「鋼の錬金術師」|完結から7年……今もなお愛される「ハガレン」ワールドの魅力に迫る 朴璐美×釘宮理恵がアニメ放送当時を振り返るインタビューも

当時の熱狂ぶりに距離を取っていた部分も(朴)

──イベント中、朴さんと釘宮さんのお話を聞いていて、「鋼の錬金術師」という作品はおふたりの声優人生の中でも大きな存在になっているんだなと思いました。

アニメ「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」より、エド。©荒川弘/鋼の錬金術師製作委員会・MBS

©荒川弘/鋼の錬金術師製作委員会・MBS

 そうですね……いまだにどんな役を演じても「エド」って言われますからね(笑)。

釘宮 そうなの! 私も男の子役をやると「兄さん……!」って(笑)。

 私なんて、女性の役をやっていても言われるからね!

釘宮 あはは!(笑)自分では意識してないんですけどね。でもきっとそれだけ、皆さんの中にエドとアルの印象が強く残っているんでしょうね。

 それくらい切っても切れない何かがあるんだろうなと思いますし、“私の人生の一部”と言っても過言ではないんだろうなあということはすごく感じます。

釘宮 感じざるを得ないくらい、あの当時、社会にもすごい大きな影響を与えていた作品だったと思います。熱狂度合いがすごかったですもんね。

 ホントにね。でもファンの皆さんが盛り上がってくれればくれるほど、そこにあんまり乗っちゃいけないみたいな、ブレーキをかけていた自分もいて。その熱から少し距離を置きたい気持ちもあったんです。

アニメ「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」より、アル。©荒川弘/鋼の錬金術師製作委員会・MBS

©荒川弘/鋼の錬金術師製作委員会・MBS

釘宮 ああ、そうかもしれない。当時は自分も必死だったから、加熱しすぎてどうなっていくかわからない恐ろしさみたいなのは感じていたかも。とにかく「鋼」を取り巻くエネルギーがすごかった記憶があります。

 自らは絶対エドのグッズを持たないとか。がんばって自分で距離を取らないと、もうホントに「鋼」一色になってしまいそうだったから。「私、エドのコスプレまでしちゃったらどうしよう!?」みたいな(笑)。

釘宮 あははは(笑)。

 受け止めてくれる皆さんの熱量がすごかった分、当時はそうやってあえて距離を取ろうと思っていたところはありました。でも時を経て、今日のように皆さんにお会いすると「ああ、やっぱり『鋼』っていいな」と改めて実感しますね。

「鋼の錬金術師」に触れることは、絶対あなたの人生にマイナスにはなりません(朴)

──今回の実写映画化を機に、初めて「鋼の錬金術師」に触れる方も少なくないかと思います。そんな方々に作品の見どころを伝えるとしたら、どんなところをオススメしたいですか?

釘宮 うーん……でも、全部ですよね。そのときどきで、読む方それぞれの心境によって、感じる部分が違うと思うんです。どこかのシーンやキャラクターにすごく感情移入したとしても、時を経てもう一度手に取ったときに違う場面に感情移入できるくらい「鋼」は作品の器が広くて深いと言うか。だから皆さん刺さるところが違うんじゃないのかなって思います。

アニメ「鋼の錬金術師 FULLMETAL ALCHEMIST」第12話「一は全、全は一」より。ファンイベントにて、朴は好きなシーンとして、幼いエドとアルが無人島での修行の中で「一は全、全は一」の答えを導き出す場面を選んだ。©荒川弘/鋼の錬金術師製作委員会・MBS

©荒川弘/鋼の錬金術師製作委員会・MBS

 これだけは間違いなく言えることなんですけども、「鋼の錬金術師」に触れることは、絶対あなたの人生にマイナスにはなりません。理恵ちゃんが言った通り、この作品のいいところってすべてだと思うんです。それぞれが今抱えているものにつながる何かが乗っかっていて、何かしらの答えや思いに導いてくれる、そういう作品なんじゃないかなって。荒川先生がすごく大きなスケールで描いてらっしゃる作品なので、皆さんそれぞれに感じられるものがあるんじゃないかなと思います。

──ありがとうございます。本日のイベントでは実写映画の新しい予告映像が公開されました。こちらについてもご感想を伺えればと思います。

釘宮 もう、ホントに素晴らしい映像で! ここまで仕上げるのにどれだけの労力を使って、愛情を持って向き合ってくださったんだろうと。1つひとつこだわりを持っているのも伝わってきましたし、原作やアニメへのリスペクトもすごく感じてうれしかったです。今は早く最初から最後まで観たいなっていうワクワクした気持ちでいっぱいです。

 今日一番感じたのは、役者さんたちから曽利監督への信頼感がハンパないなと。曽利さんも曽利さんでこの作品の父親のような存在で、前のめりで作ったんだろうなというのを感じたので、そんな皆さんが作り上げた作品なんですから、絶対に素晴らしいに違いないと思います。キャラクタービジュアルも公開されましたけど、エドを演じていたからか、私は悪役がどうしても気になっちゃって。

釘宮 あれはホントに素敵でしたよ……!

 ね! どんなふうに動いていくかすごく楽しみです。曽利さんと言ったらやっぱりCGなので、そこも楽しみでしょうがない。あとはイベント中にお話したんですけど、映画の衣装を西原梨恵ちゃんという私の親友がやっているんですよ。彼女はすごくこだわる人だから、エドのマントとか、全部革とかで作ってるんだって!

釘宮 わー……!! すごーい……!

 あと、彼女は汚しのプロなんです。だからそういう、衣装の1つひとつも細かく観ていただきたいなって思います。ちょっと気が早い話ですけど、「パート2」までいけるぐらい盛り上がったらいいですよね。公開までは少し時間があるので、原作とアニメを振り返っていただくのもいいですし、もちろん映画を観てから原作などを振り返っていただくのもうれしいです!

左から釘宮理恵、朴璐美。

左から釘宮理恵、朴璐美。

「鋼の錬金術師」
2017年12月1日(金)全国公開
あらすじ

幼い頃に最愛の母親を亡くした兄エドと弟アル。彼らは母親を生き返らせるため、錬金術における最大の禁忌(タブー)・人体錬成に挑んだ。しかし錬成は失敗に終わり、エドは左脚を、アルは身体のすべてを代価として失ってしまう。瀕死のエドはとっさに再錬成を行い、自分の右腕と引き換えにアルの魂を鎧に定着させることに成功した。それから数年後、鋼鉄の義肢を装着し国家錬金術師となったエドは、奪われたすべてを取り戻すためにアルと旅を続けている。

スタッフ
  • 監督:曽利文彦
  • 原作:荒川弘「鋼の錬金術師」(「ガンガンコミックス」スクウェア・エニックス刊)
キャスト
  • エド:山田涼介
  • ウィンリィ:本田翼
  • マスタング:ディーン・フジオカ
  • ホークアイ:蓮佛美沙子
  • エンヴィー:本郷奏多
  • マルコー:國村隼
  • コーネロ:石丸謙二郎
  • グレイシア・ヒューズ:原田夏希
  • グラトニー:内山信二
  • ロス:夏菜
  • タッカー:大泉洋(特別出演)
  • マース・ヒューズ:佐藤隆太
  • ハクロ:小日向文世
  • ラスト:松雪泰子
荒川弘「鋼の錬金術師①」
発売中 / スクウェア・エニックス
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朴璐美(パクロミ)
東京都出身、1月22日生まれ。声優、女優として活動。主なアニメの出演作に、「∀ガンダム」(ロラン・セアック役)、「NANA」(大崎ナナ役)、「進撃の巨人」(ハンジ・ゾエ役)など。
釘宮理恵(クギミヤリエ)
大阪府出身、5月30日生まれ。声優。主なアニメの出演作に「銀魂」(神楽役)、「灼眼のシャナ 」(シャナ役)、「時間の支配者」(ミーナ・プーチン役)など。

2017年12月8日更新