アニメ「犬夜叉」「犬夜叉 完結編」とは

2000年から2004年まで4年間にわたり放送されたアニメ「犬夜叉」と、2009月10月から2クールでオンエアされた「犬夜叉 完結編」。海外でも30カ国以上で放送・配信され、国内外で多くのファンを獲得し好評を得ている。オリジナルストーリーによる劇場版も4作品にわたり展開された。

キャストには犬夜叉役をはじめ、「らんま1/2」の乱馬役や「境界のRINNE」でりんねの父役を演じた山口勝平、「らんま1/2」であかね役を演じた桔梗役の日髙のり子、「うる星やつら」「らんま1/2」で主人公の父役を演じた冥加役の緒方賢一など、高橋留美子作品に欠かせない豪華な面々が集結。またチーフプロデューサーに「名探偵コナン」の諏訪道彦、監督に「焼きたて!!ジャぱん」の青木康直（※1）、シリーズ構成に「新機動戦記ガンダムW」の脚本を担当した隅沢克之、音楽に「D.Gray-man」の和田薫が名を連ねている。

アニメ「犬夜叉」「犬夜叉 完結編」の見どころ

高橋留美子原作による「犬夜叉」全56巻の内容を、アニメ版では全193話に分けて丁寧に描写。アニメ「犬夜叉」では36巻までのエピソードを全167話、アニメ「犬夜叉 完結編」では最終巻までのエピソードを全26話にまとめ上げている。

またアニメ版では原作にはないオリジナルエピソードも多数用意。犬夜叉と殺生丸が対峙する「犬夜叉」第5話から第7話にかけては、「親子」をテーマにアニメ独自のシーンが多く挿入された。犬夜叉の幼少時代や現代に戻ったかごめと母親の会話、殺生丸の父への思いなどがその該当シーンだ。ほかには第29話で犬夜叉が技を練習する場面、第48話でのかごめの両親のプロポーズ秘話などがオリジナルエピソードとして挙げられる。また第26話「ついに明かされた四魂の秘密」の後半では、四魂の玉を生み出したとされる伝説の巫女・翠子のエピソードに新たな要素を加えアレンジ。翠子のキャラクターデザインは、高橋の描き下ろしイラストをもとに作画されている。

原作マンガをじっくりとアニメ化しつつ、オリジナルエピソードも盛り込んで独自の見応えになっていったアニメ「犬夜叉」「犬夜叉 完結編」。2019年11月にNHK・BSプレミアムでオンエアされた番組「全るーみっくアニメ大投票」では、作品部門の投票結果でアニメ「犬夜叉」が1位を獲得。キャラクター部門においても犬夜叉がトップに輝く快挙を成し遂げた。

「すべては御神木から始まった…戦い、願い、探して、そして生まれた強い絆！」。犬夜叉とかごめの、この印象的なナレーションはアニメ「犬夜叉」第154話のオープニングが初登場だ。そこでも、冒険を経て生まれた“強い絆”について言及されるが、キャラクター同士の絆とつながりは本編でそこかしこにちりばめられている。幾多の戦いをともに乗り越えるうち、お互いがかけがえのない存在になっていく犬夜叉とかごめはその筆頭だ。絆が深まるキャラの事例は、女好きの弥勒と妖怪退治の手練れである珊瑚、冷酷な大妖怪・殺生丸とその彼に命を救われる少女・りんにも言える。また珊瑚とその弟・琥珀の姉弟愛についても触れたい。奈落に操られ、父や妖怪退治屋の仲間を殺めてしまう琥珀。深い罪の意識にさいなまれる彼をなんとか救いたいと願い続ける珊瑚の姿には、心を締め付けられた視聴者も多いのではないだろうか。

絆、そしてつながりといえば、人間との間に生まれた半妖の犬夜叉と純血の妖怪・殺生丸の関係も欠かせない。同じ西国の大妖怪を父に持つものの、敵視しあっていた彼らの関係性は「犬夜叉 完結編」の終盤まで描かれ、図らずとも互いの成長が奈落を追いつめる強さへと変換されていく。なぜ2人の父は、百の妖怪をなぎ払う妖刀・鉄砕牙を犬夜叉に、ひと振りで百の命を救う刀・天生牙を殺生丸に受け継がせたのか。その点にも注目したい。

「犬夜叉」の物語の主軸は、奈落の手下や四魂の玉を狙う悪の妖怪たちと戦っていくというもの。しかし、シリアスな展開のなかでも、危機が迫るとまっさきに逃げ出す蚤の妖怪・冥加、ピンクのコミカルな球体に変化する七宝や殺生丸に仕える邪見が邪険に扱われるさまなど、コメディの部分がしっかり登場するのも魅力だ。さらに弥勒と珊瑚の恋路、犬夜叉・かごめ・桔梗の三角関係、殺生丸に思いを寄せる奈落の分身・神楽の存在などラブストーリーとしての側面も。砕け散った四魂のかけらを集めるうちに仲間が増えていき、最終的に“ラスボス”奈落を追い詰めるといったRPG要素が含まれるのも面白い。そういったさまざまな要素がアニメにも存分に盛り込まれ、クライマックスを迎えるアニメ「犬夜叉 完結編」では濃縮された展開を見せていく。

アニメ「犬夜叉」の有名な劇伴「半妖 犬夜叉」を筆頭に、和田薫が手がけたメイン楽曲には邦楽器が取り入れられた。世界観はもとより、子供たちが耳にすることの多いメディアで、もっと日本の音に触れてほしいという和田の思いからだという。

またTVシリーズのオープニングテーマにはV6「CHANGE THE WORLD」、hitomi「I am」、相川七瀬「終わりない夢」、Every Little Thing「Grip!」、タッキー＆翼「One Day,One Dream」などを使用。エンディングテーマには安室奈美恵「Come」、AAA「With you」を用いるなど、当時のavexにおける旬なアーティストの曲が採用され、さらに「『蒼き野生を抱いて』犬夜叉feat.かごめ」や「『風の中へ』弥勒feat.珊瑚＆七宝」、「『業』殺生丸feat.邪見＆りん」といったキャラクターソングも多く登場。殺生丸役を演じた成田剣はキャラソンの聴きどころについて「サビの部分がイイと思います！ 殺生丸は邪見やりんと旅をしていく途中で色んな妖怪を次々と倒していく強いイメージがあるのですが、その中での彼の心の迷いや葛藤・苦しみがすごくサビには出ているので」とコメントしている。このようにキャラソンは、メインキャラの心情に寄り添って作り上げられた。

新たなる犬夜叉ワールド、アニメ「半妖の夜叉姫」

10月3日から読売テレビ・日本テレビ系にて、毎週土曜日17時30分より放送される「半妖の夜叉姫」（※一部地域を除く）。「犬夜叉」のアニメスタッフが集結した同作では、殺生丸と犬夜叉の娘たちを軸に物語が展開する。森の火事に巻き込まれ、離ればなれになってしまった殺生丸の双子の娘・とわとせつな。とわは時空を越えるトンネルをくぐり現代へとタイムスリップし、その後かごめゆかりの日暮家の娘として育てられる。一方せつなは、珊瑚の弟・琥珀の下で妖怪退治を生業として生活。犬夜叉の娘・もろはも賞金稼ぎとして妖怪退治に明け暮れていた。離れてから10年。再び時空を越えるトンネルが開き、せつなと再会するとわだったが……。

キャストはそれぞれ日暮とわ役を松本沙羅、せつな役を小松未可子、もろは役を田所あずさが演じることが決定している。新たに誕生した3人のヒロインの冒険を見届けたい。