コミックナタリー PowerPush - 咲坂伊緒「アオハライド」
大人も共感する“生っぽい”少女マンガ
青臭いセリフはここぞというシーンで
──10巻まで連載されてきましたが、一番思い入れのあるエピソードはどれでしょうか。
4巻の洸のエピソードは、やっぱりどうしても思い入れがありますね。最初は双葉も自分を偽ってサバサバした女子をやっていたけど、その仮面を剥がしたのが、ヒーローである洸。なんだけど、私がこの物語でヒロインでもあるけどヒーローでもあってほしかったのが双葉なんです。双葉は助けてもらってるだけのヒロインじゃなくて、その相手役を助けられるヒーローとしても描きたいと思っていました。
──ただ守られるだけの女の子じゃない、と。「アオハライド」は少女マンガらしいセリフ回しも重要なポイントだと思いますが、意識していることはありますか?
全部を青臭いセリフにすると、重要なときに際立たないので、ほとんどしゃべり言葉にしているんですけど、ちょっと印象に残ってほしいと思うところは、わざとクサい感じのセリフにしています。恥ずかしいからといって、ゆるいしゃべり言葉で重要なセリフを言っちゃうと、そのまま流れていっちゃうかもしれないので。
──咲坂先生の作品は、間の取り方も絶妙です。
それは一番大事にしていることですね。行間の部分をどう描くかということは、とても意識しています。多分、私がそういうものを読むのが好きなんだと思うんですけど。マンガを読んでいても「この人たちは、本当はこの瞬間どういう気持ちなんだろう」って考えたい派なんですよ。心理描写はやっぱり、少女マンガの醍醐味だと思うので。
──心理描写というと、表情だったり、モノローグだったり。
実はモノローグは、もっと少なくしたいくらいなんです。本当は、表情や絵で伝えたい。
20代、30代の方には生々しさを楽しんでもらいたい
──「アオハライド」の読者層は10代が中心だと思うんですが、20代~30代の大人が読むと、懐かしさや、高校時代に戻りたいと感じたりすると思うんです。
年齢によって読み進め方や引っかかる部分って違うと思うんですけど、20代、30代の方にはマンガの主人公なのに常にブレていたり、そういうちょっと生々しいところを楽しんでもらえたらいいなと思っていて。若い方にはわかりやすい「胸キュン」を(笑)。
──例えばマンガって「天才少女」とか、ひと言で言い表せるキャラがある人物が多いと思うんですが、「アオハライド」はそういう部分があまりなく、それがリアルさを出しているのかな、と。
「アオハライド」はキャラマンガというわけではないので。だけどあんまりすべてが生々しくてキャラがブレブレだと感情移入できなかったりもするので、ある程度キャラを決めたりもします。でも生っぽい、人だということも意識したい。そのバランスが難しいと思いながらも描いていますね。
──ひと昔前の少女マンガだったら、「(「ときめきトゥナイト」の)真壁俊が好き」だったら真壁くんから相手が変わることなんてあり得なかったわけで、それが揺れ動くというのが、イマドキっぽさ、リアルさに繋がっているのかなとも思います。
そうですね。人って必ずしも自分の気持ちに、いつでも自信があるわけではないと思いますから。
- TOKYO MX:7月7日より毎週月曜24:00~
- MBS:7月7日より毎週月曜26:35~
- BS11:7月8日より毎週火曜24:30~
- TUT:7月19日より毎週土曜25:53~
- GyaO!:7月8日より毎週火曜25:00~
- ニコニコ生放送:7月16日より毎週水曜22:30~
キャスト
内田真礼(吉岡双葉役)、梶 裕貴(馬渕 洸役)、茅野愛衣(槙田悠里役)、小松未可子(村尾修子役)、KENN(小湊亜耶役)、平川大輔(田中陽一役)ほか
スタッフ
- 原作:咲坂伊緒(集英社「別冊マーガレット」連載)
- 監督:吉村愛
- 脚本:金春智子、山田由香、平見瞠
- キャラクターデザイン:井川麗奈
- 美術監督:金子雄司
- 美術設定:イノセユキエ
- 色彩設計:広瀬いづみ
- 撮影監督:松本幸子
- 編集:濱宇津妙子
- 音響監督:長崎行男
- 音楽:堤博明・大嵜慶子・橋本翔太
- アニメーション制作:Production I.G
- 製作:アニメ「アオハライド」製作委員会
- オープニングテーマ:CHiCO with HoneyWorks「世界は恋に落ちている」
- エンディングテーマ:フジファブリック「ブルー」
- 挿入歌:Chelsy「I will」
- 咲坂伊緒「アオハライド」10巻 / 発売中 / 集英社
- 咲坂伊緒「アオハライド」10巻
- 通常版 432円
- ドラマCD同梱版 2484円
11巻は通常版とOAD同梱版が8月25日に同時発売予定
咲坂伊緒(サキサカイオ)
6月8日生まれ。B型。東京都出身。「サクラ、チル」でデビュー。代表作は、2007年から2010年まで別冊マーガレット(集英社)にて連載された「ストロボ・エッジ」。2013年には劇場アニメーション「ハル」のキャラクター原案を務める。別冊マーガレット2011年2月号より連載している「アオハライド」は累計600万部を突破。2014年7月にTVアニメ化、12月には実写映画化を控えている。