連続ドラマW-30「アオハライド Season2」が1月19日(金)23時よりWOWOWで放送される(TVerで最新話見逃し配信 / 初回放送後、WOWOWオンデマンドで全6話一挙配信)。
累計発行部数1300万部を超える咲坂伊緒のマンガ「アオハライド」は、高校生の吉岡双葉と馬渕洸による本格青春ラブストーリー。2部作として連続ドラマ化した本作のSeason1は、2023年9月から放送された。Season2では、急接近した双葉と洸の前に、洸に思いを寄せるかつての同級生・成海唯が登場することで物語が展開していく。双葉を出口夏希、洸を櫻井海音が演じ、初の本格的なドラマ出演となる藤吉夏鈴(櫻坂46)が唯に扮した。そのほか、志田彩良、莉子、新原泰佑、宮里ソル(円神)、曽田陵介、兼近大樹(EXIT)らも出演している。
映画ナタリーでは、ドラマのSeason1をきっかけに原作も手に入れ、すっかり「アオハライド」に“沼落ち”したというライター・ひらりさによる見どころレビューをお届け。“大人のドラマとしての味わいが増した”と語る、連続ドラマW-30「アオハライド Season2」の魅力とは?
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文 / ひらりさ(レビュー)
連続ドラマW-30「アオハライド Season2」本予告公開中
青春コンプレックスのミドサーを虜にした、WOWOWドラマ「アオハライド」
「いつか思い出したとき、それを経験したみんなにとって同じ温度の楽しい思い出になるように」青春コンプレックスをこじらせていた私・ひらりさが、食わず嫌いでスルーしていた少女漫画「アオハライド」。そのままミドサーになってしまった私に、その魅力を再発見させてくれたのが、昨年の秋に放映されたWOWOWドラマ「アオハライド Season1」だった。
連続ドラマW-30「アオハライド Season1」特集はこちら
元来引っ込み思案だったが、友人たちとの出会いのなかで少しずつ自分をアップデートしていく芯の強いヒロイン・吉岡双葉(出口夏希)と、母親との離別という癒えない傷に心を閉ざしながらも、双葉や友人たちの働きかけに少しずつ本来の自分を取り戻していくヒーロー・馬渕洸(櫻井海音)。
原作の魅力をしっかりとすくいとったシナリオと、ままならない人生との格闘をフレッシュに演じる俳優のみなさんのお芝居が素晴らしいこと! Season1観賞後は、すっかり“アオハライド・ワールド”の沼に落ち、原作の名言集をネット検索していたほどだ。Season1が「こんなところで終わるの!?」と絶叫したくなるタイミングで幕を閉じたのもあり、続きが気になりすぎて、結局原作にも手を出すこととなった。
そんなわけで結末は知りつつも……待っていました! Season2。すっかり「アオハライド」ファンになってしまったライターの目線で、その魅力をお届けしよう。
洸と同じ悲しみを知る女の子・成海唯の登場
Season2のメインストーリーは引き続き、吉岡双葉と馬渕洸の、通じ合っては遠ざかる、じれったい恋愛のゆくえだ。
「大事なものができるとさ、いろいろしんどくなるから」(Season1 第4話)
お互いの好意は認識しながらも、母親をうしなった洸の絶望の深さゆえに、近づききることのできない二人。Season1では、双葉を中心とした修子、小湊、悠里の奔走のおかげでだいぶ心を開いた洸が、文化祭の日、双葉に不意打ちのキスをしたところで終わった。
「これはもう……付き合うでしょ!」「Season2では、両思いな二人が見れるんでしょ!?」と(原作の展開を知りつつも)正座待機していたが……そうは問屋が卸さないのが、少女漫画のセオリー。Season1の終わりの頃から不穏な気配がしていたが、現れちゃいました、恋のライバルが。それが、双葉と洸が離れていたあいだの洸を知る女の子、成海唯だ。
「洸ちゃん!」
洸を屈託なく名前で呼ぶ唯は、洸が、両親の離婚で転入した、長崎の中学時代のクラスメイト。田中から馬渕に変わったばかりの苗字で呼ばれてもうまく反応できなかったり、転入の理由を聞かれても言い澱んでしまい、クラスに馴染めずにいる洸に、助けの手を差し伸べたのが唯だった。
「じゃあさ、もうみんなで馬渕くんのこと、洸ちゃんって呼んじゃおうよ」
「洸ちゃんはやさしかとね、親が離婚したなんて言ったら空気重くなるけん、正直に答えられんかったっちゃろ?」
「あたしの場合はね、ここまでならいっかってとこまではあえて自分から明るく言うことにしとる。そうしたら相手も自分もだあれも傷つかんけん、平和平和」
(以上Season2 第1話)
唯が長崎からやってきたのは、洸と同じく、片親を病で失ってしまったから。双葉のおかげで止まっていた時間が動きはじめた自分と対照的に塞ぎ込んでいく唯のことを、洸は放っておけない。双葉と一緒に帰るのを中断して唯との時間を優先し、「帰りたくない」と言う唯を抱きしめる洸。
Season1では、双葉の親友・悠里(莉子)も洸に片思いしていたが……相手が「洸と同じ悲しみを知る女の子」では重みが違う。文化祭のキスを機に、洸への告白を決意していた双葉も、さすがに動揺してしまう。
「男子ってさ、なんとも思ってない相手とでもキスとかできちゃうの?」(第1話)
涙まじりに言う双葉がいじらしすぎて、こっちまで泣きそうになる。「おい、洸!」と校舎裏に呼び出したい気分だし、唯には「同情で無理やり人を手に入れてもあとで苦しくなるだけだよー!」と説得したくなる。
でも、「この瞬間のしんどさ」に対して、そういう対処しか選べない気持ちも、大人としてはめちゃくちゃにわかる。双葉を応援していると、どうしても唯が悪者に感じられてしまうが……高校生の身分でとれる、限定された選択肢のなかで、洸という存在にすがってしまった唯のぎりぎりさと、それを理解して受け入れるしかなかった洸の優しさ、どちらも否定できない。
結局、「前を進むために」振られる前提で勇気を振り絞った双葉の告白を、洸は断ることになる。
「俺、吉岡とは付き合えない」(第2話)
唯の登場によりビターな深みが加わり、大人のドラマとしての味わいが増したのがSeason2なのだ。
がんばれ冬馬!いい男すぎるもう1人のヒーロー
唯の登場で、大きく広がった双葉と洸の距離。しかし、双葉の孤独に寄り添う、かっこいい男子もちゃんといる。Season1から双葉に振り向いてもらおうと頑張っていた菊池冬馬(曽田陵介)だ。双葉の恋心を見守っていた彼だが、双葉の失恋を機に再接近。友人・内宮晴彦(宮里ソル)のアシストもあり、温めていた双葉への恋心を告白する。
「俺、吉岡さんが好きなんだ。強気な吉岡さんも、弱気な吉岡さんも、行ったり来たりしながら自分なりに前に進もうとする吉岡さんが、俺は、好きだよ」(第3話)
うわー、たとえ中学から片思いしてる男子がいても、こんな渾身の告白されたら、クラっとくるだろうな。Season1では、一筋縄ではいかない“めんどくせー男”洸にも萌えていたけれど、正攻法で攻めてくる男子って、やっぱりいいなあ、双葉でなくとも迷ってしまうわ。……と、存在しない自分の青春を妄想しつつ、ついつい冬馬を応援してしまう。
こうして彼は、双葉に初めて「好き」という言葉を伝えた男になるのだ。
その後も言葉を惜しまずに双葉と向き合っていく冬馬に、「これはもう……双葉×冬馬がカップルになって終わってしまうのか!? それはそれで幸せか???」と悶えさせられるのだが……。皮肉にも冬馬のアプローチのおかげで、さすがの洸も、双葉への思いの大切さを自覚し、行動に出ることとなる。
……これ以上書くとネタバレが過ぎてしまうので、ぜひ本編を見てください。
ひとりひとりとの出会いが、ふたりを強くした
Season2で双葉と洸の関係に大きく影響する二人にフォーカスしてお届けした本レビュー。
しかし、修子、悠里、小湊もSeason2でも相変わらずの存在感を発揮している。
「先生、もう私以外の人にホクロ見せてもいいですよ」(第2話)
修子は、ずっと片思いしていた田中先生(兼近大樹)への告白に踏み切ることで、結果的に双葉の洸への告白を促し。
「双葉ちゃんだって、私の自慢の友達だもん」(第2話)
悠里は、失恋した双葉の心情に寄り添いながらも、冬馬との恋を後押しし。
「成海っちの傷は成海っちだけのもんだ。お前のじゃない。無理やり同調すんな。そういう楽の仕方すんな」(第2話)
小湊は、洸自身にもわかっていなかっただろう「唯を見捨てられない理由」を看破する。
こうした、登場人物たちの行動とセリフのひとつひとつが、双葉と洸をエンパワメントし、フィナーレへと向かっていく。
恋愛は、ただ当事者ふたりだけに降ってくるものではない。周囲を生きている人たちの人生を巻き込み、巻き込まれながら進む、“ドラマ”なのだ。
人生に大切なことが詰まった「アオハライド Season2」は1月19日スタート。この冬、ピュアに生きる彼らの“青春”を目撃してほしい。
連続ドラマW-30「アオハライド Season2」
連続ドラマW-30「アオハライド Season1」(全8話)も配信中
各話放送終了後、TVerでの見逃し配信も決定!
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