悔しさをバネにした3人のスプリンターたち

──本作ではインターハイ1日目の見どころの1つとなる、田所、鳴子、泉田によるスプリンター3人の熱いレースが描かれます。

滝川　この場面が面白いのは、3人がただ単にパワーをぶつけ合うだけじゃないところなんです。3人それぞれにつらい過去や負けた経験があって、それを糧にできたからこのレースに参加できている。負けを知らないスプリンターは強くならないというのも、田所自身が経験したからこそわかることだし、仲間と一緒に戦うことで気が付くことができたんですよね。その思いを自分たちがちゃんと咀嚼して表現できたら、お客様にもしっかり届くんじゃないかなと思います。

滝川広大

──北乃さんは「The Cadence！」のインタビューで、「僕はたぶん“まんま鳴子”ですね。応援してくださっている方からも『颯希くんは鳴子みたいですね』ってよく言われるんです」とおっしゃっていました（参照：ペダステ10周年！島村龍乃介×砂川脩弥×北乃颯希鼎談、西田シャトナー＆鯨井康介の宝物とは？）。「The Cadence！」の公演を経て、鳴子の根底にある“熱さ”はどのようなところから来ていると感じましたか？

北乃　鳴子は昔から身体が小さくて、“勝つためにやることは全部やった”けれど、まったく勝てなかった。負けた悔しさをバネに闘ってきた経験こそが、高校1年生の鳴子を作り上げたんじゃないかなと思います。

青柳　スプリンターの3人に共通しているのは、何かきっかけがあって努力するようになり、スプリンターとして走る道を選んだところだと思うんです。泉田もほかの分野ではまったく活躍できなかったけど、ある日自分の才能に気が付いて、そこからはインターハイだけに一点集中して練習に打ち込んできました。言ってしまえば愛すべき“筋肉バカ”なんですが（笑）、“直線で勝つ”ことへの執念は本当にすごいと思います。

青柳塁斗

走りっぱなし！3人のケイデンスを数えて

──田所、鳴子、泉田による三つ巴の闘いはもちろん、総北、ハコガク、京都伏見のメンバーが一堂に会す場面や、泉田の右大胸筋“アンディ”、左大胸筋“フランク”といったサブキャラクターをメインキャストの方々が演じるシーンなど、胸を打つような熱い場面からコミカルな場面まで、ペダステならではの楽しみ方ができるシーンが本作には詰まっています。中でもここに注目してほしい、というポイントを教えてください。

滝川　龍（島村）の成長した姿を見てほしいですね。「The Cadence！」は初舞台にして初主演だったからすごく苦労したと思うんですけど、もしかすると今回のほうが大変なんじゃないかと思っていて。龍はセンスがあるし、努力家だからこそ、いい意味で突き放す必要があるというのかな。今回も悩むだろうし、1人でいる時間が多くなると思うんです。その中で、龍がどんな成長を遂げるのかすごく楽しみですね。

──「The Cadence！」の公演中はまだ19歳でしたもんね。20歳になって、とても精悍な顔つきになったと感じました。

北乃　龍は大人の階段を登ってますよね。自分としては、スプリンター3人が何回漕いだか、僕たちが回したケイデンスを数えてほしいです。それぞれの回想シーンと泉田の“筋肉紹介シーン”以外はほぼ走りっぱなしで、めちゃくちゃ回してると思うので！

北乃颯希

青柳　僕はそうだな……ずばり、みんなが演じる“景色たち”を見てほしいですね。

北乃・滝川　ははは！

青柳　誰が何をやっているのかとか、なぜこいつは寝てるんだとか、なぜあいつは持ち上がってるんだとか……至るところに登場するので、そこを楽しみに見てもらえたら（笑）。

──目が足りませんね（笑）。まもなく“ペダステのアツい夏”が幕を開けますが、最後にお三方を代表して北乃さんから、本作にかける思いをお聞かせください。

北乃　原作の「弱虫ペダル」の面白さを伝えたい、キャスト・スタッフ一同、その一心で稽古をしてきました。今回から新しいメンバーも加わって、さらに熱い作品になっていると思うので、純粋なスポーツ少年たちの青春劇を見届けていただけたらうれしいです。配信でご覧になる方もいると思うのですが、今回は写真撮影タイムが設けられていたり、キャストによるお見送り会があったりと特典も満載なので、ぜひ劇場に足を運んで生で観ていただきたいです！

左から滝川広大、北乃颯希、青柳塁斗。