ナタリー PowerPush - Perfume
ここまでやっちゃっても、私たちはぶれない
初めてサマソニに出て、カッコいいって言ってもらえる気持ち良さがわかった
──確かにサマソニは感慨深いですよね。初のフェス出演として大阪会場ダンスステージでオープニングアクトを務めて、その5年後に一番大きいマリンステージに出演って、こんな出世の仕方をする人はなかなかいないと思いますよ。
あ~ちゃん そうなんですかね?(笑)でも、光栄です。サマソニに初めて出たときのことは忘れられないですね。ステージ上でのことももちろん、舞台裏のことも忘れません。あのとき話した言葉も忘れないし、衣装も忘れないし、2人の顔も忘れないし、自分の手の震え方も忘れられない。ライブ前に緊張しすぎて手の色がおかしくなったんですよ。血管が浮き出すぎて、黄色を通り越して黄緑色になっちゃって(笑)。
──緑色が混じってるのはおかしいですね(笑)。
あ~ちゃん そんな中で、会長が急に現れて「君たちカッコいいよ」って言ってくれて(笑)。今まで全然振り向いてくれなかった会長が! わざわざ大阪まで来てくれた! しかもこんな朝早くに! なんかマネージャーが「お前よくやったな!」とか褒められてる! もうなんだか訳がわからない……みたいな(笑)。本当に幸せで、すごい最高だと思いました。あの瞬間、人からカッコいいって言ってもらえる気持ち良さとか、フェスの楽しさとか、いろんな感覚をもらって、またひとつ夢が膨らんだんです。
──あれがきっかけになって、その後いろいろなフェスに出るようになりましたしね。
あ~ちゃん そうですね。最初は大阪のイベンターさんが「Perfumeはかわいいじゃなくてカッコいいんだよ! 君たちはロックなんだよ! だからサマソニに出なきゃダメだ!」って言って、無理矢理ねじ込んでくれた感じだったんです(笑)。その人とはまだ今も一緒にお仕事させてもらってるんですけど、今改めて感謝したい相手ですね。
イケイケの姉ちゃん! チューブトップ!
──先程のっちさんが少し話に出してましたけど、「Spending all my time」のビデオクリップはどんな内容なんですか?
のっち ……えーっと(笑)。
かしゆか 私たちはとある超能力養成所に閉じ込められた、不思議な力を持った女の子たちっていう設定で……(笑)。
──おお、いいですね。SFっぽい。
あ~ちゃん いやー、そんなこと言ってくれるなんて、本当にうれしい!(笑)
のっち やって良かったねえ(笑)。
かしゆか そこでこんな反応してもらったのは初めて(笑)。
──いやいや、そんなことはないでしょう(笑)。どうしてそんなに言いづらそうにしてたんですか?
かしゆか いや、恥ずかしがってるわけじゃないんですけど、なんか曲の雰囲気とビデオの設定のギャップがあまりにすごいから、曲だけを聴いた人は多分「なんでそんな設定なの?」って思うんじゃないかなと思って。でも実際に映像を観るとすごくカッコよくって、曲の印象が変わるようなビデオになってるんです。
のっち そうそう。イケイケでチャラチャラしたダンスミュージックっていう印象がガラッと変わって、ループ感が楽しめるシュールな曲に感じられるんです。すごくオシャレなんですよ。
あ~ちゃん うん、品があるよね。CDジャケットでも着てる衣装は養成所での制服なんです。PVの中の私たちは何年もずっと閉じ込められてて、「出たい! 出して!」って言い続けてるんだけど、もう出してもらえないことも、自分の力ではどうにもできないってこともわかってる。だからPVでの私たちは、いろんなことを諦めたような、気だるい雰囲気になってて。3人は超能力を持ってるから、外に出たらおかしなことになっちゃうんです。いろんなものが浮いたり、「バンッ!」って壊れたり、目線向けるだけで「ビャンッ!」とかやっちゃったり。
──ジャケットや衣装のどことなく東欧っぽいデザインは、確かに「Spending all my time」の豪勢なサウンドとはギャップがありますね。
あ~ちゃん そうですよね。だから最初はもっと、イケイケの姉ちゃん! チューブトップ! 港区六本木! (胸元を指さして)ここ全部キラッキラ! グリッタグリッター! グリッタグリッター!みたいなイメージのほうがわかりやすくて、曲も覚えやすいんじゃないかと思ってたんです。でも、そういう3人の姿が全然思い浮かばないし、自分たちの中にも多分「そっちには行きたくないな」っていう抵抗がちょっとあって。それで、どうしようって話をしてたら、曲を聴いた田中(裕介)監督がイメージを膨らませてこの設定を提案してくれたんです。「なるほど創造者の見解ってすごい!」って思いました。それでもう全部お任せしました。
──この曲を聴いて「気だるい雰囲気」なんて世界観が出てきた田中監督はすごいですね。
あ~ちゃん 衣装とかも、いかにも養成所を取り仕切ってるおじさんが「こんな制服を着させたらかわいいんじゃないか?」みたいに考えそうな、「男子が思う女子の萌えポイント」みたいなのが入ってるんです。本当に周りの大人の男子に作ってもらいました(笑)。あと、のっちがスカートを履いてるのもすごく斬新ですよね。
のっち うん。自分でも新鮮です。うふふ(笑)。
あ~ちゃん 今まであんまりスカートを履いたことがなかったから、本人はちょっと抵抗があるみたいなんですけど、きれいな顔だからすごいハマりますよね。見てる側からしたらもう、たまらないですよ(笑)。
のっち ありがとうございます。よろしくお願いします(笑)。だから、スカート履いてるときにどういうポーズとればいいのかさっぱりわからないんで、写真を撮ってもらってるときにすごい「しゅん」としちゃって(笑)。
かしゆか あー、確かにそうだったね(笑)。
ニューシングル「Spending all my time」/ 2012年8月15日発売 / UNIVERSAL J
CD収録曲
- Spending all my time
- ポイント(「キリンチューハイ 氷結やさしい果実の3%」CMソング)
- Hurly Burly(「キリンチューハイ 氷結」CMソング)
- Spending all my time -Original Instrumental-
- ポイント -Original Instrumental-
- Hurly Burly -Original Instrumental-
DVD「Perfume 3rd Tour『JPN』」/ 2012年8月1日発売 / UNIVERSAL J
DVD「Perfume Global Compilation “LOVE THE WORLD”」/ 2012年9月12日発売 / 徳間ジャパン
Perfumeアジアツアー敢行!
- 2012年10月26日(金)
台湾・Neo Studio - 2012年11月7日(水)
香港・Rotunda 3 - 2012年11月17日(土)
韓国・AX-KOREA - 2012年11月24日(土)
シンガポール・SCAPE
※詳細はオフィシャルサイトにてご確認ください。
Perfume(ぱふゅーむ)
かしゆか(樫野有香) 、のっち(大本彩乃)、あ~ちゃん(西脇綾香)により2000年に広島で結成。2003年に活動拠点を東京に移してからは、プロデューサーにcapsuleの中田ヤスタカを迎え、インディーズレーベルで精力的に活動を開始。2005年にシングル「リニアモーターガール」でメジャーデビューを果たし、近未来的な世界観のサウンドとダンスで耳の肥えた音楽ファンの間でも高い評価を獲得する。2007年に「NHK環境・リサイクルキャンペーン」テレビCMに出演し、CMソング「ポリリズム」が大ヒット。テクノポップブームの火付け役となり、2008年には日本武道館、2010年には東京ドームでのワンマンライブを成功させる。2011年にはピクサー映画「カーズ2」の挿入歌&日本語吹き替え版エンディングテーマに、アメリカのスタッフによる指名で「ポリリズム」が抜擢。2012年にユニバーサルJに移籍してアルバム「JPN」のiTunes Store世界配信を実施し、同年4月に「キリンチューハイ 氷結」のCMソング「Spring of Life」のCDシングルをリリースする。さらに同年8月には全編英語詞のシングル「Spending all my time」を発表。10月からはアジア4カ国で初の海外ツアーを敢行する。