ナタリー PowerPush - the telephones

世界を変える覚悟完了!! 2カ月連続ミニアルバムリリース

「Oh My Telephones!!! e.p.」は田舎っぽい感じに

──アルバムの話に戻りますけど、3月の「A.B.C.D.e.p.」と4月の「Oh My Telephones!!! e.p.」は制作の順番もこの流れで進めたんですか?

石毛 その流れです。

──じゃあ「A.B.C.D.e.p.」を仕上げて手応えを感じつつ、次はセルフプロデュースで行こうみたいな?

石毛 そうですね。でも「A.B.C.D.e.p.」がすごくいい音になったから、これと対になる「Oh My Telephones!!! e.p.」はどうすればいいのかって不安はありました、最初は。

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──そもそもセルフプロデュースでやろうと思ったのはどうして?

石毛 僕が去年PILLS EMPIREっていうバンドをプロデュースして、とりあえずレコーディングシステムっていうのが少しずつわかってきて。で、この作品は自分たちで作ったほうが面白いことができるかもしれないと思ったので。

──今までのthe telephonesにはなかったスタイルのロックアルバムになってますよね。「DANCE FLOOR MONSTERS」とも違う手触りで。

石毛 そう、「A.B.C.D.e.p.」がすごく都会的なサウンドだから、ちょっとそこに対抗して田舎っぽい感じに。カントリーっていうかオーガニックっていうか。わざとそういう音にしてるつもりなんです。

偽物の音楽が人の心を打つはずはない

──この2枚はすごく対照的な仕上がりになっていますけど、the telephonesが本当にやりたい方向はどっちなんでしょうかね?

石毛 まあ、どっちもだと思うんですけど。なんだろうな、これから出てくる10代のバンドって、多分こういうバンド達だと俺は思うんですよね。

──こういうバンドっていうのは?

石毛 要はジャンルにとらわれないっていうか。洋楽、邦楽、ダンスミュージック、ロック、ライブハウス、クラブ、そういうものを全部平等な価値観で見れてる若者がやる音楽って、これの進化系だと思うんです。実際今の海外の音楽ってもうすごいでしょ。ジャンルという分類は難しくなってて、もう時代で括ることしかできない。“2010年”という枠でしか捉えきれないような感覚になってる。

──ロックバンドがクラブミュージックもヒップホップも通ってて当たり前みたいな。

石毛 そうそう、クラブの連中がロックやるのは当たり前だし、ロックの連中がクラブみたいなことをやるのも当たり前だから。そういうバンドがいっぱい出てくる前に、俺らが先にやっとけば後々尊敬されるかなと。

全員 あはは(笑)。

石毛 もちろん尊敬されるために音楽やってるわけじゃないけど(笑)。でも若いバンドが音楽の素晴らしさをちゃんと表現していかないと、音楽の文化ってどんどん下がってくと思うんですよね。だって、今ヒットチャートに入ってる曲って失恋について歌ったような似た音楽が多いでしょ。目を閉じて違うアーティストのCD2枚聴いたら「えっ、一緒じゃない?」って感じるようなのが多いと思う。で、そういう音楽が普通だと思っちゃうと、音楽に対しての夢ってなくなりません? 俺は多分10代だったらそう感じると思うんですよね。だから俺はEMIっていうこのメジャーレーベルの力を借りて、音楽ってこんな多様性のある素晴らしいものなんですよ、っていうことをたくさんの人に伝えていきたいですね。

──ただ共感して泣ければいい、というような音楽がヒットしている中で。

石毛 そうそう。

──または、ロックと呼ばれる音楽の中にも、ただ踊れればいいというものがあったりしますしね。

石毛 うん、でもそれはダンスミュージックが何かっていうのをわかってないんですよ。本当だったらそういう音楽が人の心を打つはずはないと思うし、一度本物の音を聴いちゃえば絶対それはわかるはず。別に本物の音楽が偉いってわけじゃないし、偽物の音楽でももちろんいいのはあるんですけど、でも俺はやっぱりみんなに本物を知ってほしいっていうか。俺らthe telephonesの音が本物かって言われたら、これは偽物って答えてもいいですけど(笑)。なんていうのかな、でも本物を知ってる偽物なんですよ。その違いがえらい違いなんです。

──the telephonesのサウンドはもちろん踊れるし盛り上がるけど、でも芯にあるのはやっぱりロックで。だから単に客を踊らせるためだけにやってるわけじゃない。その意識の違いは大きいですよね。

石毛 うん、がんばります。俺が作りたいのは1回聴いたときと2回目に聴いたときで違う発見がある音楽なんですよ。そういう深い音楽がやりたい。そう感じるための仕掛けは曲を作るときに考えて、たくさん詰め込んでるつもりなんで。

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ミニアルバム「A.B.C.D.e.p.」 / 2010年3月10日発売 / 1400円(税込) / EMI Music Japan / TOCT-22299

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CD収録曲
  1. Re:Life
  2. Girls, Boys, Romantics
  3. A.B.C.DISCO PV試聴
  4. Monkey Discooooooo (Best Hit Monkey Disco Mix by iLL)
  5. Hopping Shower (Acid Telephone Mix by iLL )

ミニアルバム「Oh My Telephones!!! e.p.」 / 2010年4月14日発売 / 1400円(税込) / EMI Music Japan / TOCT-22300

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CD収録曲
  1. kiss me, love me, kiss me
  2. Go!!!
  3. oh my DISCO!!!
  4. Live Track From "Super Disco Hits2@Differ ARIAKE (2009/12/04)"
    • Yesterday, Today, Tomorrow (My Life is Beautiful)
    • Monkey Discooooooo
    • Dance With You
    • Hopping Shower
    • Jabberwocky
    • Baby, Baby, Baby
    • D.A.N.C.E to the telephones!!!
    • Yesterday, Today, Tomorrow (My Life is Beautiful)
  5. Hallelujah, Hallelujah, Hallelujah (House Party ver.)

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the telephones(てれふぉんず)

2005年に埼玉県浦和にて結成されたロックバンド。メンバーチェンジを経て、現在は石毛輝(Vox,G,Syn)、岡本伸明(Syn)、長島涼平(B,Cho)、松本誠治(Dr)の4人で活動を展開中。ポストパンク/ニューウェイブにも通じるダンスロックサウンドが多くのファンを釘付けにしている。2007年に初の公式音源となるミニアルバム「we are the handclaps E.P.」をリリース。2008年1月に1stフルアルバム「JAPAN」を発表し、同年「ARABAKI ROCK FEST.08」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2008」「SUMMER SONIC 08」など各地のフェスを席巻。ハイテンションなパフォーマンスでオーディエンスを熱狂させる。2009年4月、EMIミュージック・ジャパンからのメジャーデビューを発表。同年8月にリリースしたフルアルバム「DANCE FLOOR MONSTERS」では彼らにしか作り出せない破壊力抜群のサウンドを響かせ、新旧のファンに歓迎された。