ナタリー PowerPush - MO'SOME TONEBENDER

初ベストで振り返る波乱のモーサム史

妙なバンドが出てきたなって思われようとした

──最初の頃に意識してたバンドとかいました?

百々 そういうのは特になかったですね。最初は随分ウケ狙いしてましたね。ウケというか、ウケもしなかったけど(笑)。妙なバンドが出てきたなって思われようとして。友達をステージに上げたりして。その友達ってのが、有江(嘉典)君なんですけど(笑)。1997年の8月にバンド組んで、11月に初ライブで大学の学祭に呼ばれたから、オリジナル3曲くらい急いで作って。そんで、ライブ中に後ろで牛乳瓶の底のような眼鏡をかけたお相撲さんがうどんを食ってるっていう演出を入れて。で、俺らはずっと演奏してるっていう。そのお相撲さんが今はVOLA & THE ORIENTAL MACHINEのベーシストなわけですが。

──(笑)。なんでそういうことやったの?

百々 なんででしょうね?

ライブ写真

藤田 よく考えたら今とあんまり変わってないですね。

──後年の武井君のステージパフォーマンスにつながりますね(笑)。

武井 そういうつもりはなかったんですけどね(笑)。そういえば最初の頃はコール&レスポンスタイムとかもあったな。

百々 でもツアーに行くようになってどんどん無駄がなくなって。

──でもそれは結構大事な話ですよね。つまり、最初から笑える要素みたいなのが必要だと思ってたわけだよね、ただシリアスなだけじゃダメだと。

百々 うん。

モーサムは守りに入ってもしゃあない

──自分たちの音が固まってきたなと思えたのはいつ頃ですか?

百々 うーん。

──あ、まだ固まってないのか?

藤田 あんまり気にしなくていいと思うようになったのは30歳になってからかな。

──気にするというのは?

藤田 モーサムっぽさとか。そういうの考える必要ないなって。

──曲で言うと?

百々 「HigH」とかそのへん。

──じゃあメジャーに行って、ユニバーサルから音源出したのが転機になった?

藤田 僕はそうですね。

──迷いがなくなってきた?

藤田 そうですね。そのときに気になることをやればいいかなって。

──それまでとの連続性とか一貫性みたいなものは考えない?

藤田 僕は考えないですね。

──考えたらやらないよね。でも勇くんが暴走しても、それを簡単に受け入れちゃうのがモーサムらしい。

百々 簡単ではないですけどね。ゴールがまったく見えないときもあるし(笑)。でも守りに入ってもしゃあないし、モーサムはそこが良さでもあるんで。最終的に面白がれるのは、そういう意識があるからじゃないですかね。

ベスト盤がライブの参考資料になれば

──バンドを結成して14年目ですが、振り返ってみてどうですか?

藤田 よく持ってるなと思いますね(笑)。

──実感こもってますね。

百々 あっという間と言えばあっという間かな。というか忘れてるんですよ、いろんなことを。だからベスト盤の取材なんか受けないぞって言ってたんですけど……。ホントによく続いてるなとは思います。

──昔を振り返るタイプじゃないもんね。

百々 そうですね。時代を区切ってしまうのもなんだと思ってるので。

──過去を振り返るでもなく、かと言って先のことを考えるわけでもなく、今現在で燃えるものがあればいい、と。そんな感じがベスト盤に出てると思います。

武井 モーサムっていろいろアルバム出してるし、俺わりとベスト盤必要な気がしてて。時代によっていろいろ違うし、どれ買ったらいいかわからないし。しかも作品によっていろいろキャラが違うから、よく、ベスト盤なんか出したくなかったんだって言う人(アーティスト)もいるけど、モーサムは必要なバンドだと思いますね。

──レーベルの移動が激しいからね。

武井 それもあるし、趣味嗜好の変化とか。そのときの感じもだいぶ違うし。基本的にライブのことを考えた作りになってるから、やっぱりライブに来てもらって、楽しんでもらうための参考資料、予習になったらいいかなって。

──おお、最後に(プロモーション的に)すごいまともな発言が(笑)。

武井 ははははは(笑)。

──これ1枚を聴いて、ライブに来ればモーサムのなんたるかはわかりますよと。

百々 そうですね。

──では、最後に何か一言。

藤田 これからもまだまだテンポ速くいきますよ、って感じかな。

──体力が続く限り、できるだけエネルギッシュにやりたいという思いはあるんですね。

藤田 そうですね。

──緩くなるなんてあり得ない?

藤田 今のところないですね。

百々 ニューアルバムが常にベストって言いたくなるバンドなので、ベスト盤はベスト盤でいいかなと。

ベストアルバム「BEST OF WORST」 / 2011年4月27日発売 / 日本コロムビア

  • 初回限定盤[CD+DVD] / 3000円(税込) / COZP-499/500 / Amazon.co.jpへ
  • 通常盤[CD] / 2500円(税込) / COCP-36672  / Amazon.co.jpへ
CD収録曲
  1. 未来は今 ver.2011
  2. GREEN & GOLD
  3. ロッキンルーラ
  4. HigH
  5. TIGER
  6. ペチカ (long flight ver.)
  7. 冷たいコード
  8. DAWN ROCK
  9. 凡人のロックンロール
  10. DUM DUM PARTY
  11. hang song
  12. Lost in The City
  13. Bad Summer Day Blues
  14. We are Lucky Friends
  15. echo
  16. ストロベリータイム (bonus track)
DVD収録曲
  1. youth~七月二十日~未来は今~HigH~ Emperor Sun & Sister Moon ~Drum Song<TOUR STRUGGLE@EBISU LIQUID ROOM-Digest>
  2. 壊れてるよ~STOP THE MUSIC~新型セドリック~Hammmmer~未来は今~BIG-S~Drum Song~GREEN & GOLD<QUATTRO MIRAGE-Digest>
  3. GREEN & GOLD
  4. 未来は今
  5. GREEN & GOLD
  6. ロッキンルーラ
  7. HigH
  8. TIGER
  9. ペチカ
  10. 冷たいコード
  11. DAWN ROCK
  12. 凡人のロックンロール
  13. DUM DUM PARTY
  14. hang song
  15. We are Lucky Friends
  16. echo
MO'SOME TONEBENDER(もーさむとーんべんだー)

1997年に福岡で結成されたロックバンド。メンバーは百々和宏(Vo, G)、武井靖典(B)、藤田勇(Dr/現在はG)の3名。年間100本に達するほどのライブ活動を行い、2001年にはアルバム「HELLO」でメジャーデビュー。迫力あるロックサウンドで高い評価を獲得している。ダイナミズムあふれるライブパフォーマンスには定評があり、各地のフェスにも精力的に出演。2007年4月には初の日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブも成功させた。その後2年間にわたって何度も試行錯誤を重ね、2010年に精力的な活動の再開を宣言。ドラマーだった藤田がギタリストにパートチェンジし、現在はサポートドラマーを迎えた4人編成でライブやレコーディングを行っている。