ナタリー PowerPush - MO'SOME TONEBENDER
初ベストで振り返る波乱のモーサム史
モーサムは青春の終わりに始めたバンド
──歌詞とかは変わってないの?
百々 変わってないね。
──今でも歌ってて違和感はない?
百々 ないっすね。
──確かに年月によって変わってくるという歌詞でもないしね。
百々 そうだね。モーサム自体、青春の終わりに始めたようなバンドだから。
──結成したときいくつだったんだっけ?
百々 25くらいかな。だから若気の至り感もなく。
──最初から成熟してる?
百々 っていうよりあんまりこっぱずかしいことはしたくないなって。
──最初からそういう自覚があったのかな。今回のベストにはわりとインディーズからの曲がまんべんなく入ってるけど、最新の2枚は入ってないですね。それはどうして?
百々 誰も選ばなかったんでしょうね。単純にジャッジに携わってないんで、ラインナップ見たときは「へぇ」って思いましたね。入れたくないとかでもなくて。ベストのメンバー監修ものとかってさ、あんまりいいものなかったなと思って。だから代表曲が入ってればいいやって思ったんだけど、モーサムって代表曲ないんだよね(笑)。
──(笑)。誰もが知るようなヒット曲はないですけど、ステージの定番曲は入ってますよね。
百々 それは大体。
武井 そこは気にしましたね。
──ライブでの反応がいい曲は自然と残っていく?
藤田 そうですね。それでベストにも入れたほうがいいんじゃないって。
思い出の曲が入ってなくてびっくり
──特に思い入れが深い曲ってありますか?
百々 俺ね「Have you ever seen the stars」っていう曲が入ってなくてびっくりしました(2005年発表のミニアルバム「faster!」収録)。
全員 ははははははは(笑)。
百々 盤が上がったよってもらったら入ってなくて、あれ?って。「Have you ever seen the stars」って、自分の中ではやっとこういう書き方で書けたかって思ってた曲なんですよ。何度も何度もやり直して。何度録ってもイメージと違うし、仕上げるまでにすごい時間がかかって。それまでは瞬発力で書いとったのが、人の意見も聞きながら書いたし。だいたいそういう曲って俺は嫌いになるんですけど、これは完成してすごい達成感があって。ライブでやるとまた曲も成長して、俺もこういう曲を書けるようになったかと。
──こんだけ熱く語ってるのに、入ってない!(笑)ベスト盤のプロモーションのためのインタビューなのに、プロモーションになってないという。
百々 (笑)。でもそれがモーサムらしいなって。伊坂幸太郎さんがこの曲にインスパイアを受けて短編を書いたとか、そういうエピソードもある曲なんですけど。
──武井さんは?
武井 いやぁ……やっぱ上京する前のは、当時の感じを思い出すんですよ。ホールを借りて、機材を持ち込んで練習して曲作ったりとか。良い思い出と悪い思い出の両方があるんだけど、どっちかって言うとイヤなほうを思い出すかな。
──……またプロモーションになってないし(笑)。
百々 売る気あるんかって感じですよね(笑)。
武井 まぁそういう感じですよ、俺は。「未来は今」の途中にベースソロがあるんだけど、それがうまく弾けなくて。ホントダメだなって。チクショーとか思いながら一晩中弾いてたんですよね。録音を手伝ってもらってる友達のところ行って何時間も弾いて。最後は「もういいかな……」って。
百々 でもそのときのテイクもアルバムに入ってないよね?
全員 ふふふふふふ(笑)。
スタッフ ベスト盤に入ってるバージョンでも武井さんは弾いてなかったりね(笑)。
武井 今明かされる真実が。
テンションが高くなれる、ライブ映えする曲が基本
──どんなバンドに話を訊いてもね、結成されてから軌道に乗るまでの話が一番面白いんですよ。エピソードいっぱいあるし。25歳で結成してからはどうだったんですか?
百々 俺あんまり記憶ないんですよね。組んだ直後からツアーに出て。
──小林さん(マネージャー)と出会ったのはいつ頃?
小林 (結成して)1年後くらいかな。
──その間は焦りとかなかったんですか?
百々 あんまりなかったかな。結成して3年くらいで東京出てきたんで。そのときは28だったかな。
──28だとわりと遅咲きだよね。上京する前の雌伏の時代はどうだったんですか?
藤田 どうもこうもねぇ。ほんとに電話とか何もなかったんで、連絡手段がなかったんですよ、僕。だから用事がある人は家に来てくれって、鍵を開けておいて。そうすると家帰ると誰かいて。手紙しか連絡手段がなかったから、郵便受けとか見るの楽しかったですけどね。今はその感覚がないな。
──その中で作ってる音楽は研ぎすまされた感じで。最初からそうだったよね?
百々 うん、そうだね。
──やりたいことがはっきりしてた?
百々 でも音楽性云々は、最初から自分たちでも何が出てくるかわからんって感じでしたね。
──かといって、試行錯誤するって感じじゃないでしょ? 音楽的な基礎はみんなできてたわけだし。そのときの3人の状況で出てくるものの形が変わるみたいな。
百々 なんかテンション高くなる、ライブで映える曲を作るとか、そういうことばっかり考えてたな。
──やっぱりライブが主体だった?
百々 最初はね。それぞれモーサムの前にやってたバンド辞めて組んでるから、早くやらにゃって感じもあったし。ライブはガンガンやって、曲ガンガン作ってたんで、軌道に乗るのはそこそこ早かったと思いますね。
CD収録曲
- 未来は今 ver.2011
- GREEN & GOLD
- ロッキンルーラ
- HigH
- TIGER
- ペチカ (long flight ver.)
- 冷たいコード
- DAWN ROCK
- 凡人のロックンロール
- DUM DUM PARTY
- hang song
- Lost in The City
- Bad Summer Day Blues
- We are Lucky Friends
- echo
- ストロベリータイム (bonus track)
DVD収録曲
- youth~七月二十日~未来は今~HigH~ Emperor Sun & Sister Moon ~Drum Song<TOUR STRUGGLE@EBISU LIQUID ROOM-Digest>
- 壊れてるよ~STOP THE MUSIC~新型セドリック~Hammmmer~未来は今~BIG-S~Drum Song~GREEN & GOLD<QUATTRO MIRAGE-Digest>
- GREEN & GOLD
- 未来は今
- GREEN & GOLD
- ロッキンルーラ
- HigH
- TIGER
- ペチカ
- 冷たいコード
- DAWN ROCK
- 凡人のロックンロール
- DUM DUM PARTY
- hang song
- We are Lucky Friends
- echo
MO'SOME TONEBENDER(もーさむとーんべんだー)
1997年に福岡で結成されたロックバンド。メンバーは百々和宏(Vo, G)、武井靖典(B)、藤田勇(Dr/現在はG)の3名。年間100本に達するほどのライブ活動を行い、2001年にはアルバム「HELLO」でメジャーデビュー。迫力あるロックサウンドで高い評価を獲得している。ダイナミズムあふれるライブパフォーマンスには定評があり、各地のフェスにも精力的に出演。2007年4月には初の日比谷野外大音楽堂でのワンマンライブも成功させた。その後2年間にわたって何度も試行錯誤を重ね、2010年に精力的な活動の再開を宣言。ドラマーだった藤田がギタリストにパートチェンジし、現在はサポートドラマーを迎えた4人編成でライブやレコーディングを行っている。