「ロミオ&ジュリエット」稽古場レポ&アレクサンドラ・ラターとキャストがつづる“今、この舞台に懸ける思い” (2/2)

役について、稽古について…
キャストが語る「ロミオ&ジュリエット」

長谷川慎

しなやかな身体と繊細な心を持つモンタギュー家の跡取り・ロミオ

長谷川慎

──ロミオ役にどんな印象をお持ちですか?

ロミオはとても真っ直ぐな性格で、ジュリエットへの思いが強過ぎて自分をコントロールできなくなり空回りをしてしまうのですが、そんなロミオの姿、ロミオが放つ1つひとつの美しい言葉から“愛”が持つ力の偉大さに気付かされます。

──稽古の中で印象的だったエピソードや、演出のアレクサンドラ・ラターさんの発言で心に残っていることは?

この作品はシェイクスピアの言葉を日本語訳してあっても意味がとても深く、かなり解読するのが難しいです。ですが、アレックスさんが英語の意味をしっかり噛み砕きその場で日本語訳を丁寧に教えてくださるので、意味を理解しながら稽古出来るのがうれしいです。

作品に対しての確実なイメージがある方で、演出に対して妥協をせず自分の納得いくまで突き詰めて、そのイメージをしっかり伝えてくださるのでわかりやすくロミオを作りやすいです。

──今回の「ロミオ&ジュリエット」を楽しむ上でのポイントを教えてください。

アーティストの自分だからこそできる表現が組み込まれていて、もともとある作品ではありますがオリジナルのダンスシーンが加わっていたり、言葉が無くても身体の表現だけでもラブシーンを成立していたりとまた新しい表現になっています。

ロミオがジュリエットに出逢い、人生が変わっていく姿を、皆さんの感じ方で今までとこれからの自分の人生とリンクさせながら観ていただきたいです。

プロフィール

長谷川慎(ハセガワマコト)

1998年、神奈川県生まれ。THE RAMPAGE from EXILE TRIBEのパフォーマー。2011年から3年間、GENERATIONSサポートメンバーとして活動。2014年に正式メンバーとなる。舞台はこれまで「REAL RPG STAGE「ETERNAL」、朗読劇 BOOK ACTシリーズなどに出演。昨年、ファースト写真集「CHARACTER」が発売された。2月22日にTHE RAMPAGE from EXILE TRIBE が5th ALBUM「ROUND & ROUND」をリリース。長谷川は「ROUND & ROUND」について「リード曲"NO GRAVITY"の振付 / 構成を自分が担当させていただきました! NO GRAVITY=無重力という意味があり、とても繊細で壮大な楽曲で今までにないまったく新しいTHE RAMPAGEの表現で自分達の覚悟が詰まっている革命的な曲です。皆さんぜひチェックお願いします」とメッセージを寄せた。

北乃きい

シンガーソングライターを目指す、キャピュレット家の一人娘・ジュリエット

北乃きい

──ジュリエット役にどんな印象をお持ちですか?

私が演じるジュリエットは純真でかわいらしいというよりも、クールでロックな感じ。ティーンエイジャーですが、大人な雰囲気を持った女性だと思います。

──稽古の中で印象的だったエピソードや、演出のアレクサンドラ・ラターさんの発言で心に残っていることは?

稽古はじめの頃はまだ深くお話しできていない共演者の方も多かったのですが太陽のような人柄のアレックスさんが「どんどんアイデアを出して」と言ってくださるおかげで、とても良い雰囲気の稽古場です。先日、事務所の後輩の京典くんと雑談していたら、ほかのキャストたちが長谷川さんに「ジュリエットがほかの男と話してるんだから、もっと嫉妬しないとダメ!」と言ったそうで(笑)。長谷川さんとは恋人役としてもっと打ち解けたいと思っていたので、そのことを長谷川さんが教えてくれたとき、ちょっと仲良くなれた気がしてうれしかったです。

──今回の「ロミオ&ジュリエット」を楽しむ上でのポイントを教えてください。

オリジナルのセリフはそのままに、現代的な要素が加わるのが面白いです。私自身も、戯曲の言葉と、演出や大胆な衣裳デザインが起こす化学反応に日々驚いています。それにお芝居だけでなく、歌や踊りも見どころ。ムーブメント(身体表現)を使ったラブシーンも美しく、全身を使って登場人物の表情が表されている感じが素敵です。どうぞお楽しみに!

プロフィール

北乃きい(キタノキイ)

1991年、神奈川県生まれ。2005年にティーン誌のモデルとしてデビュー。その後俳優として活躍の場を広げており、舞台ではシルヴィウ・プルカレーテ、栗山民也、加藤拓也などさまざまな演出家の作品に出演している。

中尾暢樹

血気盛んなジュリエットの従兄弟・ティボルト

中尾暢樹

──ティボルト役にどんな印象をお持ちですか?

自分の感情に真っ直ぐで、若いからこその危うさやプライドが高く喧嘩腰。自分の正義を貫き通すので周りとたくさんぶつかっているだろうけど、芯があるので周りの仲間からは尊敬されるだろうなと。執念深く良い意味でも悪い意味でもメンタルが強いです。

──稽古の中で印象的だったエピソードや、演出のアレクサンドラ・ラターさんの発言で心に残っていることは?

どんどん意味のある失敗をたくさんするなと思いました。これが正解と決めつけずに、シーンの順番の変更などいろいろなパターンを見てから決めていくので面白いです。

──今回の「ロミオ&ジュリエット」を楽しむ上でのポイントを教えてください。

全員が作り上げるロミジュリの世界観を楽しんでください。1つひとつの姿勢や目線、動き方にこだわって作っています。ティボルトの迫力にも期待していてください。

プロフィール

中尾暢樹(ナカオマサキ)

1996年、埼玉県生まれ。俳優集団D-BOYSのメンバー。「動物戦隊ジュウオウジャー」で主演を務めた。近年の主な舞台に「ミュージカル『刀剣乱舞』」、舞台「東京リベンジャーズ」、ライブ・スペクタクル「NARUTO-ナルト-」など。

小松準弥

ジュリエットに結婚を申し込むヴェローナの富豪・パリス

小松準弥

──パリス役にどんな印象をお持ちですか?

紳士的で人々が憧れを抱くような家柄や人柄、雰囲気を持ち合わせた人物だなと思います。ですがその一方で、大切なところや人の心が見えていないと感じる瞬間もあるのですが、その中でも彼を応援したくなるような健気な思いを持った青年のようにも感じています。

──稽古の中で印象的だったエピソードや、演出のアレクサンドラ・ラターさんの発言で心に残っていることは?

アレックスさんの「信じられるものを届けたい」「人と人の関係性と難しいセリフの中でも情緒を出したい」という言葉が心に残ってます。新型コロナウイルス感染症や現在の世界の情勢から、このタイミングで生と死、愛と憎悪の物語を上演することにはさまざまな意味があると感じています。現実味を持って人と人との関係性を大切に、信じられるものを表現し、お客様と共に大切なことを見つめることも上演する意味の1つだと思うので、アレックスさんのその言葉が印象に残ってます。

──今回の「ロミオ&ジュリエット」を楽しむ上でのポイントを教えてください。

セリフは原作のロミオとジュリエットのままですが、衣裳設計や小道具などは現代的なものになっています。原作の物語を楽しみながらも現代的要素が入っていることで、ロミジュリの世界を身近に感じてもらえるところがポイントの1つかなと思います。

プロフィール

小松準弥(コマツジュンヤ)

1993年、宮城県生まれ。2013年、FINEBOYS専属モデルオーディションにてグランプリを受賞。2021年に「仮面ライダーリバイス」門田ヒロミ / 仮面ライダーデモンズ役でドラマ初出演。近年の主な舞台に「舞台『刀剣乱舞』无伝 夕紅の士 -大坂夏の陣-」、歌劇「桜蘭高校ホスト部f」など。映画「リバイスForward 仮面ライダーライブ&エビル&デモンズ」が2月10日に公開。

石川凌雅

ロミオの良き理解者・ベンヴォーリオ

石川凌雅

──ベンヴォーリオ役にどんな印象をお持ちですか?

立場をわきまえた身のこなしができる非常に賢く素直な青年。全体を俯瞰し物事を理解する力、問題が発生したときはまずは自分に何ができるか、どうすることがベストなのかを瞬時に判断し即行動する。非常に仲間思いで誰かを1人にはさせないし、楽しむときはとことん一緒に楽しみ、悲しむときは放っておかず、そっと寄り添う。そんなスマートで温かい印象があります。

──稽古の中で印象的だったエピソードや、演出のアレクサンドラ・ラターさんの発言で心に残っていることは?

褒めてくださるときや、もっともっと表現してほしいときにくださるアドバイスがとても直球です。妥協は決してせず、シーンの表現をキャストと常に相談しながら突き詰めようとする姿勢に、自分も必死についていこうと思う瞬間が頻繁にあります。

──今回の「ロミオ&ジュリエット」を楽しむ上でのポイントを教えてください。

日々を何となく過ごしていると忘れがちな“パッション”が詰まっています。長谷川くん演じるロミオは非常にピュアで、以前彼が稽古初期の段階でまだまだ不安に感じていると言っていた部分もロミオが抱える心の精細な部分と重なって見え、すごく素敵だったんです。そんなロミオに寄り添い、支えたり支えられたりと密に絡む人間関係。そういったポイントに注目してもらえたら、何度も観たいと思っていただけると思います。

プロフィール

石川凌雅(イシカワリョウガ)

1995年、東京都生まれ。近年の舞台に「ミュージカル『刀剣乱舞』~江水散花雪~」「ミュージカル『刀剣乱舞』 ~真剣乱舞祭2022~」「舞台『炎炎ノ消防隊』-地下からの奪還-」(主演)、「ちびまる子ちゃん」原作35周年記念公演「ちびまる子ちゃん THE STAGE『はいすくーるでいず』」など。

京典和玖

ロミオの親友・マキューシオ

京典和玖

──マキューシオ役にどんな印象をお持ちですか?

マキューシオの短気でやんちゃでお調子者なところを表現しつつ、彼の繊細さや寂しさも描けたらと思っています。マキューシオが狂気じみた様子で長い独白をする場面があるのですが、それこそが彼の“正気”で、本音でもあるのかも?と思っていて。彼は敏感さゆえに世の中に対してぶつけようのない気持ちを持っている気がします。そこを大切に演じたいです。

──稽古の中で印象的だったエピソードや、演出のアレクサンドラ・ラターさんの発言で心に残っていることは?

和気あいあいとしています! 僕は今回が2作目の舞台なのですが、最初は台本の内容についてわからないことがたくさんあって。アレックスさんに「マキューシオはこのセリフで何を伝えたいんでしょうか?」と聞いたら、「これは8割が下ネタ」と言われました(笑)。マキューシオが一気に身近な人物に感じられましたし、いつもアレックスさんが助けてくれるから演じやすいです。

──今回の「ロミオ&ジュリエット」を楽しむ上でのポイントを教えてください。

マキューシオは、よくロミオ、ベンヴォーリオと一緒にいます。だから物語の前半は男子同士の「こいつらバカだなあ……」っていうハイテンションを楽しんでほしい!(笑) 同時に僕はこの「ロミオ&ジュリエット」が、誰かを失うことで愛を知る物語でもあると思っています。つらい展開もありますが、ストーリーの後半を観て「自分も周りの人たちを大切にしたい」と思ってもらえたらうれしいです。

プロフィール

京典和玖(キョウテンワク)

2000年、山口県生まれ。俳優。テレビドラマや映画、舞台にも出演。近年の主な舞台に「六人の嘘つきな大学生」ほか。