「トリリオンゲーム」特集 稲垣理一郎×池上遼一が描く最強すぎる2人の起業物語を、堀井雄二、高橋留美子、樹林伸、堀江貴文、佐久間宣行、川窪慎太郎、小林裕介、沼倉愛美が読む

「アイシールド21」「Dr.STONE」の稲垣理一郎が原作、「男組」「サンクチュアリ」の池上遼一が作画を担当し、ビッグコミックスペリオール(小学館)で連載中の「トリリオンゲーム」。人たらしのコミュ力オバケと、コンピュータの天才の最強タッグが、1兆(トリリオン)ドルを稼ぐべくゼロからの起業に挑む物語だ。

「トリリオンゲーム」の単行本2巻が発売されることを記念し、コミックナタリーでは同作の特集を展開。ゲームデザイナーの堀井雄二、マンガ家の高橋留美子、マンガ原作者の樹林伸、実業家の堀江貴文、テレビプロデューサーの佐久間宣行、講談社のマンガ編集者・川窪慎太郎、声優の小林裕介と沼倉愛美に作品を読んでもらい、感想を寄せてもらった。最後には第1話の試し読みも掲載しているのでお見逃しなく。

作品紹介

「1兆$あれば…この世の品(もの)は、いつでも手に入る!!!」

「ええええ、さすがにそこまでは、いらないかな~??」

中学3年生の春、真面目なガクはカツアゲされているところをハルに救われる。計算高いくせに、悪いことにもブレーキがなく、“どう考えてもヤバい奴”のハル。ガクはこれ以上関わりたくないとその場を速やかに立ち去ろうとするが、ハルが自分を助けてくれたときの暴力沙汰が監視カメラにしっかり映ってしまっていた。得意のパソコン技術で映像データを消去してみせたガクは、ハルにうっかり気に入られてしまう。

やがて大学生となり、就職活動に失敗し続けたガクは、「1兆$を稼いで、全てを手に入れる」と豪語するハルに誘われるがまま、2人で起業することに。しかしハルは何をする会社なのかも決めておらず、相変わらずむちゃくちゃだった。まずはスタートアップ資金を集めるべく、ガクを連れ、投資家たちが見守るハッカー世界大会に挑むという大胆な行動に出るが──

「トリリオンゲーム」
「トリリオンゲーム」を読んだ著名人8人からコメントが到着!

堀井雄二

堀井雄二

じつは、池上遼一さんとの出会いはボクがまだ少年だった頃、池上さんの作品「スパイダーマン」でした。当時としては異色の、悲哀をおびたヒーローに夢中になったものです。話もさることながら、とにかく絵が好きでした。
そして稲垣理一郎さんとは、彼がドラクエ10を熱心にプレイしてくれたとこもあり
何度か「ドラゴンクエストⅩTV」にも出ていただいこともありますが、素晴らしい物語を作る方だと思っていました。
なんと、そんなふたりがタッグを組んで生み出された「トリリオンゲーム」、とても楽しみに読まさせていただいています。
いうなれば現代のお伽話ですが、性格正反対の主人公の二人が、このあとどう昇りつめていくのか、興味津々です。
ぶっちゃけて言ってしまうと、まだ何も始まっていないのに、わくわくが止まりません。これってある意味、すごいことだと思います。
池上遼一さんの絵の魅力と、稲垣理一郎さんの物語の展開のうまさに大拍手です!

プロフィール
1954年1月6日、兵庫県生まれ。早稲田大学第一文学部を卒業後、雑誌や新聞などのフリーライターとして活動。1982年にエニックス(現スクウェア・エニックス)主催の「ゲームプログラミングコンテスト」で入賞したことをきっかけに、ゲームデザイナーへの道を歩み始める。1986年、鳥山明がキャラクターデザインを手がける「ドラゴンクエスト」の1作目を発表。シリーズ3作目の「ドラゴンクエストIII そして伝説へ…」は爆発的なヒットとなり、さまざまな社会現象を生み出した。またシリーズ最新作として「ドラゴンクエストXII 選ばれし運命の炎」の制作も発表され、話題をさらった。そのほかの作品には「ポートピア連続殺人事件」や「いただきストリート」シリーズなどがある。
「トリリオンゲーム」

高橋留美子

高橋留美子

池上先生と稲垣先生、異色のコンビと断言していいと思います。
ハルは池上作品としても違和感のないオス感がありつつ、ガクはすごく今風の、スペックは高いのに自信のない男の子。そしてコマをまたいで心の声で突っこみ続ける。これは池上先生の世界では結構新鮮で楽しいです。
「トリリオンゲーム」はポップな作画でも成立する面白い原作であると思いますが、それが池上先生のリアルな劇画で描かれる事によりすごく印象的な仕上がりになっています。
女の子たちもそれぞれ魅力的で、特に最近出てきた凛々ちゃんは健気で可愛いです。
長年の池上先生ファンの私にとって、とても楽しみな作品がまた生まれました。

プロフィール
1957年10月10日、新潟県生まれ。大学在学中の1978年、週刊少年サンデー(小学館)でデビュー。同年に週刊少年サンデーで連載を開始した「うる星やつら」は、1981年に第26回小学館漫画賞、1987年には第18回星雲賞コミック部門を受賞し、後にTVアニメ化もされた。以降も「めぞん一刻」「らんま1/2」を生み出し、2002年には「犬夜叉」にて第47回小学館漫画賞少年部門を受賞。代表作のほとんどが映像化され、いずれも不動のヒットを記録した。「境界のRINNE」の完結後、2019年より週刊少年サンデーにて「MAO」を連載。10月に第2期の放送を控えるTVアニメ「半妖の夜叉姫」では、メインキャラクターデザインを務めている。
「トリリオンゲーム」

樹林伸

樹林伸

僕が子供の頃から、当時愛読していた「男組」などのヒット作を著され、第一線で活躍されてきた池上遼一先生が、IT起業家コンビの漫画を書かれたと聞いて、興味津々でコメントの依頼を引き受けた。こうみえて僕は14年前に一世を風靡した、ITサスペンス漫画「BLOODY MONDAY」の原作者。「その世界」には一家言あるつもりだ。期待感満々で、送られてきた単行本を繙いた。
一読して仰天した。巧みな原作の力もあるのだろうけれど、漫画力溢れる筆法は池上先生のイメージそのものでありながら、新鮮かつ斬新だった。これは池上先生の21世紀における代表作になると思う。まだ序章だが、好対照の立ち位置の主人公二人が、この先どこに向かっていくのか、早くも続きが楽しみでならない。

プロフィール
1962年7月22日、東京都生まれ。早稲田大学政経学部を卒業後、講談社に入社しマンガ編集者として「シュート!」「GTO」などのストーリー制作に深く関わる。作家として独立後は、多くの筆名で「エリアの騎士」「神の雫」「金田一少年の事件簿」「サイコメトラーEIJI」「BLOODY MONDAY」「Get Backers―奪還屋―」などのマンガ原作を担当。ほかにも小説の執筆や、TVドラマの原作・脚本を手がけるなど、多岐にわたり活動を行っている。
「トリリオンゲーム」

堀江貴文

堀江貴文

派手好きのイケメン起業家がギークの同級生と組んでベンチャー企業を作ってのし上がっていくというお話。起業家の物語は数あれどフィクションでこのスケール感でのお話はなかなかないのでベンチャー起業家にとっては自分のことのようで楽しめるのではないだろうか。こういう話は大抵がちゃんとリサーチしてなくて荒唐無稽なシーンが出てきて興醒めだったりする。
私にとっては宇宙ものの映画とか漫画がそれだ。よくできてた「アポロ13」にしても細かいところで科学考証が入っていないところがあったりする。「ゼロ・グラビティ」とかは酷かった。消火器でハッブル宇宙望遠鏡からISSに移動できるわけがない。少し考えればわかるがそんなことできたら、消火器を使った人は毎回後ろに吹っ飛ぶはずだ。
そういう意味でこの作品は巨大な投資会社に生きる人たちとか、ギークの生態とか、セレブ達の生態とかをわりと正確に取材しているといえよう。確かにすこし演出がかっているところはあるのだけど、そこまで不快ではない。むしろ野太いエネルギーが感じられて読後感が爽快だ。
派手系主人公はチャラ男に見えて実は芯が太く義理堅いというのも良い設定だ。といっても時価総額100兆円を達成した日本企業はかつてない。そんなワクワクするようなストーリーを見せてくれるのだろうか。私もロケットや和牛のベンチャーで世界と戦っていこう。

プロフィール
1972年10月29日、福岡県八女市生まれ。ライブドア元代表取締役CEOで、現在はロケットエンジンの開発を中心に、スマートフォンアプリのプロデュース、有料メールマガジン「堀江貴文のブログでは言えない話」の配信、会員制コミュニケーションサロン「堀江貴文イノベーション大学校」の運営など、幅広く活動している。
「トリリオンゲーム」

佐久間宣行

佐久間宣行

ハッタリとオタク、豪胆と執念の、最強のシンメ。
スピード感と大胆さが回を追うごとに増し、読む手が止まらない。
毎話、格好良すぎて笑っちゃうシーンがある。
今トップクラスに痺れるマンガです。

プロフィール
1975年11月23日、福島県生まれ。1999年4月から2021年3月までテレビ東京に勤務。現在はフリーのテレビプロデューサーとして「ゴッドタン」「あちこちオードリー~春日の店あいてますよ?~」「考えすぎちゃん」を制作。ラジオ番組「佐久間宣行のオールナイトニッポン0(ZERO)」のパーソナリティも務めている。
「トリリオンゲーム」

川窪慎太郎

川窪慎太郎

講談社週刊少年マガジン編集部の川窪です。
小学館さんから直接ご指名いただき、小学館作品を宣伝させていただく講談社の川窪と申します。
僕ら世代の漫画編集者は誰もがいつか「サンクチュアリ」のような漫画を担当したいと夢見ています。僕もそのうちの一人です。
政治家とヤクザが、表と裏が、知恵と力が、正義と悪が手を組み、無二の友が巨大な敵と戦って世界を変えてしまう。
企画良し、キャラクター良し、テーマ良し。ワクワクが止まらない。
いつか自分も、漫画家と一緒にそんな物語を世に出したいと思って過ごしてきました。
ですがその夢は突如、断たれました。
僕の夢を断ったのは「トリリオンゲーム」です。
誤解を恐れず言うならば、僕にとって「トリリオンゲーム」は現代版「サンクチュアリ」です。
ワクワクが止まりません。
10年後、漫画編集者が口を揃えて「トリリオンゲームのような漫画を担当したい」
と言っているに違いありません。
僕の夢を奪った「トリリオンゲーム」。
講談社社員に小学館の宣伝をさせる「トリリオンゲーム」。
それでもこうしてコメントを寄稿させていただいていること自体が、僕からの精一杯の賛辞のつもりです。

プロフィール
2006年、講談社に入社。同年から現在まで、週刊少年マガジン編集部に所属している。担当作品は「戦隊大失格」「テスラノート」「ふらいんぐうぃっち」「ダイロクセンス」「復讐の教科書」。過去の担当作品には「進撃の巨人」「五等分の花嫁」などがある。
「トリリオンゲーム」

小林裕介

小林裕介

とにかく面白すぎます! 型にハマらない斬新な発想力で道を示していくハル。その示した道を、堅実に積み替え上げてきたスキルで切り拓いていくガク。先の展開が未知数でワクワクしますが、これらは決してファンタジーではなく「斬新な発想の人」「スキルがある人」「投資したがってる人」は世界には溢れているんです。キッカケやつながりで自分もこうなれるのではないかと自信や意欲が湧いてくる、もはや人生を楽しむ方法が書かれた教科書といえる作品だと思います。

プロフィール
3月25日生まれ、東京都出身。大学卒業後は大手家電メーカーに就職するも、夢だった声優の道を諦めきれず、25歳のときにゆーりんプロに所属。28歳で初めて出演したアニメ「ウィッチクラフトワークス」にて主役の座を務める。その後も「Dr.STONE」(石神千空役)、「Re:ゼロから始める異世界生活」(ナツキ・スバル役)、「キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦」(イスカ役)と、数々の作品で主役を担当。そのほかの出演作には「ミュークルドリーミー みっくす!」(南川朝陽役)、「魔術師オーフェンはぐれ旅」(マジク・リン役)、「炎炎ノ消防隊」(アーサー・ボイル役)、「暁のヨナ」(スウォン役)などがある。
「トリリオンゲーム」

沼倉愛美

沼倉愛美

稲垣先生が生み出すキャラクターは個性がぶっ飛んでいて、実際にこんな人がいたら楽しいだろうなぁといつも思います。彼らの言うことやることは私なんかには思いつかないことばかりで、でもこの人なら実現させてしまうんじゃないかと信じさせるリアリティを持っている。たとえ口がうまくて調子のいいことばかり言っていても、気が弱くて頼りない印象でも、いつの間にか彼らに信頼を寄せて何をしてくれるのかワクワクして目が離せなくなってしまいます。「トリリオンゲーム」のハルとガクたちもそんな魅力にあふれ、それは池上先生の描く「目」の力も大きいのではと思いました。
物語の冒頭ですでに二人は長者番付に載り成功しています。どのようにしてそこまでたどり着くのか、キリカはそれにどう関わっていくのか、そのさらに先には何があるのか、気になることは数え切れません。
素敵な作品に出合う機会をいただいたことに感謝しつつ、作品ファンの皆さんと一緒に続きを待ちたいと思います。

プロフィール
4月15日生まれ。神奈川県出身。主な出演作に「Dr.STONE」(コハク役)、「THE IDOLM@STER」(我那覇響役)、「だがしかし」 (遠藤サヤ役)、「恋愛ラボ」(倉橋莉子役)、「アイカツ!」(藤堂ユリカ役)などがある。
稲垣理一郎(イナガキリイチロウ)
稲垣理一郎
1976年6月20日、東京都生まれ。週刊ビッグコミックスピリッツ(小学館)および同誌の増刊で読み切りを発表した後、週刊少年ジャンプ(集英社)主催による第7回ストーリーキングのネーム部門に「アイシールド21」を投稿し、同賞史上初となる大賞を受賞する。村田雄介を作画に迎えた同作は、週刊少年ジャンプにて2002年から2009年まで連載され、TVアニメ化やゲーム化などさまざまなメディア展開が行われた。2017年からはBoichi作画による「Dr.STONE」を週刊少年ジャンプで連載し、同作は第64回小学館漫画賞の少年向け部門を受賞。2019年にはTVアニメ化も果たす。2020年11月にはビッグコミックスペリオール(小学館)にて、池上遼一とタッグを組んだ「トリリオンゲーム」をスタートさせた。
池上遼一(イケガミリョウイチ)
池上遼一
1944年5月29日、福井県生まれ。1962年、貸本漫画誌魔像(日の丸文庫)に「魔剣小太刀」が掲載されデビューする。その後、水木しげるのアシスタントとして働いたのち、本格的に活動開始。雁屋哲原作の「男組」、小池一夫原作の「クライングフリーマン」、史村翔(武論尊の別名義)原作の「サンクチュアリ」などを発表し、武論尊原作の「HEAT -灼熱-」は第47回小学館漫画賞を受賞したほか、2004年に実写映画化もされた。2020年11月からはビッグコミックスペリオール(小学館)にて、稲垣理一郎とタッグを組んだ「トリリオンゲーム」を連載している。

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