「BURN THE WITCH」田野アサミ(ニニー・スパンコール役)×山田唯菜(新橋のえる役)×土屋神葉(バルゴ・パークス役)|演者・スタッフが“必ず伝わる”と信じて放つ熱量

「きっさき」を「鋒」と書く言葉選び

──今、田野さんのお話にも出ましたが、個人的にも久保先生の作品はネーミングセンスや会話劇の妙が魅力のひとつなのかなと思っています。「BURN THE WITCH」の中で、ネーミングやキャラ同士の掛け合いで気に入ったものを挙げてもらうとすればどれでしょう?

笛吹き隊の主任で、ニニーとのえるの上司。2人からはチーフと呼ばれている。

田野 私は平田(広明)さん演じるチーフと絡むことが多かったんですけど、チーフとのやり取りでニニーがムカついて、わざと書類の山を肘で崩すときの「当たっちゃった~?」っていうのはニニーっぽくて好きですね。

土屋 僕はどこだろう……?

田野 私、バルゴなら「かわいいだけで家が建つねーッ♡」とか好きだよ。

土屋 ああ、確かに!

──オスシちゃんをあやすバルゴのセリフですね。

土屋 今までにはなかったような絶妙なチョイスの言葉ですよね。僕はそこです!

ブルーノの戦闘シーン。

山田 私はさっきもちょっと出ましたが、「ダセぇメッシュですね」が好きです。なんと言っていいかわからないんですけど、THE久保先生というか。

──その後にブルーノが怒るところも含めて、久保先生節を感じさせますよね。

山田 そうなんです。あとはやっぱり魔法の詠唱。「指の先 声の鋒(きっさき) リベンジャー・ジョーの鉄の鍵……」って続いていくところで、「きっさき」という言葉が、「切っ先」じゃなくて、別の「鋒」を使うんだっていうのがいいなって思います。

アフレコには多くのスタッフがリモートで参加

「BURN THE WITCH」PVより。

──コミックナタリーでは今回の座談会が公開された翌週に、もう1本特集を掲載予定です。そちらには川野達朗監督、清水勇司副監督、キャラクターデザインの山田奈月さんにご出演いただくのですが、このタイミングでこのお三方に聞いてみたいことはありますか?

田野 ちょうど取材前にオーディオコメンタリーを収録していて映像を観返していたんですけど、みんな気になっているところがあって……。

山田 のえるがカフェラテを飲んでいるときに、胸の上にカフェラテ置いたままスマホをいじっているシーン(笑)。

田野 川野監督は「あれは副監督の清水さんのこだわりなので」と言っていたので、そういう遊び心のシーンがほかにもあったら教えてほしいですね。

──ありがとうございます。この特集の公開当日にイベント上映スタート、そして世界同時配信も始まるということで、最後にこれからアニメを視聴する方々にメッセージをいただけますか。

土屋 僕はもしよければ劇場で観ていただきたいなって思っていて。こういうご時世なのでなかなか難しくもあるとは思うんですが、大きなスクリーンといい音がある環境で観ることで緊迫感というか作品の熱もダイレクトに伝わると感じています。

──先ほど好きなシーンとして挙げていただいたエリーの覚醒シーンも迫力が増しますよね。

「BURN THE WITCH」PVより。

土屋 そうですね。「実際ドラゴンがいたとしたらこれくらいなんじゃないか」というのが、スクリーンだとわかるのではないかと。一度足を踏み入れたら、何度も味わいたくなる世界観の作品だと思っているので、原作を読んでから観てもらってもいいですし、この特集を読んで興味を持っていただいたうえでアニメを観て、その後に原作を読んでもらってより理解を深めるという形もいいと思います。期待は裏切らないと思うので、ぜひ観ていただきたいですね。

山田 アフレコ中も制作陣みんなの愛がすごく詰まってる作品だなっていうのを感じていて。いろんなところにこだわりがちりばめられているので、私も何回も観てほしいなって思います。

田野 アフレコの話で言うと、こういう時期なので本来であればみんなで一緒に録れないことが多いと思うんです。だけど今回は極力同じ空気を感じて、同じ気持ちで作品に向かいたいということで、スタッフさんがいろんな手法を駆使して、最小限の人数ではありますけど、なるべく一緒に録れる環境を用意してくれて。スタッフさんたちも現場にいる人は限られているんですけど、リモートでびっくりするぐらいの数の人がアフレコに参加してくれました。

「BURN THE WITCH」PVより、リバース・ロンドンの風景。

山田 ほんとにたくさんいましたよね。

田野 PCの画面が顔で埋まるくらい(笑)。そういうみんなの熱量は必ず伝わると思っていますし、私たちも「『BURN THE WITCH』を観る方が没頭できる世界が作品内に広がってればいいな」って思いながらアフレコをしました。この作品はイギリスの(リバース)ロンドンが舞台ですが、スタッフさんたちが実際にロケハンもして、イギリスの素敵な部分を「BURN THE WITCH」で描いています。イギリスに行った気分にもなれると思うので、そういう面からも楽しんでほしいです。

※記事初出時、キャラクター名に間違いがありました。お詫びして訂正いたします。


2020年11月13日更新