ナタリー PowerPush - the telephones

世界を変える覚悟完了!! 2カ月連続ミニアルバムリリース

ダメな自分をバンドの中でやっと出せるようになった

──この「A.B.C.D.e.p.」を聴いて感じたのは、ただ踊れて盛り上がるだけじゃなくて、切なさや泣ける要素がより強くなっている、ということなんです。その変化をもたらしたものはいったいなんなんでしょうか?

石毛 んー、実際なんなのかは僕もわかんないですけど、心境の変化として「ちゃんと歌を歌おう」っていうのはありました。当たり前のことなんでしょうけど(笑) 。あの、僕はインディーズ時代からわりといいメロディを書いてきたなって自分では思ってるんですけど(笑)、俺の歌のヘタさのせいなのか今まであんまりそこがクローズアップされることはなくて。でも最近は歌のスキルがちょっとずつ身についてきて、歌への興味がすごく増してきたんですよね。今さらですけど「俺はこのバンドでの立ち位置はボーカルなんだ」と思うようになってきたっていうか(笑)。

──自覚するのがちょっと遅い気がします(笑)。

石毛 でも単純に言うとホントにそんな感じで。基本的には僕は1曲目の「Re:Life」みたいな曲を作るのが得意なタイプのミュージシャンなんですよね。

インタビュー写真

──その“「Re:Life」みたいな曲”っていうのはどういう意味で?

石毛 えーと、「お涙頂戴センチメンタルポップス」?

全員 (笑)。

石毛 日本人の琴線に触れる、っていうのはまあ言い過ぎですけど。僕は北欧の音楽がすごく好きで、あとケルトの音楽とか。なんだろう、わかりやすく言うと……ミニマルなものにきれいな音色が乗っかって、景色がゆっくり変わっていくような、ちょっと壮大でアンビエントな音楽っていうのかな。僕はthe telephonesを組まなかったら多分1人でそういう音楽を作ってたと思うんです。

──その自分の本質みたいなものがここに来てちょっと出てきた?

石毛 そうですね。自分の人間性みたいなものをやっと公開できるようになったっていうのはあります。

──じゃあ今まではいわゆるthe telephones的なものをやろうっていうのを……。

石毛 すごく意識してました。the telephonesの自分として曲を作る、the telephonesの自分としてライブをやる、みたいな気持ちでずっとやってきて。

──それはなぜなんでしょう?

石毛 うーん、なんか求められてないと思ってたから。そういう俺を出しても周りを心配させるだけだと思ったし、どうせ僕らのことを見に来る人はそういうのはいらない、興味ないだろうと思ってたし。でもそうやってるうちに、じゃあ俺がthe telephonesをやってる意味ってなんなんだろうなって思うようになってきて。で、まあ仲が悪いバンドだったら別だけど、僕らはうんこみたいに仲がいいバンドなんで……。

全員 (笑)。

石毛 僕はメンバーに助けられてる部分がいっぱいあって。だから僕は本当にダメ人間でうんこちゃんだと思うんですけど、そんなダメな自分を最近になってやっとthe telephonesっていうバンドの中で出せるようになったんですよね。だから今の俺は、素の状態でステージに上がってるし、素のままで曲も作ってる。今はそれでいいんだって思えるようになったんです。

「泣き言言ってる場合じゃないな」って

──石毛さんが自分の素の部分を見せているから「A.B.C.D.e.p.」は感動的に聞こえるのかもしれませんね。でもそこを出せるようになったのは大きな変化だと思うんですが。

石毛 多分やっと現実と向き合う覚悟ができたんだと思います。僕は基本的に人に期待されたりするのがすげえ嫌いなんですよ。やりたいことはいっぱいあるんだけど、性格がひねくれてるし照れもあって反対のことをやりたくなっちゃう。要は自信がないからなんですけど。でもthe telephonesをやってるうちに「そんな泣き言言ってる場合じゃないな」って。去年の「COUNTDOWN JAPAN」でカウントダウンをやらせてもらったのも大きいと思うんです。ああいう国内屈指のフェスの「GALAXY STAGE」っていう大きいところでカウントダウンをして、それはどれだけのバンドができることなんだろうって考えると、もう「自信がない」とかそんな子供みたいなこと言ってちゃいけないなって。

──ようやく腹をくくったと。

石毛 そうですね。もちろん僕だけじゃなくてメンバーみんなが強くなったところもあると思うし。あと僕はナカコーさんがすごく好きなので、ナカコーさんに「この曲いいよね」とか言われることも自信になったし。だからナカコーさんに勇気をもらった部分はすごくありますね。

──ライブを観ていると、このバンドの変化は石毛くんだけじゃなくて、メンバー1人1人が作り出しているものなんだろうという気もします。

インタビュー写真

長島涼平(B,Cho) そうですね。確かにみんな変わったと思います。単純に個人的なことを言えば、昔より緊張しなくなったとか前に出れるようになったとか……。

石毛 昔はライブ中も後ろばっか見てたもんね。

長島 もう俺、人前に出るのとかも嫌なんで。昔だったら金髪にもしてないでしょうし(笑)。大きいステージでやらせてもらったり、地方に行ってもお客さんが入ってくれたり、今のそういう状況がうれしくて。そういうお客さん、俺らをたまにしか見れないような人を相手にしてるときに、そこで後ろ向いて弾いてるのとかはカッコ悪いなって。

──松本さんはどうですか?

松本誠治(Dr) 「タフになった」というと簡単すぎちゃいますけど、でもそういうことだと思うんです。少しずつ、メンタル面もフィジカルな面も含めて良くなってる。まあ技術の向上もそうだと思うんですけど、いい意味で責任感を感じながら、ゆとりあるステージが楽しめるようになったとも思うし。

──岡本さんはどうでしょう。自分の成長とか意識の変化は感じていますか?

岡本 そうですね、単純に自信と焦りがなくなりました。……あっ、自信はあるんだ!

全員 あははは!(爆笑)

石毛 自信はなくなっちゃダメだろ!(笑)

岡本 そうです。自信はかなりつきました! で、焦りはなくなりました。前はもっとナイーブだったんですけど、もっと自然にライブに臨めるようになったし、この2枚の作品が作れたのも自信になったし。今年はだからやっとなんかこうthe telephonesの真骨頂が見せられるかな、みたいな。どんどんやる気が、モチベーションが高くなってますね。

ミニアルバム「A.B.C.D.e.p.」 / 2010年3月10日発売 / 1400円(税込) / EMI Music Japan / TOCT-22299

  • Amazon.co.jpへ
  • Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. Re:Life
  2. Girls, Boys, Romantics
  3. A.B.C.DISCO PV試聴
  4. Monkey Discooooooo (Best Hit Monkey Disco Mix by iLL)
  5. Hopping Shower (Acid Telephone Mix by iLL )

ミニアルバム「Oh My Telephones!!! e.p.」 / 2010年4月14日発売 / 1400円(税込) / EMI Music Japan / TOCT-22300

  • Amazon.co.jpへ
  • Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. kiss me, love me, kiss me
  2. Go!!!
  3. oh my DISCO!!!
  4. Live Track From "Super Disco Hits2@Differ ARIAKE (2009/12/04)"
    • Yesterday, Today, Tomorrow (My Life is Beautiful)
    • Monkey Discooooooo
    • Dance With You
    • Hopping Shower
    • Jabberwocky
    • Baby, Baby, Baby
    • D.A.N.C.E to the telephones!!!
    • Yesterday, Today, Tomorrow (My Life is Beautiful)
  5. Hallelujah, Hallelujah, Hallelujah (House Party ver.)

着うたiTunes

the telephones(てれふぉんず)

2005年に埼玉県浦和にて結成されたロックバンド。メンバーチェンジを経て、現在は石毛輝(Vox,G,Syn)、岡本伸明(Syn)、長島涼平(B,Cho)、松本誠治(Dr)の4人で活動を展開中。ポストパンク/ニューウェイブにも通じるダンスロックサウンドが多くのファンを釘付けにしている。2007年に初の公式音源となるミニアルバム「we are the handclaps E.P.」をリリース。2008年1月に1stフルアルバム「JAPAN」を発表し、同年「ARABAKI ROCK FEST.08」「ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2008」「SUMMER SONIC 08」など各地のフェスを席巻。ハイテンションなパフォーマンスでオーディエンスを熱狂させる。2009年4月、EMIミュージック・ジャパンからのメジャーデビューを発表。同年8月にリリースしたフルアルバム「DANCE FLOOR MONSTERS」では彼らにしか作り出せない破壊力抜群のサウンドを響かせ、新旧のファンに歓迎された。