ナタリー PowerPush - MO'SOME TONEBENDER
初ベストで振り返る波乱のモーサム史
ベスト盤を出すことにこだわりがなくなった
──ベスト盤の話に移りますが、選曲とか曲順とかにメンバーはかかわってないんですよね。
百々 俺はどうぞどうぞって感じでしたけど。お任せでしたね。
──今まではこういうベスト盤をまったく出してなかったですが。
百々 昔はね、話がきても断ってましたね。
──心境の変化があった?
百々 まぁ、あんまり気にならなくなった。
──タイトルの「BEST OF WORST」っていうのは?
武井 ツアーをやってるときに、ふっとそういうアイデアが沸いて。そのまま決まった感じ。モーサムらしいんじゃない、って。
──最悪なのが最高だっていう?
武井 そう(笑)。
過去の音源を聴くといろいろ気付かされる
──普段、皆さんは過去の音源を聴き返すんですか?
百々 俺は聴かないっすね。
藤田 マスタリングのときに久々に聴きましたけど。
百々 シャッフルで聴いたときに初期の曲とかかかると飛ばしたりね。びっくりしますね。なんじゃこりゃって思って(笑)。
──恥ずかしいの?
百々 いや気付かなくて、音がエグイなって。途中で俺の声だって気付いて。忘れてるんですよね。
──だいたいキャリアあるミュージシャンに聞くと、昔の音源は恥ずかしいって言うけどそういう感じではない?
百々 恥ずかしいっていうより、下手だなぁとかはあるけど。自分がボーカリストじゃなかったら昔の曲も聴くんでしょうけど、自分の声が大嫌いなんで。
──今も?
百々 うん。
──なんで?
百々 好き?
──(笑)。確かにテレコで録った自分の声を聴いて自己嫌悪したりとかあったけど、いずれ慣れるじゃん?
百々 慣れるけどさぁ。レコーディング中にイヤでも聴くじゃない。だからそれで終わり。完成したらせいせいする。あとは昔の曲(をライブで)やるときに聴いたり。でもね、5年後くらいに聴いて、いろいろ気付いたりすることはあるね。こんなこと歌ってたんだとか。
──それは今の自分とは隔たりがある?
百々 隔たりもあるし、そのときは無意識に書いとったのが、意味がわかったりね。
──そのときは無意識でも、あとになって言いたかったことがわかる?
百々 そうですね。
「未来は今」は録り直すたびにテンポが加速する
──この中で一番古い曲は「未来は今」だよね。これは節目節目で録り直してるし、今回も新録だし。この曲はバンドを象徴する曲なんですかね?
藤田 まぁ不思議なもんだなとは思いますけどね。なんつーか、初めて作った曲なんで。
──3人にとって大事な曲だから録り直すんだよね?
百々 大事な曲っていうよりは、残ってる曲って感じですね。別に大事な曲だって言ったこともないし、結構やってなかったりもしたし。
藤田 もうやらなくてもいいんじゃないって思ったりもするし。
──最初に作った瞬間は手応えがあったんですか?
藤田 いやぁ……でも最初はこんなにテンポが速くなかったですよ。そのときの音源とか聴くとトロいっすよ。
武井 のどかな感じのする音だったな。
百々 今のバージョンを含めて、「未来は今」って4バージョンあるんですけど、一番初めのカセットのテイクと今のバージョンはBPMが20違うんですよ。録り直しごとに上がってる(笑)。
──それがモーサムの歴史というわけだ(笑)。だんだんせっかちになっていくと。
藤田 普通は逆だろうけどね。年をとるに従ってゆったりしていくもんじゃないの?
──なんで速くなってるんですかね?
武井 気分が上がるんじゃないですかね。アメリカツアー中でもある曲のテンポを思いっきり速くしたんですよ。そしたら気分がすっごい上がっちゃって、「キター!」って。
──その都度の自分たちの気分が率直に反映されるというか、それが測りやすいのかな、テンポは。
百々 かもしれない。
CD収録曲
- 未来は今 ver.2011
- GREEN & GOLD
- ロッキンルーラ
- HigH
- TIGER
- ペチカ (long flight ver.)
- 冷たいコード
- DAWN ROCK
- 凡人のロックンロール
- DUM DUM PARTY
- hang song
- Lost in The City
- Bad Summer Day Blues
- We are Lucky Friends
- echo
- ストロベリータイム (bonus track)
DVD収録曲
- youth~七月二十日~未来は今~HigH~ Emperor Sun & Sister Moon ~Drum Song<TOUR STRUGGLE@EBISU LIQUID ROOM-Digest>
- 壊れてるよ~STOP THE MUSIC~新型セドリック~Hammmmer~未来は今~BIG-S~Drum Song~GREEN & GOLD<QUATTRO MIRAGE-Digest>
- GREEN & GOLD
- 未来は今
- GREEN & GOLD
- ロッキンルーラ
- HigH
- TIGER
- ペチカ
- 冷たいコード
- DAWN ROCK
- 凡人のロックンロール
- DUM DUM PARTY
- hang song
- We are Lucky Friends
- echo
MO'SOME TONEBENDER(もーさむとーんべんだー)
1997年に福岡で結成されたロックバンド。メンバーは百々和宏(Vo, G)、武井靖典(B)、藤田勇(Dr/現在はG)の3名。年間100本に達するほどのライブ活動を行い、2001年にはアルバム「HELLO」でメジャーデビュー。迫力あるロックサウンドで高い評価を獲得している。ダイナミズムあふれるライブパフォーマンスには定評があり、各地のフェスにも精力的に出演。2007年4月には初の日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブも成功させた。その後2年間にわたって何度も試行錯誤を重ね、2010年に精力的な活動の再開を宣言。ドラマーだった藤田がギタリストにパートチェンジし、現在はサポートドラマーを迎えた4人編成でライブやレコーディングを行っている。