「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅡ」特集 松岡禎丞×水瀬いのり×赤﨑千夏×原作者・大森藤ノ座談会|ダンジョンに出会いを求めるのは……正解

7月から放送中のTVアニメ「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅡ」。2015年に放送された第1期から約4年ぶりの続編として、現在第4話までが放送されている。先の放送では、主人公のベル・クラネルが所属するヘスティア・ファミリアと、ベルに執着する男神アポロンが率いるアポロン・ファミリアによる「戦争遊戯(ウォーゲーム)」に終止符が打たれた。

コミックナタリーの「ダンまちⅡ」特集では、新展開へと突入していく第5話の放送直前にキャストと原作者による座談会を公開。ベル・クラネル役の松岡禎丞、女神ヘスティア役の水瀬いのり、新たにヘスティア・ファミリアの団員となったヤマト・命役の赤﨑千夏、そして、「ダンまち」の世界を生み出した原作者の大森藤ノの4人に、熱いエピソードが満載だった「戦争遊戯編」の思い出と、注目の新ヒロイン・春姫も登場する「歓楽街編」の見どころを語ってもらった。

取材・文 / 丸本大輔

※本文には第4話までの内容にかかわるネタバレあり

ベルの成長物語が映像として観られることは、いつだってうれしい(大森)

──TVアニメ「ダンまち」の第2期が始まり、第4話まで放送されました。今の率直なお気持ちを教えてください。

大森藤ノ 正直、自分は「あれ、まだ2期!?」という気持ちでした。1期の後も、外伝の「ソード・オラトリア」や、劇場版の「オリオンの矢」などもあったので、3期、4期くらいまでやっているような気分です。でも、ベルの成長物語が映像として観られることは、いつだってうれしいですね。

「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかⅡ」より。

松岡禎丞 確かに、4年という月日は経っているんですけれど、その間もゲームの収録が途切れなかったので、久々という感覚がまったくなくて。ただ、ゲームの収録ではみんなと掛け合えないので、劇場版で久々にみんなとアフレコブースで演技をできることになったときは少し不安も感じたんです。でも実際にスタジオに集まったら全然大丈夫だったので、2期についてはまったく不安がなくて。実際1話から、いつも通りでした。

水瀬いのり ヘスティアも、アプリやいろいろなコラボなどの音声収録が止まることなく続いていて。しかも、大森先生の書いてくださる原作でも、ベルとヘスティアの成長の物語はまだまだ広がっている。そういう意味でも、ヘスティアというキャラクターのゴールがまだ見えていないことをすごく幸せだと思っています。この2期も、これからもさらにたくさんの時間を一緒に過ごしていける中の通過点の1つのような気持ちで、毎週楽しくアフレコをやらせていただいています。

赤﨑千夏 1期の収録をやっていたときから、もし2期があったら、命はものすごく活躍するという噂は聞いてはいたので、「ついにやってきた!」という感じでした。でもまさか、キービジュアルに命が載るとは思っていなくて(笑)。

──第1弾キービジュアルには、ウォーゲームに参加した新生ヘスティア・ファミリアのメンバーと、助っ人のリューが描かれていました。

赤﨑 初めて見たとき、命の凛々しい姿にとても気持ちが高まりました。実際、収録が進むと思った以上に活躍していて。すごく楽しみながら収録に臨んでいます。今も収録の後なんですけれど、かなり叫んで汗がすごいです!

大森 第5話からは原作の7巻の話、「歓楽街編」と呼んでいる話が始まるのですが、正直、命が主人公のつもりで書いている部分もありました。

赤﨑 命、ヒロインじゃなくてね、ヒーローですよね!

水瀬 私、完全に温泉おバカキャラだと思ってた(笑)。

2016年に発売されたOVAでは、命の温泉への愛が遺憾なく発揮されている。

赤﨑 ちょっと!(笑) でも、OVA(「ダンジョンに温泉を求めるのは間違っているだろうか」)のときは、私もびっくりしました。1期では真面目一辺倒のキャラという印象だったので、あそこまでやっていいキャラとは思っていなくて。

大森 自分も思っていなかったです(笑)。

赤﨑 そうだったんですね(笑)。

──第1期放送後に発売されたOVAでは、命の温泉への愛情がかなりユーモラスに描かれていました。

大森 原作だと、命が温泉好きという設定を出したのは7巻の冒頭なんですけれど。それを読んだ脚本家(白根秀樹)さんが、オリジナルストーリーのOVAでそれを先に膨らませてくださって。自分は、OVAでの赤﨑さんのお芝居を観て、命というキャラクターをすごくいい意味で乗っ取ってくれたなって感じていて。コントロールから外れて、さらに魅力的なキャラになりました。

あのシーンは、完全に「ベルくんを落とす!」って気持ちでした(水瀬)

──第1話から第4話の「戦争遊戯編」は、皆さんの演じるキャラクターにとって、どのような意味を持った物語だったと思いますか?

松岡 ウォーゲームだとファミリア対ファミリアの戦いになるので、ファミリアのデカさによる数の暴力みたいなところもあって。団員がベルしかいないヘスティア・ファミリアは圧倒的に不利なんですよね。しかも、ベル自身も1話で(レベル3の)ヒュアキントスにボコボコにされて、レベルの差を痛感している。でも、今まで培ってきた絆や人脈があるからこそ、ほかのファミリアに助けてもらえたり、アイズとまた特訓ができたりした。それって、本人は自覚がないかもしれないですけど、ベルが周りから慕われているからこそだと思ったんです。今までベルがやってきたことは無駄じゃなかったんだ、ということをすごく感じました。

水瀬 ヘスティアはウォーゲームがどんなものかを理解しているので、自分のファミリアがどれだけ不利な状況にあるか、ベルくんたち以上にわかっていたと思うんですね。それなのに、ベルくんたちを信じて待つことしかできない。それはすごく苦しいし、もどかしさもありました。でも私たちのファミリアは、たとえ同じ場所や隣にいなくても、お互いを思い合う力がすごくって。その力でウォーゲームを乗り越えられた。もちろん、スキルとか肉体的な強さや成長もすごかったですが、それ以上にみんなの心の強さ、精神面での成長を感じました。

大森 「戦争遊戯編」でのヘスティアは、リリの救出のときとか特にそうなのですが、みんなをすごく主導していて。リーダーシップも発揮していましたよね。実は原作では、そういう姿をあまり描写しきれていなかったのですが、アニメのスタッフの皆さんが原作のセリフからニュアンスを丁寧に汲み取って、ああいう形で描いてくださったんです。あのヘスティアの姿が観られてすごくうれしかったです。

──ウォーゲームを「受けて立ってやろうじゃないか!」と、アポロンに啖呵を切る場面などでは、ヘスティアの強さも感じました。

水瀬 とにかくアポロンが気持ち悪くて、「絶対にベルくんを渡すものか!」って(笑)。

アポロンファミリアの主神・アポロン。「戦争遊戯編」ではベルに異常な愛情を見せた。

大森 アポロン役の逢坂(良太)さんのお芝居も予想を飛び越えていて。原作では「戦争遊戯編」の後は、あと1回くらいしか出番はない予定だったんですけど、絶対に、この後も何回も出したいキャラクターになりました。

──逢坂さん、ご本人はすごく爽やかな方ですし、これまで演じてきたキャラからも、まったく想像できないお芝居でした。

大森 自分もすごくびっくりしました。主人公とかカッコいいキャラクターの印象が強かったので。松岡さんは、逢坂さんと現場で何かお話ししたりしましたか?

松岡 良太も「こういう役、全然やらないんだけど。やってると楽しいよ」みたいなことは言ってましたね。

大森 やっぱり!

松岡 「どんどんやっていきたい」って感じでした。

赤﨑 これから、ねっちりした役が増えるかもしれない(笑)。

水瀬 「ダンまち」で新たな扉を開いちゃったんだ……。

大森 あと、ヘスティアのシーンで言えば、2話でベルに「ボクのことは好きかい?」と聞くところがすごくよかったです。

水瀬 ありがとうございます!

大森 声優の皆さんの演技を観て、いろいろな刺激を受けるようになったのは8巻からで、7巻を書いた時点ではまだ皆さんの演技を観てなかったんです。だから、6巻のあのシーンは、原作だとまだ水瀬さん要素がまったくないヘスティア。どうやって演技してくれるのかワクワクしていたのですが、最高でした! その後、ベルが的外れなことを言って、「そういうことじゃない!」ってツッコむところも含めて(笑)。

松岡 あはは(笑)。

水瀬 あのシーンは、完全に「ベルくんを落とす!」って気持ちでした(笑)。ここ一番のヘスティアの乙女らしさみたいなものも出せたのかなと思います。

TVアニメ「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか II」
放送情報

TOKYO MX:毎週金曜日24:30~

サンテレビ:毎週金曜日24:30~

KBS京都:毎週金曜日24:30~

BS11:毎週金曜日24:30~

AT-X:毎週金曜日24:30~

U-NEXT、アニメ放題ほか各種配信サービスにて配信中

スタッフ

原作:大森藤ノ(GA文庫/SBクリエイティブ刊)

キャラクター原案:ヤスダスズヒト

監督:橘秀樹

シリーズ構成:白根秀樹

キャラクターデザイン:木本茂樹

音響監督:明田川仁

音楽:井内啓二

オープニングテーマ:井口裕香「HELLO to DREAM」

エンディングテーマ:sora tob sakana「ささやかな祝祭」

プロデュース:EGG FIRM/SBクリエイティブ

アニメーション制作:J.C.STAFF

キャスト

ベル・クラネル:松岡禎丞

ヘスティア:水瀬いのり

リリルカ・アーデ:内田真礼

ヴェルフ・クロッゾ:細谷佳正

ヤマト・命:赤﨑千夏

リュー・リオン:早見沙織

アイズ・ヴァレンシュタイン:大西沙織

アイシャ・ベルカ:渡辺明乃

サンジョウノ・春姫:千菅春香

ダフネ・ラウロス:小若和郁那

カサンドラ・イリオン:真野あゆみ

ヒュアキントス・クリオ:KENN

アポロン:逢坂良太

「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかII Vol.1」
2019年9月25日発売 / ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかII Vol.1」初回仕様版Blu-ray+CD

初回仕様版 [Blu-ray+CD]
税込8640円 / 10007-48231

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税込7560円 / 10007-48236

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収録話数

第1話、第2話、第3話

初回仕様版特典
  • キャラクターデザイン木本茂樹描き下ろしイラスト使用特殊ケース(デジパック仕様+三方背クリアケース)
  • 原作・大森藤ノ描き下ろし小説
  • 特製ブックレット(12P予定)
  • 特典CD(オリジナルオーディオドラマ Vol.1)
音声特典
  • オーディオコメンタリー
映像特典
  • ノンテロップOP&ED、WEB予告
大森藤ノ(オオモリフジノ)
第4回GA文庫大賞にて大賞を受賞。2013年1月、受賞作「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」が書籍化しデビュー。同シリーズは本編15巻、2017年にTVアニメ化された外伝小説「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外伝 ソード・オラトリア」12巻、新たな外伝小説「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ファミリアクロニクル」1巻を刊行。2月には初の映画作品となる「劇場版 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか -オリオンの矢-」が制作された。
松岡禎丞(マツオカヨシツグ)
北海道出身。9月17日生まれ。アイムエンタープライズ所属。主な出演作に「ソードアート・オンライン」(キリト役)、「冴えない彼女の育てかた」(安芸倫也役)、「ノーゲーム・ノーライフ」(空役)、「五等分の花嫁」(上杉風太郎役)、「鬼滅の刃」(嘴平伊之助)など。
水瀬いのり(ミナセイノリ)
12月2日生まれ。アクセルワン所属。声優・歌手として活躍し、主な出演作に「宇宙よりも遠い場所」(玉木マリ役)、「Re:ゼロから始める異世界生活」(レム役)、「ご注文はうさぎですか?」(チノ役)、「五等分の花嫁」(中野五月役)、「彼方のアストラ」(アリエス・スプリング役)など。
赤﨑千夏(アカサキチナツ)
鹿児島県出身。8月10日生まれ。81プロデュース所属。主な出演作に「WIXOSS」シリーズ(蒼井晶役)、「食戟のソーマ」(薙切アリス)、「中二病でも恋がしたい!」(丹生谷森夏)、「キルミーベイベー」(折部やすな)、「女子高生の無駄づかい」(田中望役)など。