「赤僕」から始まった少女マンガライフ
──先ほど週刊少年ジャンプのお話がありましたが、オカリナさんは「ONE PIECE」をはじめ、少年マンガ好きの印象があります。少女マンガはどういった作品を通ってきたのでしょうか?
マンガを好きになったきっかけはたぶん少女マンガで、小さい頃りぼんやなかよしを読んでいました。初めて買った単行本は「赤ちゃんと僕」。拓也は実(ミノル)に一生懸命で自分では気付かないだろうけど、実際にいたらモテるタイプですよね(笑)。お話が面白いのはもちろん、ウサギのお兄さんのエピソードには泣いちゃうんですよね。ウソでしょ……って。
──公治お兄さんの回ですね。そんなことある!?と衝撃で、余韻を感じながら呆然としていました……。ほかにはどういった作品がお好きですか?
今思い浮かぶタイトルでいうと、「彼氏彼女の事情」「HIGH SCORE」「ミントな僕ら」「ミラクル☆ガールズ」「ようこそ! 微笑寮へ」「おしゃべりな時間割」「ないしょのプリンセス」「姫ちゃんのリボン」が好きですね。もしかしたら厳密には少女マンガとは言わないかもしれませんが、「3月のライオン」「プリンセスメゾン」も好きで読んでいます。最近は「消えた初恋」がイチオシです!
──ナタリー読者も今「わかる、あれは名作」と思っていそうです(笑)。
こうして並べてみると、恋愛要素があまり入っていないほうが読みやすいのかも。恋愛要素が入っていても好きなんですが、特に三角関係ものだと主人公がフラフラすると「揺れるな!」と言いたくなってしまうし、「モテ」に理由があってほしいし、「マジか! そっちとくっつくの!?」と傷つくこともあって。ちなみに派閥で言うと、「ピーチガール」ではとーじ派、「フルーツバスケット」では由希派でした……。
──おお……。私はカイリ派と夾派でした……。
ゆいPもそうなんですよ! そういうのもあって、恋愛要素のある作品では「彼氏彼女の事情」のような、誰と誰がくっつくかわかりやすくて一途な話が好きです。
──キャラクター単体では、どのような人が好きですか?
まっすぐな人ですね。少年マンガはまっすぐな主人公が多いので、主人公を好きになりがちなんだと思います。だから「推しキャラが死ぬ」みたいな経験をしたことがほとんどなくて、割と安心して生きてきました。
──なるほど……! 主人公が途中退場するマンガはそう多くはないですものね。
毎週生死をハラハラ見守るような脇キャラを好きになりやすい人はしんどいですよね。例えば「ONE PIECE」の火拳のエースを連載リアルタイムで好きになっていた人って、「ハヤブサのペルだってサボだって生きていたのに、なぜ……!?」と愕然としたんじゃないでしょうか。でも実は「ONE PIECE」ってキャラが死なないと言われがちですが、くいなしかりヒルルクしかりベルメールさんしかり、キャラクターの成長に必要な人は死んでいるんですよね。そこからルフィの成長のことを思うと、エースのあのエピソードは必然なわけですけど……。
「通り過ぎた人」に響く
──「かげきしょうじょ!!」のお話に戻りますが、なんとアニメ化が決定しました!
おめでたい! 舞台の話ということで、きっとカラー映えする作品だと思っていたので、アニメになるのはすごく合っていると思います。これまでカラーは表紙でしか見たことがないので、舞台美術や衣装の華やかさの表現が楽しみです。ただ、見ているほうはいいですが、作るほうは難しいですよね(笑)。「かげきしょうじょ!!」の作中に出てくるハッとするほどうまい歌だったり、声で圧倒させる演技だったり、歌舞伎の演目やJPXのアイドル曲だったりを、アニメにどうやったら落とし込めるんだろう……。アニメーターの人は大変かもしれませんが、楽しみです。
──最後に、本作をどんな人にオススメしたいかをお聞かせください!
先ほどと少し重なりますが、マンガを全然読まない人にオススメできる作品ですね。普段あまりマンガを読まない人にとって、絵がきれいだと手に取りやすさのハードルの高さが全然違う。しかも「歌劇団」という、知ってるようでよく知らない世界を描いているので、1度手に取るとどんどん面白く読めそうです。
──取材前と撮影時、メイクさんにもオススメしてらっしゃいましたね。
はい(笑)。それから、少女マンガらしい少女マンガに抵抗がある男性にもオススメですね。先ほどとは逆に、絵がきれいでかわいらしいので手に取りにくいかもしれませんが、メチャクチャスポ根なので。もともと前日譚にあたる「かげきしょうじょ!」はジャンプ改で連載していましたしね。「女性だけの劇団か、縁遠いな」と思っている人も、知らない世界を伝えてくれるスポ根マンガとして楽しめるかなと。
──アニメが入り口になって、読者の年代や性別が広がりそうです。
そうですね。「かげきしょうじょ!!」は10代の女の子たちがトップスターを目指すお話ですが、その年代の人たちよりもむしろ、この年代を通り過ぎた大人のほうが響くかもしれません。夢を見ることの大切さを知っているけれど、10代の“夢を見ている時期の儚さ”や、自分だけではどうしようもないことにぶつかることもあると知っている人たちが感情移入できる作品だと思います。