音楽ナタリー PowerPush - 木村カエラ

祝・デビュー10周年 山あり谷あり「OLE!OH!」への道

2014年6月でデビュー10周年を迎えた木村カエラ。彼女がベストアルバム「10years」とニューシングル「OLE!OH!」をリリースしたことを受けて、ナタリーではカエラ本人にインタビューを行い、10年間の歩みと現在の心境を聞いた。

なおこのインタビューはスペースシャワーTVの番組「PREMIUM INTERVIEW -木村カエラ-」との連動企画として実施された。番組ではこのインタビューの模様を映像で観ることができる。

取材・文 / 大山卓也

10年続けることが目標だった

──まずはデビュー10周年を迎えた心境から聞かせてもらえますか?

木村カエラ

はい。デビューした当時から10年続けるっていうことを目標にしてたので、ようやく目標が達成されて、ちょっと解放された感じがしてます。

──デビューのときから10年後のことを考えていたんですか?

「Level42」っていう曲でデビューしてるんですけど、その中に「10年後の自分を見て」っていう歌詞が入っていて。

──「See yourself in 10 years」という英詞の部分ですね。10年続けることを目標にしたのは何かきっかけがあったんでしょうか?

やっぱり自分の好きなこと、ちっちゃい頃からやりたかった歌っていうのがようやく夢として実現できたときに、今までやってきたことがある意味ちょっと邪魔になるというか、「モデルの子が歌ってるんでしょ」みたいな見方をする人もいるわけで。だから歌をとにかく10年続けていくっていうのが、あのときの自分にはすごく大切だったんです。

自分をわかってもらうことに必死

──この機会に10年前を少し振り返ってみたいんですが、「Level42」でデビューして「happiness!!!」「リルラ リルハ」とリリースを重ねていって。当時はどんな毎日でした?

忙しすぎて、もうあんまり記憶がないです。「happiness!!!」の歌詞を実家の床に座って……脚を広げながらこうやって書いてる、その場面を覚えてたりとか、地下のスタジオに入る階段のこととか、記憶がすごく断片的なんですよ。睡眠もその当時はあんまりとってなかったし。作品を作ることと来る仕事を一生懸命こなすことに必死すぎて。突然そういう状況になったので、やっぱり大変でしたね、追い付くのが。

──でも念願叶って歌を歌える喜びは感じていた?

うん、だから忙しくて体がヘトヘトになってたりとかしても、一生懸命がんばれたんじゃないかと思うんですよね。歌うことが楽しすぎて。それが私の中でのストレス解消だったんだと思います。

──じゃあある意味順風満帆だったんですね。

うーん、でもあのときは若かったし、やっぱり自分をわかってもらうことに必死でしたよね。「私はモデルから出たんじゃないの。そういうつもりじゃないのよ」みたいな、そうやってツッパってる部分もものすごくあったと思います(笑)。だからあんまりオープンな人ではなかった。ライブのときも自分の世界に入り込んで歌うっていう、それしかできなかったので。

モヒカンの理由

──そして3rdシングルの「リルラ リルハ」で露出が一気に増えて、ブレイクしたという印象がありますが。

木村カエラ「OLE!OH!」初回限定盤特典の「OLE!OH! KAELAボタニカルアートチーフ」。

そうですね。あの頃から街を歩いてて知らない人に「あっ、カエラだ!」みたいな感じで言われるようになって。あと「メールし放題!」とかすっごい言われて(笑)。

──あのCMはインパクトがありましたからね(笑)。

でもやっぱりそういう状況には、ものすごく違和感ありましたよね。週刊誌とかもあることないこと書き始めて。なんか毎日家に外人を呼んで爆音でパーティしてますとか(笑)。「おい! なんだよこれ!」みたいな感じになってました。で、そういうのもあって髪型もボブを上げたらモヒカンみたいな……。

──そういえばそうでした。当時は今に比べてもだいぶとがってた印象が……。

うん、すごくとがってたと思う(笑)。自分をわかってもらいたいっていう気持ちはあったけど、やっぱり大人を信じられなかったのかな。人見知りっていうのもありましたし。あとは「負けたくない!」っていうロック精神ですよね。そういう気持ちがああいう髪型になったりとか、……なんかすごくわかりやすい感じだなって思います(笑)。

──そして、その頃からカエラさんは複数の個性的なプロデューサー陣と組んで楽曲を作るようになりましたよね。音楽的にもいろいろ新しいことに挑戦していって。楽しそうに活動している印象がありました。

そうですね。特にライブをしてるときはめちゃめちゃ楽しかったです。でもやっぱり忙しいから、体は元気だとしても、心がね、だんだん疲れてきちゃうんですよ。だから心と体がバラバラな状態で毎日を過ごしてて。それで気付いたら涙が出てきたりとか、歌詞が書けなくなっちゃったりとか、そういうことでちょっと悩んだりはしてました。毎日すごく楽しかったんですけどね。

──そういう時期に例えばファンの存在が支えになったりといったこともありました?

いや、まだそのときはね、あんまりわかってない(笑)。やっぱり若さなのかな。感謝もしてますし、ファンがいるから自分が歌えてることもわかってるんですけど……、やっぱりまだ自分を表現していくことに必死でしたね。

ニューシングル「OLE!OH!」/ 2014年7月9日発売 / ELA
「OLE!OH!」
初回限定盤 [CD+グッズ] 1728円 / VIZL-692
通常盤 [CD] 1296円 / VICL-36933

下記サイトで配信中!

レコチョク
収録曲はこちら
スペースシャワーTV
「PREMIUM INTERVIEW -木村カエラ-」
リピート放送
  • 2014年7月10日(木)19:30~20:00
  • 2014年7月20日(日)24:00~24:30
木村カエラ(キムラカエラ)

1984年生まれ、東京都出身の女性シンガー。テレビ番組「saku saku」への出演をきっかけに、2004年6月にシングル「Level 42」でメジャーデビューを果たす。2005年3月発売の3rdシングル「リルラ リルハ」が大ヒットを記録したことで一躍全国区の人気を獲得。2006年には再結成したサディスティック・ミカ・バンドにボーカルとして参加した。2007年6月には初の日本武道館公演を成功させたほか、2009年7月には横浜赤レンガパーク野外特設ステージにてデビュー5周年記念ライブを行い約2万2千人を動員。同年末には「NHK紅白歌合戦」に初出場し、ヒット曲「Butterfly」を披露した。2013年からはビクターエンタテインメント内にプライベートレーベル「ELA」を設立し、カバーアルバム「ROCK」を発表。デビュー10周年となる2014年は、6月にベストアルバム「10years」、7月にシングル「OLE!OH!」を連続リリースした。キュートで先鋭的なファッションやそのライフスタイルは女性からの支持も厚く、CM出演なども多数。