ナタリー PowerPush - 大橋トリオ

“グリーンアコースティック”を奏でる好評カバーシリーズ第2弾

男女どちらかのカバーしかやらなかったら幅が狭くなる

──そして、THE MAMAS & THE PAPASの「CALIFORNIA DREAMIN'」。

僕、20歳を過ぎたぐらいのころ、フォークのカバーバンドをやってたことがあって。そのときにもこの曲をカバーしたんですけど、当時はピーター・ポール&マリーとかのカバーをやってたんで、この曲はまだかなりポピュラーなほうっていうか。そういうおじさんが当時、周りにいっぱいいたんですよ(笑)。当時そういうとこに属してたことは、かなり勉強になりました。若者は僕らだけだったんですけど。

──そのエピソードから、大橋トリオの音楽的背景の一端がまた新たに見えた気がします(笑)。

この曲は、メロディラインをどう崩すかっていうところはこだわりましたけどね。どの曲も独特の時代感っていうのがあるから、それをいかに今風にシャレた感じに聴こえるようにできるか。「ANGEL」もそうですけど、どう自分らしい感じにするか、ですよね。

──デズリーの「You Gotta Be」に参加されてる女性コーラスは、おなじみのmiccaさんですよね。

そうです。この曲はあんまりアレンジっていうところは意識せずに、アコースティックにやればいいのかなっていう感じでしたね。

──女性アーティストの曲をカバーするときって、原曲を意識しますか?

そこは意識してないですね。洋楽だと歌詞もそんなに気にならないですしね。よほどじゃない限り、その点では男女はあんまり関係ないし、キーもいくらでも変えられるから。もし男女どちらかのカバーしかやらないことになったら、選ぶ幅がすごく狭くなっちゃうでしょ?

「Heartbeat」は「いかに音を抜いていくか」

──確かに。そして、TAHITI 80の「Heartbeat」。実は今回これがいちばん意外な選曲でした。

これは薦められた曲なんですよ。ちょうど明るい曲調のものも欲しかったのでいいなって。原曲と同じ聞こえ方はしたくないなって思ってたんですけど、曲のインパクトが強いから、そこはなかなか避けて通れないとこっていうか。そういう中で、いかに音を抜いていくかっていう作業でしたね。

──スティーヴィー・ワンダーの「MY CHERIE AMOUR」。これは大橋さんの好きな曲のひとつですよね?

そうですね。原曲はわりとクラシカルなんで、さっぱりした感じでやったらいいのかなって。構成もまったくオリジナルのままですし。だからアレンジでこねくりまわすんじゃなくて、原曲そのままを違う音と歌でやってる感じ。けどそこにとどまることはしたくないので、ちょっとだけひねった、っていう感じですね。

──そして「The Man Who Sold The World」。オリジナルはデヴィッド・ボウイですが、NIRVANAのカバーで知った人も多いでしょうね。

僕もNIRVANAで知った派ですね。NIRVANAって、バンドでやるのはベタ過ぎるっていう時代だったんですよ、僕らのころって。でも最近YouTubeでこの曲のNIRVANAバージョンを見て、やっぱりカッコいいなと思って。独特のグルーヴ感と、流れる感じと、あのクールな歌がものすごいバランス感だなと思って、改めて曲に魅かれたので、これをなんとかやってみたいと思ったんです。

──で、完成したのがスウィングする「世界を売った男」。これはもう「FAKE BOOK II」の中でもとくに絶品だと思います。

ですよね。だってオリジナルがデヴィッド・ボウイですよ(笑)。まぁ、この曲はボウイのともNIRVANAのともまったく違う感じにしたから、お好きなバージョンを聴いてもらえたらな、って感じですよね。

カバーアルバム「FAKE BOOK II」 / 2011年3月16日発売 [CD] 2100円(税込) / rhythm zone / RZCD-46800

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CD収録曲
  1. ANGEL(AEROSMITH)
  2. Kiss Of Life(SADE)
  3. CALFORNIA DREAMIN'(THE MAMAS & THE PAPAS)
  4. You Gotta Be(デズリー)
  5. Heartbeat(TAHITI 80)
  6. MY CHERIE AMOUR(スティーヴィー・ワンダー)
  7. The Man Who Sold The World(デヴィッド・ボウイ)
  8. If I Ain't Got You(アリシア・キーズ)
大橋トリオ(おおはしとりお)

大橋トリオ

マルチプレイヤー大橋好規によるソロプロジェクト。 音楽大学を卒業後、2003年に映画「この世の外へ クラブ進駐軍」にピアノ演奏とビッグバンドアレンジで参加。その後も映画やCMの音楽制作や楽曲提供、サポート演奏などで幅広く活躍する。2007年に大橋トリオ名義のアルバム「PRETAPOTER」、2008年に「THIS IS MUSIC」をリリース。「THIS IS MUSIC」は第1回CDショップ大賞で準大賞に選出され、大きな話題を呼んだ。2009年5月にミニアルバム「A BIRD」でメジャーデビュー。2010年3月には初のカバーアルバム「FAKE BOOK」で幅広いジャンルの名曲に挑戦した。同年夏には「GREENROOM FESTIVAL 10」「WORLDHAPINESS 2010」などの野外フェスにも出演し、多くのファンを獲得。2011年3月、カバーアルバム第2弾となる「FAKE BOOK II」をリリースする。