ナタリー PowerPush - レキシ
レキシが歴史に名を刻む!“日本史ポップス”の集大成
親戚の結婚披露宴で「関白宣言」を歌った子供
──池田さんが自分の音楽やパフォーマンスに笑いを取り込むのは、根本的なエンターテイナー精神に依るものだと思うんですけど。
確かに。エンターテイナーでありたいという意識が強いんですよね。単純に人の喜ぶ顔が見たいという。原点はそこですね。
──その原点はどのように生まれたんですか?
これはまだ僕が未就学児だったころの話なんですけど。親戚の結婚披露宴で、さだまさしさんの「関白宣言」を歌ったんですよ。
──とんでもないガキですね(笑)。
でしょ? それはやっぱりウケるわけですよ。ガキが大人の難しい歌を歌うだけで。普通子供が歌うんだったら「幸せなら手をたたこう」とかじゃないですか。その体験が僕の中で大きいんですよね。別に俺自身は面白いことをしようとしているのではなくて、真剣に歌ってるだけなんですけどね。でも、真剣に歌ってるからこそ笑いも起きるし、感動も起きるみたいな。そのリアクションが気持ち良かったんです。ああ、こうやって喜ばれるんだって。
──でも、なぜ「関白宣言」だったんですか?
もう1曲候補として八代亜紀さんの「雨の慕情」があって(笑)。「雨の慕情」は当時流行っていて、僕がよく口ずさんでいたらしいんです。それで親に「関白宣言」と「雨の慕情」どちらか歌いたいほうを選べと迫られて。直感的に「関白宣言」を選んだんだと思います。ただ、今思えば「雨の慕情」のほうがさらにウケていただろうなと(笑)。
──そのときがエンターテイナーとしての自我の芽生えだった。
まさに。
参加ミュージシャンは歴史上の人物の生まれ変わり
──レキシの曲のダイナミズムって、音楽的に優れた部分と歌詞の笑いが均等の力を保ってなければ成立しないと思うんですよ。そのバランスを取ることって至難の業だと思うんですけど、ポイントはどんなところにありますか?
そこも最終的には本能ですね。分析とかはしてないです。レキシの成り立ち自体は確信犯の部分もありますけど、音楽的なことや歌詞に関してはストレートじゃないといけないと思ってます。
──でも、コミックソングになりかねない危険性をかなり孕んだところでの綱渡りをしていると思うんですよね。
ああ、そうか、そうか。そう言われるとどこかで意識しているのかもしれない。ただのお笑いにならないようにしないとって。でも、自分では分析できないですね。
──曲作りは何からはじまるんですか?
オケも歌詞もビデオクリップの映像までもすべて見えてゲラゲラ笑いながら作るのが理想なんですけど。実際はリズムトラックからできることもありますし、歯磨きをしていて歌詞が浮かぶこともあるし、悩みに悩んで泣きながらピアノを弾いて歌ってできることもあるし……。その中で最初にテーマが浮かぶことが多いかもしれない。
──でも、これだけの客演陣がそろうと曲作りのハードルも上がりますよね。
ホントに困りました。前作が評判良かったことだけでもハードル上がってるのに、客演もさらに豪華になっちゃってね。ありがたいんですけど。それに輪をかけてスタッフもプレッシャーをかけてくるので(笑)。この3年9カ月、そういうプレッシャーとも戦いながらがんばりました!
──曲を受け取った客演陣はどういう反応を示すんですか?
苦笑いもあれば、「素晴らしい!」と言う人もいますね。そこはせめぎ合いです(笑)。でも、みんなもともとレキシに参加したいところから始まっているので、みなさん笑いながら真剣に応えてくれる感じですよね。
──池田さんはレキシの曲にどういう声が欲しいと思いますか?
例えばDeyonnáなんかは、僕からすればお姉さんみたいな感じですから。レキシの要素をもともと持っていて、すでに実践されている人というか。だからね、歌ってもらうだけで日本史になるんです。声が日本史みたいな。生まれ変わりなんだと思いますよ。卑弥呼とか、いろんな時代の主要女性の。聖徳ふとこ(安藤裕子)にも同じことが言えますね。あと、前作に参加してくれた、つぼねぇ(原田郁子)もそうですね。レキシに参加してくれるミュージシャンはみんな歴史上の人物の生まれ変わりだと思いますよ。じゃないと食いついてこないでしょう! みんな自分の前世と対話したいんだ! ああ、話がデッカい!(笑)
CD収録曲
- そうだレキシーランド行こう feat. MC末裔・MC四天王
- きらきら武士 feat. Deyonná
- ペリーダンシング feat. シャカッチ
- どげんか遷都物語 feat. 織田信ナニ?
- ほととぎす feat. 聖徳ふとこ
- かくれキリシタンゴ ~Believe~ feat. MC母上
- レキシ ト ア・ソ・ボ
- 妹子なぅ feat. マウス小僧JIROKICHI
- 狩りから稲作へ feat. 足軽先生・東インド貿易会社マン
- 歴史と遊ぼう
レキツアー
~皆で遺跡を巡りたかった~
- 2011年5月4日(水・祝)
東京都 新代田FEVER
OPEN 17:30 / START 18:00 - 2011年5月8日(日)
大阪府 梅田Shangri-La
OPEN 17:30 / START 18:00 - 2011年5月14日(土)
東京都 新代田FEVER
OPEN 17:30 / START 18:00
チケット一般発売日:2011年4月2日(土)
レキシ
1974年2月15日生まれ、福井県鯖江市出身の男性アーティスト・池田貴史のソロプロジェクト。1997年にSUPER BUTTER DOGのキーボーディストとしてデビューし、ハイクオリティなプレイとエンタテインメント性あふれるパフォーマンスで人気を博す。2004年からは中村一義が結成したバンド、100sのメンバーとしても活躍。2007年にレキシとしての1stアルバム「レキシ」をリリース。豪華ゲスト陣とともに、日本史の登場人物や史実をポップミュージックに乗せて歌うスタイルで大いに注目を集めた。2011年3月、約4年ぶりのフルアルバム「レキツ」を発表。5月には初のワンマンライブを行う。