──そう感じますね。

中西 自分を自分以上に見せたい気持ちだったり、ちやほやされたい、目立ちたいって気持ちがITは特に強い子ですけど、思春期ってそういう気持ちと本当の自分との戦いが巻き起こるんですよね。僕はこの作品が決まったときに、「学園ものなんだ」って思ったんですけど、学園ものって数がたくさんあるじゃないですか。でもやり終えてみると、結局「この先の人生をどう生きていくのか」っていう、そういう時代を切り取ったものが学園もので、だからこれだけたくさん作られるんだなって。

──なるほど……!

左からIT、オトメ。

左からIT、オトメ。

中西 自分の人生をどう生きていくか、自己をどうやって表現していくか、そこでの戦いって誰しもが通っていかないといけない道で。俳優は特にそれをやり続けないといけない仕事だし、こうして思春期を演じることは、俳優やものを作る人たちには特にリンクするのかなって思います。戦いですね、常に。

金子 いいこと言ったね。これはカットされずに載るね(笑)。

──これは見出しにしましょう!

金子 うわー困るぜ、俺の後にゴール決めてくれよ!(笑)

中西 ごめんなさい!(笑) 金子さんはどうですか? アート派ですか? デザイン派ですか?

金子 どうですかね。私も「お芝居には人が出るよ」「表現する人はなんでも経験したほうがいいよ」ってことはよく聞くので、ちょっとでも興味が向いたことは小さいことでも実践しようってことは心がけていて。そのとき思った気持ちは自分の心の引き出しに入れて忘れないようにしてるんですけど、それでもやっぱり出なかったりするときもありますし。人が人を演じるので、役に対して「なんでそんな考え方なの!?」とか思うこともあるんですよ。でもそこはむしろ、このお仕事をしていて楽しいところなので、悩むというよりはその役とどう向き合っていこう?って前向きに楽しむようにはしていますね。

中西 ITもまさに「なんでこんなことするんだろう」っていうキャラクターですね。でもそう思ったからこそ、「この子は、本当はどういう子なんだろう」ってすごく考えた。

金子 そういう「役について考える時間」は、すごく大切にしたいなって思います。

左から中西南央、金子誠。

左から中西南央、金子誠。

好きな子の青春時代を一緒に見届けて

──技術的に学んだことも多い現場だったと思いますが、物語やキャラクターから教わったことがあれば教えてください。

金子 2話でのITくんとオトメくんは、自分に素直になれないところから、勇気を出して自分の気持ちに正直になる、それってすごく大切だなって。歳を重ねていく中で、そういう素直な気持ちを出すのは難しくなっていくと思うので、改めてその大切さを2人から学んだなと思います。オトメくんはITくんや春男先生から素直になれるきっかけを与えてもらったので、私もそういうきっかけを自分の知らないところで誰かに与えられる存在になれたら幸せだな、という視点もいただけた作品ですね。

中西 自分の好きなこととか周りの人に対して素直になること、「あなたが好き」だけじゃなくて「お前が嫌い」でも、そういう自分が本当に思ってることで相手とぶつかり合うことって、大人になってなかなかできないことで。IT的には、すごく戦いの部分が多いんです。「自分はこうなんだ」っていうのを抑え込もうとする自分と戦う、みたいな。そういうのって思春期特有というか、大人にとっては青臭いものだったりするのかもしれないけど、やっぱり嘘をついちゃいけないところはついちゃいけないよねってことを、すごく教えてもらった気がします。

IT

IT

オトメ

オトメ

──まだまだお話は動き出したばかりですが、今後どんなところに注目してほしいですか?

金子 これからどんどんと部員に限らず個性的なキャラクターが登場しますので、ぜひ楽しんでいただきたいのと、オトメ的には、お話の中でたびたびスイーツがキーになってくるので、注目していただきたいですね。

中西 視聴者の人が好きになれるキャラクターが絶対に1人はいます! しかもその人たち1人ひとりに、必ずちゃんとストーリーがあって変化が訪れるから……好きになってほしい。好きなキャラクターを見つけて、その子の青春時代を一緒に見届けてほしいです。

──それがITだとなおうれしいですね。

中西 うれしいですねえ……好きになってもらえるかなあ。

金子 そこはぜひ、続きをご覧ください!

左から中西南央、金子誠。

左から中西南央、金子誠。

プロフィール

中西南央(ナカニシナオ)

1997年1月4日生まれ、東京都出身。主な出演作にシアター代官山プロデュース「カラフル」(小林真役)、舞台「ウェンディ&ピーターパン」(トゥールズ役)、ドラマ「俺のスカート、どこいった?」(花沢将吾役)などがある。特技は歌唱、コントラバス、ベース、チェロの演奏。危険物取扱者乙種第4類の資格を持つ。

金子誠(カネコマコト)

10月25日生まれ、神奈川県出身。主な出演作に「月がきれい」(小笠原大地役)、「賢者の孫」(ジークフリード=マルケス役)、「キラキラ☆プリキュアアラモード」(中野ひろき役)、「Free! -Dive to the Future-」(桐生勇魚、寒河江慎役)、「新テニスの王子様 U-17 WORLD CUP」(ティモテ・モロー役)などがある。特技はイラスト、絵を描くこと、映像編集。