大歳倫弘(作)
──「しばしとてこそ」企画立ち上げの際、「なんとなく学校のお話がいいと思うんです」というアイデアを出した小沢さんに対して、大歳さんは「あ、この人も『なんとなく』という感覚を大事にしている人だ、と嬉しくなった」とおっしゃっていました。今回クリエイターとしてタッグを組む小沢さんを一言で表すとどのようなイメージですか?
作品にもお人柄にも共通して言えることは、とにかく「惹き込まれる」こと。小沢さんにはちゃんと見えているものがあって、ついていくとそこにきっと、間違いないものがあるって思わせてくれます。ある意味危険です。小沢さんに投資話とか持ちかけられたら、乗っかっちゃいそうで。
──読み合わせや稽古をご覧になって、特にワクワクしたシーンを教えてください。
俳優それぞれが楽器を手にするシーンがあるのですが、そこが大好きです。もともと舞台上のいろんなところで同時多発的になにかをやっている、みたいな雰囲気が好きなんです。書いていた時、そこは、そんな感じではなかったのですが、小沢さんが、華やかにしてくださいました。
プロフィール
大歳倫弘(オオトシトモヒロ)
2005年、ヨーロッパ企画に参加。以降、作家として映画、テレビドラマの脚本、舞台の脚本・演出を多く手がける。2009年にヨーロッパ企画の劇団内ユニットとしてイエティを立ち上げ、プロデュース公演を実施。近年の参加作に、「ブラック・コメディ」(上演台本・演出)、ヨーロッパ企画イエティ#15「逆張ヶ浜に夕陽が落ちる」(作・演出)、テレビドラマ「あいつが上手で下手が僕で」シリーズ(脚本)などがある。
小沢道成(演出・美術)
──「高校を卒業するタイミングは、自由に自分で決めることができる」というアイデアを大歳さんから聞いたとき、小沢さんは「心が躍った」とおっしゃっていました。今回クリエイターとしてタッグを組む大歳さんを一言で表すとどのようなイメージですか?
おそらく、この社会を斜めの角度から見ている人ではないでしょうか。
その斜めの角度から出てくるようなアイデアがとても面白くて、僕にはそういう発想がないので、この作品のアイデアが出た時も単純に驚きもしましたし、素直に面白いと思いました。
──演出をつけていて興味深かったシーン、思わず笑ってしまったシーンなど、稽古中に印象的だったエピソードを教えてください。
毎回心が動く瞬間が違って、「やっぱり生の演劇ってこれだよなぁ」という醍醐味を毎日稽古で感じています。例え、小さなミスやトラブルがあったとしても、それすらも皆で協力して立て直そうとか、この物語を最後まで絶対に突っ走るぞ!という皆さんの心意気を特に感じるのが、この稽古場の特長だなと思っています。
プロフィール
小沢道成(オザワミチナリ)
演出家・脚本家・俳優。自身が主宰するEPOCH MANでは出演のほか、脚本・演出・美術・企画制作なども手がける。2023年に上演されたEPOCH MAN「我ら宇宙の塵」で、第31回読売演劇大賞で優秀作品賞、優秀演出家賞、最優秀女優賞(池谷のぶえ)を受賞した。4・5月に「Bug Parade」(作・演出・美術)、6・7月に「我ら宇宙の塵」のイギリス・ロンドン版「Our Cosmic Dust」(作・演出・美術)、10・11月にEPOCH MAN「我ら宇宙の塵」再演&ツアー(作・演出・美術)を控える。
阿久津仁愛(ダイチ役)
──自分の役どころを一言で表すと?
優柔不断。
言いたいことが言えなかったり、どうすればいいか具体的に考えがまとまらなかったり……。
自分の理想を求めようとしているのに、行動に移せない、ふわふわしている姿にそう感じました。
本当は(ミツルとタクロウの)2人のことが大好きで、ダイチなりにいろいろ考えているのに、それを伝えきれないのが切なくもあります。
──演出の小沢さんからかけられた言葉、思わず笑ってしまったシーンなど、稽古中に印象的だったエピソードを教えてください。
キャストの皆さんのお芝居が本当に面白くて、思わず笑ってしまう日々です(笑)。
稽古場の雰囲気もとても温かく、皆さんが優しいので、その空気に救われながら楽しく過ごすことができています。
また、小沢さんの言葉が素敵で、新しいお芝居のアプローチにチャレンジすることで、今までになかった発見が生まれるのも、とても刺激的です!
プロフィール
阿久津仁愛(アクツニチカ)
2014年に「第27回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」で準グランプリを受賞し、芸能界入り。2016年、「ミュージカル『テニスの王子様』3rdシーズン」で越前リョーマ役に抜擢され、俳優デビューを果たした。近年の主な出演作には、テレビドラマ「BLドラマの主演になりました クランクイン編」「バントマン」「D&D ~医者と刑事の捜査線~」、「HUNTER×HUNTER THE STAGE」シリーズなどがある。
押田岳(ミツル役)
──自分の役どころを一言で表すと?
スクールカースト2軍。
勢いと根拠のない自信で自分に膜をまとっているけど、それをカバーし切れるほどの器と1人で生きていく思い切りは持ちきれないから。
──演出の小沢さんからかけられた言葉、思わず笑ってしまったシーンなど、稽古中に印象的だったエピソードを教えてください。
「明日はフットマイクを置いて通しをやるので気をつけてください。「踏んだら罰金2億円です」と言われて解散した翌日、おはようございますの時点で3人くらい次々にダミーフットマイクを踏んで、危うく借金まみれの座組で公演出来なくなりそうだった時。
みんなかわいくて笑いました。
プロフィール
押田岳(オシダガク)
2016年、早稲田大学在学中に「第29回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリを受賞し、芸能界入り。2018年から2019年にかけて放送された特撮ドラマ「仮面ライダージオウ」で仮面ライダーゲイツ / 明光院ゲイツ役を務めた。近年の主な出演作にテレビドラマ「コスメティック・プレイラバー」、映画「水平線」「ファストブレイク」、舞台「巌流島」、舞台「西遊記」、舞台「劇走江戸鴉~チャリンコ傾奇組~」などがある。
坪倉康晴(タクロウ役)
──自分の役どころを一言で表すと?
一言で表すと苦労人ですかね。
タクロウの人柄って本当に素敵なんです。周りもちゃんと気にしてるし、優しい性格なんです。ただ誰にでも優しいが故につい困ってる人とかを見ると自分が手伝ってあげなきゃとか断れない性格なんですよね。もちろん物語ではやりたい事を探していったりと成長はあるのですが、優しさが溢れるからこそ、その反面大変なところもあるのかなと思います。
──演出の小沢さんからかけられた言葉、思わず笑ってしまったシーンなど、稽古中に印象的だったエピソードを教えてください。
稽古中のエピソードというか、作品内の印象的なシーンの話になるのですが……
ラストで皆が溜まっていたものを告白していくシーンがあるのですが、全員が真っ直ぐ真面目に届ける言葉が、コメディ要素もある中で、より一層言葉が刺さるのがすごく素敵なんです。笑いありちょっとした感動ありの作品だからこそいろんな要素が詰まった作品になっていると思います。
プロフィール
坪倉康晴(ツボクラコウセイ)
2019年より劇団番町ボーイズ☆のメンバーとして劇団公演に出演するほか、舞台・ドラマなどに出演。近年の主な出演作に、「舞台『魔法使いの約束』」シリーズ、「ミラクル☆ステージ『サンリオ男子』 ~One More Time~」「舞台『東京リベンジャーズ』-天竺編-」など。1月から放送されているテレビアニメ「UniteUp! -Uni:Birth-」で声優を務め、4月に舞台「青のミブロ」の公演を控える。
小島梨里杏(チヒロ役)
──自分の役どころを一言で表すと?
炎。
激しく燃えることも消えることもできず、人にも自分にも害を与えないよう、なるべく静かに息をしている印象があるからです。
いろんな可能性を秘めた女性なのに、ひとつのことに囚われて、長いこと燻り続けています。
ただ炎を絶やすことなく燃やせるのは、良くも悪くもすごいことだなーと思います。
──演出の小沢さんからかけられた言葉、思わず笑ってしまったシーンなど、稽古中に印象的だったエピソードを教えてください。
大鷹さんがお芝居で突然年齢が上がったような声を出されて、私はお姿が見えない位置でスタンバイしていたので、何が起きたのかと耳を疑い、時間差でひとり笑ってしまいました。
池津さんの激しい脚回しと、繊細かつ大胆なお芝居のパス回し! そしてセワさんの如くいつもみんなに優しく、いろんなおやつを与えてくださったり、邪気を払ってくださったり、たくさんの愉しいを共有してくださって嬉しいです。
先輩方の、いろんなアプローチをされるお姿を尊敬していますし、心からツボで大好きでした。稽古が終わるのが寂しいです(笑)。
プロフィール
小島梨里杏(コジマリリア)
2014年から2015年にかけて放送された特撮ドラマ「烈車戦隊トッキュウジャー」で特撮ヒロインに抜擢され、その後テレビドラマ「表参道高校合唱部!」「子連れ信兵衛」「3人のパパ」に出演。2016年、映画「人狼ゲーム プリズン・ブレイク」で映画初主演を務めた。そのほかの出演作に、テレビドラマ「初恋不倫~この恋を初恋と呼んでいいですか~」「旦那のアレ、もらってください」などがある。
富山えり子(ユメ役)
──自分の役どころを一言で表すと?
「夢」
まずは、名前が“ユメ”なので。あと、ずっと卒業せずに高校生をやっていて、長い夢の中にいるようだな、と。そして、描かれる時間の中で、やりたいことや望みに気づいて表していく人物だからです。
──演出の小沢さんからかけられた言葉、思わず笑ってしまったシーンなど、稽古中に印象的だったエピソードを教えてください。
池津さんは、お稽古で毎日新しい試みをされていて、本当に素晴らしくていつも勉強させていただいているのですが、ある日の試みが面白すぎて、わたしのツボに入ってしまい、笑いが止まらなくなりお芝居ができませんでした。つらかったです(笑)。
プロフィール
富山えり子(トミヤマエリコ)
2010年、劇団鹿殺し「電車は血で走る」で楽隊メンバーとして初舞台を踏む。以降、舞台を中心に活動。最近の主な出演作に、シス・カンパニー公演「友達」「ザ・ウェルキン」、M&O playsプロデュース「クランク・イン!」、なかないで、毒きのこちゃん「サモエド」、新国立劇場「モグラが三千あつまって」、世田谷パブリックシアター「Medicine メディスン」、PARCO PRODUCE 2024「ワタシタチはモノガタリ」などがある。
中川晴樹(ワタナベ役)
──自分の役どころを一言で表すと?
ウザい先輩。
若者の青春に口を出したり、乗っかろうとしたり、なんなら自分が主役になろうとしがち。
──演出の小沢さんからかけられた言葉、思わず笑ってしまったシーンなど、稽古中に印象的だったエピソードを教えてください。
若者たちの溌剌としたお芝居も素敵ですが、大鷹さんや池津さんの軽やかでありながら、時に重厚なお芝居も、素晴らしいなと思います。見応え充分のお芝居だと思います。
プロフィール
中川晴樹(ナカガワハルキ)
ヨーロッパ企画所属。脚本と監督を務めた短編映画「恋する極道」が「那須国際映画祭」の「那須アワード2015」でグランプリを獲得した。近年の主な出演作に、ニッポン放送開局70周年記念公演「鴨川ホルモー、ワンスモア」、映画「とべない風船」「POP!」、NHK連続テレビ小説「ブギウギ」、ドラマ「今際の国のアリス」などがある。5・6月に「リプリー、あいにくの宇宙ね」に出演予定。
安西慎太郎(スズキ役)
──自分の役どころを一言で表すと?
「考えながら感じ、悩みながら考えてる人」
小さい事、細かい事がとても気になる人だと思っています。
ただその小さい事は他者から見たら小さく見えるだけで彼からしたらとても大きい事だと思います。
彼にとっての本気が本物の気持ちに昇華した時、他者からするととても馬鹿馬鹿しくて笑える、愛らしい人物なんじゃないかと思います。
──演出の小沢さんからかけられた言葉、思わず笑ってしまったシーンなど、稽古中に印象的だったエピソードを教えてください。
小沢さんは素晴らしい演出家さんです。
沢山のアンテナを持っていて、そのアンテナの感度も良く常にキャスト・スタッフと同じ目線に立ち作品作りをしてくださる方です。
また、より良い作品を作るために決して妥協しないその姿勢はカンパニーの強い柱になっていると思います。
プロフィール
安西慎太郎(アンザイシンタロウ)
パフォーマンスコースのある高校で3年生のときから学校で芝居やダンスを学び始める。デビュー後、「コーパス・クリスティ 聖骸」で初舞台。2020年、自身が企画・プロデュース・主演を務めた一人舞台「カプティウス」を上演した。近年の主な出演作に、「象」、劇団時間制作10周年記念公演「哀を腐せ」、「時をかけ・る~LOSER~」、「三人芝居『怪物の息子たち』」、KOKAMI@network vol.20「朝日のような夕日をつれて2024」、「演劇【推しの子】2.5次元舞台編」、映画「真夜中のキッス」「母と牛と」などがある。
池津祥子(セワ役)
──自分の役どころを一言で表すと?
セワさんの役どころを一言で……うーん、「スピーカー」でしょうか。
情報を集め(ただし不正確、盛りがち)広く周りに伝え(良かれとの思いで)おせっかいに邁進、爆走する。でも肝心の自分のことはさっぱりという……。
ちょっと鬱陶しいけどお茶目さは忘れないようにね、セワさん!
──演出の小沢さんからかけられた言葉、思わず笑ってしまったシーンなど、稽古中に印象的だったエピソードを教えてください。
稽古場の役者のテーブルの上って個性が出るので面白いと常々思っています。今回女優陣は台本とポット、そして健康グッズ。男優陣はほぼスッキリしてて台本と飲み物+お気に入りのお菓子など。その中で康ちゃん(坪倉)のテーブルの上だけ多種多量の食べ物が。それをスゴイ速さでモリモリ食べる様子も見ていて気持ち良い!
プロフィール
池津祥子(イケヅショウコ)
1990年より大人計画に参加。近年の主な出演作に、M&O playsプロデュース「峠の我が家」、「ドクター皆川~手術成功5秒前~」「宝飾時計」、テレビドラマ「エルピス —希望、あるいは災い—」「マウンテンドクター」、「世にも奇妙な物語 '24冬の特別編『第1回田中家父親オーディション』」、短編映画「時空(トキ)ヲコエテ」などがある。6月に平凡パンチライン vol.1「Wife is miracle~世界で一番アツい嫁~」の出演が控える。
大鷹明良(アサオカ役)
──自分の役どころを一言で表すと?
孤独のパリピ。
──演出の小沢さんからかけられた言葉、思わず笑ってしまったシーンなど、稽古中に印象的だったエピソードを教えてください。
1時間35分程の上演時間とはいえ、早々と、通し稽古ができ、日々、実験し、検証してゆく。演劇は、これが楽しい。通し稽古もすでに4回目。すごい。何度もこの楽しみが味わえる。贅沢至極。
プロフィール
大鷹明良(オオタカアキラ)
1976年、演劇舎螳螂の立ち上げに参加。以降、舞台を中心に活動。「兄おとうと」をはじめ、多くの井上ひさし作品に出演。近年の主な出演作に、「舞台版 嫌われる勇気」「白衛軍 The White Guard」、ドラマ「No Activity」シーズン2、テレビドラマ「笑うマトリョーシカ」「日本統一 関東編」「ドラフトキング」、映画「若き見知らぬ者たち」「仕掛人・藤枝梅安」などがある。