リリの加入をどう描くかは一番難しかった(大森)
──第4話までのお気に入りのシーンやセリフを教えてください。
大森 最初のほうでも話しましたが、逢坂さんのおかげでアポロンがすごいキャラになったなと。原作を超えられた、また絶対に出そう、と思うくらい登場シーンやセリフのインパクトがありました。あとは、アポロン・ファミリアのダフネ(・ラウロス)と、カサンドラ(・イリオン)の関係性が好きなのですが、小若(和郁那)さんと、真野(あゆみ)さんの演技もすごくよかったので、さらに好きになっちゃいました。
水瀬 私もいっぱいあるんですけれど……。さっきのリューさんのシーンもめちゃめちゃ好きですし、ベルくんとかヴェルフたち男の子がカッコいいシーンにもすごく痺れました。でも今回、リリもカッコいいシーンが多くて、命を張ってでもベルくんたちと一緒にいたいという思いを貫く強さとか。あとは、リリに対してヘスティアが「僕たちを、ベルくんを助けてくれ」と懇願するシーンは、(神様の)ヘスティアもすごく成長しているんだなと思えたシーンでした。ベルくんのために何が必要なのかをきちんと見抜いていて、それをリリに正直に伝えている。神様なんだけれど、ちゃんと目線をリリたちに合わせて話しているところが、すごくカッコいいなって。しかも、神様としての威厳も失われていなかったので、人ではないけれど神でもないというか……。「ヘスティア」という存在として輝いた瞬間だと思っていて、すごくお気に入りです。
大森 リリの加入をどう描くかは一番難しかったんです。すごいしがらみがあったので、ちゃんとけじめをつけなきゃいけないと思って。どう表現しようか考えたとき、ベルが「リリだから助けたかったんだ」と言った原作の2巻、アニメだと1期の6話のシーンを思い返したんです。あのシーンを何度も読み返しながら、「じゃあ、今度は……」という感じで書きました。だから、過去の自分に助けられたみたいなところがあります。あと、先ほど水瀬さんが、ヘスティアが神らしからぬ成長をしたとおっしゃっていましたが、自分はソーマも成長した気がしていて。神様は不変的な存在だから成長しないという設定が原作にあったんですけれど、ヘスティアとソーマも、ベルやリリの影響を受けて成長するところを見ることができました。松岡さんはどこが印象的でしたか?
松岡 ソーマのシーンで、台本の修正ではカットになっていたのに、現場で“イキ”(変更を取りやめること)になったセリフがあるんですよ。
大森 あっ、ヘスティアとの会話のところですよね。
水瀬 ありましたね。
松岡 ヘスティアの「あの子が変わった意味をもう一度考えろ」というセリフなんですけど。僕、まず台本を先に全部読んでから、その後、修正点をチェックするので、「え! このセリフをカットしちゃうの? めっちゃ大事な言葉じゃん!」と思ったんです。でも、現場でイキになってうれしかったですね。
大森 これは自分がちょっとわがままを言って戻してもらったんです。3話は尺がパンパンだったのですが、音響監督の(明田川)仁さんに「なんとかイキで」と頼んだら、何とか入れられるように、皆さんがすごく考えてくださいました。
──赤﨑さんは、印象的なシーンやセリフはありますか?
赤﨑 今までのお話に出た以外だと、温泉の……って、ああ、あれは5話でしたっけ?
大森 温泉は5話ですね。
──では、あまりネタバレにならない範囲で、そのシーンの見どころを教えてください。
赤﨑 温泉シーンで、キャッキャウフフなやり取りがあるんですよ。男湯で(笑)。「いったい何が行われているんだ?」と思うような男同士のやり取りは面白かったので、楽しみにしていてください!
水瀬 男湯と女湯のギャップがすごいんですよね。
赤﨑 そうそう! 普通、逆じゃないかなって思うんですけど(笑)。
ベルは肉体的にだけではなく、精神的にもどんどん成長していく(松岡)
──第6話から始まる「歓楽街編」では、新たなヒロイン・春姫も登場します。千菅春香さんが演じる春姫の魅力や、「歓楽街編」の見どころを大森先生から教えていただけますか。
大森 春姫はお気に入りのキャラですが、書いてるときは声までは想像できていなかったんです。でも、2年前にゲーム「クロス・イストリア」で初めて春姫の声を収録するとき、立ち会わせてもらって。千菅さんの春姫の演技を聴いた瞬間、自分の中で春姫というキャラクターがさらにしっかりと形になりました。千菅さんの春姫をアニメでも観られるのが本当に楽しみだったんです。歓楽街編は、舞台としては「ダンまち」らしくないかもしれないですが、物語としてはライトノベルの王道だと思っていて。可哀想な女の子を主人公が助けようと頑張る話になっています。新しいヒロインの魅力はもちろん、ベルの葛藤と成長もぜひ観てほしいです。あと、最初にも言いましたが、この話のもう1人の主人公は命なので、命の活躍も観てほしいですね。7話くらいからは、セリフの量もすごいです(笑)。
松岡 命の演技、本当にすごいんですよ!
大森 今日の収録を観た後だから、なおさらですよね。
松岡 鳥肌、立ちましたもん。
水瀬 うんうん、本当にすごかった。
赤﨑 ちょっと、意識が飛ぶかと思いました(笑)。
──では、最後に「ダンまち」ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
赤﨑 「戦争遊戯編」が終わり、「歓楽街編」が始まります。春姫という新しいキャラクターが出てくるのですが、この子と命は何やら関係がありそうだぞ、ということで、命がすごくがんばります。あと、今回はベルと一緒にがんばるシーンがすごく多くて。命を演じていると、「ベルって、なんでこんなにも人のために動けるんだろう?」と思えるシーンがものすごく多いんですよね。そういうベルだからこそ、大好きな人がたくさんいると思うのですが、「歓楽街編」でもたくさんベルの活躍を観られます! それに加えて、命の心情の変化や、春姫との関係についてもすごく盛り上がる形で描かれていますので、ぜひご期待ください!
水瀬 「歓楽街編」で敵対する相手として出てくるイシュタル・ファミリアは、女の園みたいなファミリアなのですが、1人ひとりが本当に色濃いキャラクターだし、すごい大勢力なんです。それでも、今の私たちなら勝てるんじゃないかなって思える強さを、ウォーゲームを通して得ているので、すごく手に汗握る展開なんですけれど、きっと大丈夫と思えるくらい頼もしい背中を見せてくれるシーンがすごく続きます。あとは、春姫という新しいキャラクターの心をベルくんたちがどういう形で暖かく照らしていくのか。そこもぜひ注目していただきたいです。
松岡 「歓楽街編」ということで、皆さん若干内容を察しているかもしれないのですが(笑)。ヘスティア・ファミリアは、またいろいろなことに巻き込まれていくことになります。その中でベルは、ヘスティア・ファミリアのためなのか、それとも自分のためなのかという、心の葛藤のようなものを抱えることになって。普通に考えたら、14歳にしたら重すぎる葛藤なんですけど……。それによって、ベルは肉体的にだけではなく、精神的にもどんどん成長していきます。そこに、春姫という新たなキャラクターがどういう風に関わってくるのか。そこをぜひ観ていただきたいですね。あとは、「これは人か?」というキャラクターも出てくるので、それも注目してください。びっくりすると思いますよ(笑)。
大森 松岡さん、水瀬さん、赤﨑さんをはじめとしたキャストさんやスタッフさんのおかげで、1期にも負けない内容だと個人的にも思っているので、ぜひ今後も観ていただけるとうれしいです。あと、「歓楽街編」では、やっぱり春姫にも注目してほしいですね。千菅さんの演じる春姫は儚い感じがすごく魅力的なのですが、それだけではないシーンもあって。ベルと同じように、葛藤を超えて成長していくキャラクターなので、その成長の瞬間を観てほしいなと思っています。
──ベルと接したキャラクターは、みんな成長していく気がします。
大森 確かに! リリもそうでしたよね。
松岡 やっぱり、「間違って」ないんですよ。
──間違っていない? あ、タイトルのことですね(笑)。
大森 いろいろな方にずっと「間違っているよ」って、ツッコまれていますからね(笑)。
赤﨑 ダンジョンに出会いを求めるのは正解!
水瀬 なんか、急に語呂が悪くなった(笑)。
松岡 一気に軽くなったよね。出会い厨みたいな(笑)。
大森 そういえば、英語のタイトルでは「Girls」となっていて、女の子との出会いに限定されているみたいに見えるんですよね……。
──英語タイトルは、「Is It Wrong to Try to Pick Up Girls in a Dungeon?」ですね。
大森 女の子だけではなくて、いろいろな人と出会ってるんですけどね。なんなら、最初はミノタウロスと出会ってるのに!(笑)
- TVアニメ「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか II」
- 放送情報
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TOKYO MX:毎週金曜日24:30~
サンテレビ:毎週金曜日24:30~
KBS京都:毎週金曜日24:30~
BS11:毎週金曜日24:30~
AT-X:毎週金曜日24:30~
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U-NEXT、アニメ放題ほか各種配信サービスにて配信中
- スタッフ
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原作:大森藤ノ(GA文庫/SBクリエイティブ刊)
キャラクター原案:ヤスダスズヒト
監督:橘秀樹
シリーズ構成:白根秀樹
キャラクターデザイン:木本茂樹
音響監督:明田川仁
音楽:井内啓二
オープニングテーマ:井口裕香「HELLO to DREAM」
エンディングテーマ:sora tob sakana「ささやかな祝祭」
プロデュース:EGG FIRM/SBクリエイティブ
アニメーション制作:J.C.STAFF
- キャスト
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ベル・クラネル:松岡禎丞
ヘスティア:水瀬いのり
リリルカ・アーデ:内田真礼
ヴェルフ・クロッゾ:細谷佳正
ヤマト・命:赤﨑千夏
リュー・リオン:早見沙織
アイズ・ヴァレンシュタイン:大西沙織
アイシャ・ベルカ:渡辺明乃
サンジョウノ・春姫:千菅春香
ダフネ・ラウロス:小若和郁那
カサンドラ・イリオン:真野あゆみ
ヒュアキントス・クリオ:KENN
アポロン:逢坂良太
©大森藤ノ・SB クリエイティブ/ダンまち2 製作委員会
- 「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうかII Vol.1」
- 2019年9月25日発売 / ワーナー・ブラザース・ホームエンターテイメント
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初回仕様版 [Blu-ray+CD]
税込8640円 / 10007-48231 -
初回仕様版 [DVD+CD]
税込7560円 / 10007-48236
- 収録話数
第1話、第2話、第3話
- 初回仕様版特典
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- キャラクターデザイン木本茂樹描き下ろしイラスト使用特殊ケース(デジパック仕様+三方背クリアケース)
- 原作・大森藤ノ描き下ろし小説
- 特製ブックレット(12P予定)
- 特典CD(オリジナルオーディオドラマ Vol.1)
- 音声特典
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- オーディオコメンタリー
- 映像特典
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- ノンテロップOP&ED、WEB予告
- 大森藤ノ(オオモリフジノ)
- 第4回GA文庫大賞にて大賞を受賞。2013年1月、受賞作「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」が書籍化しデビュー。同シリーズは本編15巻、2017年にTVアニメ化された外伝小説「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか 外伝 ソード・オラトリア」12巻、新たな外伝小説「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか ファミリアクロニクル」1巻を刊行。2月には初の映画作品となる「劇場版 ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか -オリオンの矢-」が制作された。
- 松岡禎丞(マツオカヨシツグ)
- 北海道出身。9月17日生まれ。アイムエンタープライズ所属。主な出演作に「ソードアート・オンライン」(キリト役)、「冴えない彼女の育てかた」(安芸倫也役)、「ノーゲーム・ノーライフ」(空役)、「五等分の花嫁」(上杉風太郎役)、「鬼滅の刃」(嘴平伊之助)など。
- 水瀬いのり(ミナセイノリ)
- 12月2日生まれ。アクセルワン所属。声優・歌手として活躍し、主な出演作に「宇宙よりも遠い場所」(玉木マリ役)、「Re:ゼロから始める異世界生活」(レム役)、「ご注文はうさぎですか?」(チノ役)、「五等分の花嫁」(中野五月役)、「彼方のアストラ」(アリエス・スプリング役)など。
- 赤﨑千夏(アカサキチナツ)
- 鹿児島県出身。8月10日生まれ。81プロデュース所属。主な出演作に「WIXOSS」シリーズ(蒼井晶役)、「食戟のソーマ」(薙切アリス)、「中二病でも恋がしたい!」(丹生谷森夏)、「キルミーベイベー」(折部やすな)、「女子高生の無駄づかい」(田中望役)など。